アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

成り行き任せ

 

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(2017年5月17日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

 

  ⬆️この貼り絵のことをおママは「あんまり好きじゃない…」と言っていました。  

どこが気に入らないのでしょう。私にはよく分かりません。

「私は好きだわ。」

そう言うと、おママは少しはにかんだように笑いました。

「そうかしら…。」

それでもどことなく腑に落ちないようです。

 

6月に入って、おママは又あまり貼り絵をしません。

1ヶ月ごとの停滞期がきたようです。

やりたくないものをやらせることは出来ないし…。(笑)

 

おママは貼り絵をやらない時は、机の上をすっきりと片付けます。

お気に入りの千代紙や包装紙もまとめてクリアファイルに入れたり、

巻いて仕舞ったり。

私がこっそりハガキを1枚机の上に出しておいたり、仕舞った包装紙類を広げておいても、眺めるだけですぐに綺麗に片付けてしまいます。

その様子は徹底的で揺るぎない。

何を思ってたそうしているのか?

よく分かりませんが、きっとその時々は、確たる思いがあるのでしょう。

ジジは「そっとしておいた方が良いよ」と言います。

 

その確たる思いも、するりと忘れるところが、切なくもあり可笑しくもあり。

また始めるでしょうか?

また始めるでしょう…。

 

アルツハイマー認知症歴10年ですから、それも未知数。

これについて、私達は成り行き任せでいこうと思います。

 

⬇️4月の末から5月もありましたね〜。 

harienikki.hatenablog.com

 

 

 

無我

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(2017年5月26日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

 

上の⬆️貼り絵の日
   午前中に実家に行ってみると、おママは作業机に向かっていました。

その後ろ姿には没我的な集中力を感じます。この日、午前中は雨降りでした。

「お母さん、手元が暗くありませんか?」


   私が声をかけると、おママはようやく我に返って「大丈夫よ」と答えました。

でも、また、作業に我を忘れてしまいます。


  近づいて見ればベルンの昔の包装紙の模様を一心不乱に切り抜いているのです。

ここ数日、この模様ばかり切り抜いて、既にたくさんパーツ化しているのに。


「あら、お母さん、そんなに切り抜いているの?無くなっちゃうわよ。」
「いいの、いいの。」
答えながらも手を止めない姿に強い意志?こだわり?を感じます。

 

   同じ単純作業の繰り返しって、人によったら堪え難いかも知れないけれど、私は割と好きな方だし、おママもそうなのかも知れません…。

午後はこれを使った貼り絵をするかも知れない。それで、私はハガキを1枚作業机の上に出して置きました。

 

  昼過ぎに様子を見てみると…。


  おママは又、模様の切り抜きに没頭していました。


「あら、お母さん、そんなに切り抜いているの?無くなっちゃうわよ。」
「いいの、いいの。」
同じ会話を繰り返した時、私はふと思いました。
おママはこの模様の切り抜きを繰り返す必要があるんだと…。
貼り絵に使うとか使わないではなく、切り抜くという作業自体に意味がある…。
繰り返す作業に心が癒されるとか…?

 

  そんな印象を持ちました。
まさに無我の極み。(笑)

 

   夕方、帰る時に作業机を見たら、

椅子にファイルが出しっぱなしになっていました。


開けてみると、切り抜いたパーツを配した新作が入っていました。(笑)
……。私の考え過ぎでしたかね〜。

冷やし中華はじめました…、ではなかった。

 

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(2017年5月8日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

 

約束を破った私。

  あ〜、ごめんなさい。ジジとの約束を破ってしまいました。反省。

約束とは、

「夕飯に冷やし中華を作ってあげるね」

と言うもの。しかし、外での仕事が長引いて実家に戻るのが遅くなり、

ジジとおママは冷凍のチャーハンと有り合わせのおかずになったようです。

申し訳ない…。反省(それだけならおサルさんでも出来るそうです。)

 

なんでそんな約束をしたんだ。

  おママはスーパーにお買い物に行くと、目についたものはすぐ欲しくなります。

それで買っても、すぐ忘れちゃう。

2週間ほど前に、おママは冷やし中華の袋を見て、

「これが食べたい❗️」

と言い張って買ったそうです。

でも冷やし中華って、ジジが作るのはちょっと大変。

まず生麺を茹で、ザルにあげて、水で洗う。

言うのも書くのも簡単ですが、茹でた麺をザルに上げるって、ジジにはちょいと危険ですよ。

そして、オーソドックスな冷やし中華の具材、切ったり盛りつけたり…。

うーん。さすがのジジにもお手上げです。

 

