アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

思い出深い国立劇場(番外編)

(2018年10月27日 アルツハイマー認知症の診断から約11年8ヶ月)

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最後の歌舞伎公演

今月末をもって東京都千代田区にある国立劇場が閉場します。

理由は老朽化のため建て替えのためです。

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昭和41年に開場されたので、私と同い年。建物は57年経ちました。

「57年で老朽化なのか…。」

夕食時、漠然とダンナに言うと、

「57年も経ては老朽化するだろう」

と冷たく言われました。別に彼の言う事は間違っていないのですが、なんかムカついたので、

「私も老朽化したので、もう何もしません」

と言ってやりました。(^O^)v

閑話休題❗️

私は祖母やおママの影響で子供の頃から歌舞伎が好きです。

でも、国立劇場で歌舞伎を見たのは高校生の時の「歌舞伎鑑賞教室」が初めてだったと思います。これは学校の行事として、学年全体で観劇しました。

演目は『毛抜』、主役は先代の十二世市川團十郎がまだ海老蔵だった時代でした。

(↓)国立劇場のHPで過去の上演記録が見られました。懐かしい。(^。^)

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その後、現在に至るまで、何度、国立劇場の客席に座ったことでしょう。

私は文楽も好きです。毎年2月,5月,9月,12月に文楽公演もありました。

国立劇場というと、私は小劇場で行われるこの文楽公演を観ることの方が多かったかも知れません。

それだけではなく、実は四半世紀前の若い数年間、私は国立劇場でアルバイトをしていたこともありました。

だから、今でも(↓)校倉造を模した重厚感のある建物を見ると、懐かしさを感じています。

 

それで、名残惜しさもあって、今月、現国立劇場最後の歌舞伎公演を観てきました。

9月から上演された通し狂言『妹背山婦女庭訓』。10月はその後半です。

布留の社頭の場 「道行恋苧環
二幕目  三笠山御殿の場
大 詰  三笠山奥殿の場
     同 入鹿誅伐の場

役者さんの演技も素晴らしく、とても充実した良い舞台でした。私は「道行恋苧環」から二幕目「三笠山補填の場」は何度か別の配役で観ていたのですが、大詰は初めてでした。これを観ることによって、物語の結末がしっかりと理解できました。

江戸時代に生まれた歌舞伎の演目の多くは何幕もある長い芝居です。全部上演していたら朝から晩まで1日がかりになりそうです。それでは観る側も興行としても大変です。なので、その中でも特に見せ場があって人気のある幕をピックアップして上演する事が多いのです。

国立劇場の歌舞伎公演は開場当時から、芝居全体を上演する「通し狂言」に力を入れてきました。それによって、上演回数が少な過ぎて途絶えてしまった幕を復活させるという意義もありました。

やはり国立の劇場ですから、興行面だけでなく、伝統の継承や研究もその目的に含まれているのですね。

そう考えますと、この2ヶ月連続の通し狂言は、国立劇場の有終の美を飾るに相応しい演目だったと思います。

(↓)今回は3階の最後列で観劇しました。それでもあまり舞台は遠く感じられません。

とても観やすい劇場でした。

(↓)三階ロビーから見下ろしました。私はこの丸い大きなシャンデリアがとても好きだったのですが、これもなくなってしまうにでしょう。

 

(↓)国立劇場のシンボル的存在、平櫛田中作『鏡獅子』。六代目菊五郎がモデルです。

当代尾上菊五郎さんは1942年生まれで七代目。重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝です。残念ながら、今月は体調不良で休演でした。また舞台に復帰して欲しいです。

そうそう、「重要無形文化財」繋がりの話ですが、

今回の芝居でラスボスともいえる敵役は蘇我入鹿でした。その役を演じたのは、今年「重要無形文化財 歌舞伎脇役」に認定された五代目中村歌六さんでした。いつもながら重厚感と存在感があって、私はとても好きです。

因みに、私はここ10年ほど、歌六さんの息子である中村米吉さんを「推し」ています。今回もお姫様役が可憐でした。(๑˃̵ᴗ˂̵)v

おママも

子供の頃から歌舞伎が好きだったおママは、認知症になってもオネコさんがチケットを取って付き添ってくれたので,2017年までは歌舞伎座国立劇場で観劇していました。

しかし、次第に認知機能が低下するに従って、長時間じっと黙って座ったままで観劇やおトイレ問題もあり、難しくなりました。

(↓)この2017年10月の国立劇場の公演が、おママの最後の観劇となりました。

当代片岡仁左衛門さん主演の『霊験亀山鉾』でした。おママは片岡孝夫時代からずっと仁左衛門さんが好きだった(私も❗️)から良かったと思います。
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再会場はいつ?

国立劇場はただ劇場というだけでなく、将来の歌舞伎や文楽を担う人材を育てる養成所や、伝統芸能の資料を収集したり、過去の映像や音声資料を保存して閲覧や公開をする場でもあります。

きっと、それらの仕事が途絶える事はないと思うし、歌舞伎や文楽の公演も場所を変えて今後も続けられます。

しかし、建て替え期間中は、その大きな拠点がなくなった状態なので、関係者の方々は大変だと思います。

今回,観劇を終えて、オネコさんとしみじみと語り合いました。

「私達も元気で健康を維持して、再開場の時はまた観に行きましょうね。」

ところが…。

再開場は6年後の2029年の予定ですが、ちょっと雲行きは怪しいようです。

(↓)閉場はしたけど、建て替え工事を請け負う業者が決まっていない…。(°_°)

news.yahoo.co.jp

世界的に資材は高騰していますし,人件費も上がっていますから、仕方ないといえばそれまでなのかも。記事を読んで,私は思わず白目を剥いてしまいましたわ。

(°_°)

できれば,私が生きているうちに、国立劇場が開場してくれたら良いなぁ。(^。^)

そんな事を思いながら、青空に映える国立劇場の外観を何度も見上げて名残を惜しみました。

 

本日アップの貼り絵

2018年10月27日の作品です。

今からちょうど5年前です。おママはまだ自分で使う紙を選んで、1人で貼り絵に取り組んでいました。

この作品は私のいない時に制作されたので、途中写真はありませんでした。

(↓)東急百貨店の包装紙を使っています。

www.tokyu-dept.co.jp

おママはこの包装紙を使って他にも貼り絵を制作しています。

どれも斬新で綺麗な作品でした。(^。^)

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おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。