(2008年4月15日 アルツハイマー型認知症の診断から約1年2ヶ月)
*久しぶりの展覧会
年度変わって東京国立博物館では新しく大規模な企画展が始まりました。
(↓)こちらです。
本展は、令和6年(2024)に浄土宗開宗850年を迎えることを機に、法然による浄土宗の立教開宗から、弟子たちによる諸派の創設と教義の確立、徳川将軍家の帰依(きえ)によって大きく発展を遂げるまでの、浄土宗850年におよぶ歴史を、全国の浄土宗諸寺院等が所蔵する国宝、重要文化財を含む貴重な名宝によってたどるものです。
どうしても観たい国宝が会期の前半のみ公開されているので、思い切って初日にいってまいりました。
その私が観たかった国宝とは…。
東京では初公開となる国宝「綴織當麻曼荼羅」(奈良県 當麻寺所蔵 東京国立博物館での公開は4/16(火)〜5/6(火))と、
通称「早来迎」と言われる「阿弥陀二十五菩薩来迎図」(京都府 知恩院所蔵 東京国立博物館での公開は4/16(火)〜5/12日)です。
日本美術史上、知恩院の「早来迎」は極楽往生を願う浄土教の絵画で屈指の名作ですね。普段は非公開ですし、今まで展覧会などでも私は未だ観た事がないのです。
(↓)展覧会図録より
そして「綴織當麻曼荼羅」も普段本物は非公開です。
私は若い頃、日本美術史の中でも仏教美術が好きだったから(若い時から好みが渋かった)、何度か當麻寺を参拝しました。
そして「綴織當麻曼荼羅」は観たくても観られない国宝だと知っていました。
関西で開催された特別展では公開されることがあっても、なかなかその時期に出かけることはできませんでした。それが、東京までお出ましになるにだから、観ないわけにはいきませんわ。
会期中にテレビで宣伝されたらまた人が押し寄せて混雑するかも知れないし、
「ええぃ❗️初日に行ってしまえ❗️」
初日でも混んでるかも?長時間並ぶのは辛いな…。
そんな事を考えながら出掛けたのですが、あれれ…?(^◇^;)
(↓)初日の12:20頃でした。
考えてみれば、
(絶対に本物の「綴織當麻曼荼羅」と「早来迎」が観たいんじゃぁ)
なんて考えるのは、仏教美術に興味があるとか、仏画を習っているとか、まぁまぁ趣味嗜好が渋い人だけなんかな…。(^◇^;)
かなり拍子抜けしましたが、バッチリ,じっくり、2時間半、しっかり鑑賞できました。
お目当ての他にも国宝「法然上人絵伝」「当麻曼荼羅絵巻」の他重要文化財クラスの絵巻ものや仏像、経文など多数で見応えたっぷりでございました。
図録まで買っちゃいましたわ。
*綴織當麻曼荼羅
私が一生観られないと思っていた国宝「綴織當麻曼荼羅」の前に立った時、感動とは程遠い印象を受けました。
「これを,よく、東京くんだりまで持ってきたものだ」
と思いました。
奈良から東京まで運んで公開しようという決断と、それを可能とする美術梱包や運送、そして展示などの技術力には感動しました。
制作年代は8世紀、日本では奈良時代です。制作場所が唐なのか奈良なのかは定説がない様ですが、「綴織當麻曼荼羅」は絵画ではなく縦横およそ4メートル(縦3960㎜、横3966㎜)の大きなタペストリーなのです。
会場の解説や図録には
江戸時代、延宝五年(1677)の修理でそれまで板貼りであったのを掛幅装に仕立て直し、描画により補筆が加わっている。
とありましたが、掛けていて本当に大丈夫なのかと心配なほど、傷んでいる様だし、あまり褪色していて鮮明に見えない。
それでも、しばらく眺めていると、目が慣れてくるので、阿弥陀如来、菩薩や眷属が織りなす極楽浄土の様子が見えてくるのです。
しかし、肉眼では難しいかも知れません。私の目は弱視に近いので、展覧会に行くときは必ず双眼鏡や単眼鏡を持参します。その両方を駆使して、ようやく見えたかなと言う感じでした。
(↓)図録からの写真です。
右ページが国宝「綴織當麻曼荼羅」、左ページは江戸時代の原寸大の模写、重要文化財「貞享本 當麻曼荼羅図」です。
東京国立博物館での展示は「綴織當麻曼荼羅」と入れ違いに5/8〜会期末まで「貞享本 當麻曼荼羅図」が展示されます。
もし、絵画として鮮明に當麻曼荼羅の全体像が観たいなら、「貞享本 當麻曼荼羅図」の方が良いかも知れません。
私はできる事なら両方並んだ展示を観たかったけど仕方ありません。会期末頃に余力があれば「貞享本 當麻曼荼羅図」を観に再度見に行けたら良いなぁ。
綴織は織物の中でも古くからある技法だそうです。幾色もの横糸を縦糸に爪で織り込んでいくので絵画的な表現ができます。しかし大変手間のかかる技法です。
2018年に川島織物が縦19.5cm×横23.0cmの部分復元を行いましたが、熟練の技術者でも1日にできるには3.5㎝四方。織り上げるのに40日かかったそうです。
(↓)とてもわかりやすいです。是非見てほしい記事です。
伝説では、奈良時代の貴族のお姫様として生まれた中将姫が、出家し極楽浄土への思いが深く、阿弥陀如来と観音菩薩の化身に助けられて一晩で織り上げたと言われます。
伝説はさておいて、現実的には到底それは無理。
全面に極楽浄土が描かれた約4メートル四方のタペストリーですから、どれだけの時間と労力が必要だったか。図柄の細かさを考えれば想像を絶する事業だったと思います。
それだけ阿弥陀如来への信仰が篤かったのでしょう。
(↓)展覧会のグッズ売り場で購入しました。発行は當麻寺奥之院です。
私は歴史的に貴重な文化財の保存と広く国民に公開していく問題は、必ずしも両立しなくても良いと思っています。もちろん絶対に保存して後世に残す方を優先するべきです。
それでも、今回、国宝「綴織當麻曼荼羅」が所蔵地を遠く離れて東京で公開できたのは素晴らしいことだと思います。観られて本当に良かったです。
もし、この特別展を観にいく予定の方は作品の展示期間を東京国立博物館特別展のサイトでご確認の上、お出掛けくださいませ。
京都国立博物館では今年の10月から12月。九州国立博物館では来年令和7年10月から11月に同展覧会が開催されます。
視力の良い方も、絵巻物などの干渉には近遠両方にピントを合わせられる単眼鏡を是非お持ちになると更によく鑑賞できます。
最短焦点距離30センチ以内位で4倍から6倍の単眼鏡だとガラスケースの中の小さな展示物もよく見えるのでオススメです。
*本日アップの貼り絵
2008年4月15日の作品です。
今からおよそ16年前ですから、「おママの貼り絵」の中でも初期の頃です。
おママは未だ食事の用意をしたり、女学校のお友達との食事会に行ったり、できることも多く行動範囲も広かった様に思います。
流れを感じさせる爽やかな貼り絵ですね。(^。^)
(↓)こちらに収納していた作品でした。
おママの貼り絵を見てくださり,ありがとうございます。