「忙しくない時間のある時に作って上げるから。」

そう言っていたのに暇もなく、ついにこの土日で賞味期限がきてしまいます。

だから今日は「夕方、戻ったら作って上げるね❗️」と約束しました。

ジジは楽しみにしていたみたい。

申し訳ない…。

 困った買い物

  おママが欲しいと言い張った時、余程の事がない限りジジは買ってあげます。

その方が心身が平和だからです。

だから、冷蔵庫の中はお菓子や食べ物がいっぱい。

「冷蔵庫の中が、何が何だか分からなくなってきた〜⁉️」

先日、ジジが冷蔵庫を開けて叫んでいました。

賞味期限、消費期限が切れないうちに食べるのは大変です。

たぶん「高齢世帯あるある」ですね。

 

  食べたいと言って買っても、おママはあまり未練がないようですが、

ジジは久しぶりに食べるの冷やし中華を楽しみにしていたでしょう。

はい? 賞味期限が切れる冷やし中華の行方ですか?

来週も忙しそうだし…。作ってあげられる自信はないわ。

土日に私が自分の家で食べます❣️(ひど〜い娘)

 

 

 

勇ましいウサギ王子

 

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(2017年5月24日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

   この貼り絵が出来るまで、珍しく私は3枚の写真を撮る事が出来ました。

初めはこんな感じ…。⬇️

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しばらく経って様子を見たらこんな風に変化して…。⬇️

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結構悩んでいたようです。構成が決まらず、時間ばかりが過ぎていきます。

こんな時は、おママは頭が痛くなります。

 

次はこんな感じになりました。⬇️だいぶまとまってきましたね❣️

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この時点で、私は外出先から直帰することになりました。

 

  翌日、私がファイルの中で見つけたのは1番上の貼り絵です。

完成作品は更に進化を遂げました。

私には「勇ましいウサギ王子」に見えるんです。

「これってウサギさんみたいね。」

私がそう言うと、おママは首を傾げました。

「そうね〜。そうかしらね〜?そう見えるか…。」

 腑に落ちないみたい。

 

  後日オネコに言っても、あまり共感を得られませんでした。

私にはウサギに見えるんだがな…。それも勇ましいオス。

イメージは人それぞれだから、まぁ、いっか…。(笑)

 

服えらび

 

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(2017年5月13日 アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

 

    こちら、梅雨入りしました。鬱陶しい季節が始まるのですね。ぶーぶー。

楽しみな予定。 

    海外で暮らしている甥夫婦(オネコの息子夫婦)が一時帰国をしています。

それで、ジジとおママはオネコの家にお呼ばれして、楽しい晩餐です。

 

  私はその予定を知っていたので、何気におママのことが気になっていました。

でも昼間は後輩とずっと挨拶回りをしており、戻ったのは夕方の4時半です。

案の定…。ジジは私の顔を見るなり、

「もう手に負えない。どうしたらいいか分からないって、言っているんだ。」

「………。」

ジジの手に負えないなら、私には無理よ。(笑)

「オネコさんのところに行くのに、何を着たらいいか分からないって言っているんだ。もう、服は分からない!」

あ〜、それはジジの手に負えんわ。(笑)

 

 服選びは至難の技

  確かに、おママは箪笥の前で途方に暮れていました。

適当に見繕って、「これなら色も合うし、肌寒くないわ」と勧めると、おママはどことなく不満げです。でも、私はパソコン部屋に後輩を待たせていたのです。

これ以上時間はない。手早く着替えてもらって、私は仕事に戻りました。

 

   2人が出かける直前に、おママの姿を見れば…、私が着せた服は脱ぎ捨てたようです。別のものを着ているではありませんか❗️

まぁ、コーディネートがまともなのでホッとしました

(やっぱり、おママと私は好みも感覚も違うんだな。)

改めて痛感しました。

 

遺伝か?

  私が遅れてオネコの家に顔を出すと、食卓のテーブルの上に目を引くものがありました。黄色くて、丸くてコロンとしたフォルムのヤカンです。

「まぁ、これ、可愛いわ〜。」

オネコはこのホウロウのヤカンに冷ましたお茶を入れているのでしょう。

私はあまりの可愛らしさに、思わず触れました。

すると、甥が言うのです。

「さっき、おばあちゃんも同じことを言って、同じように触っていたよ〜。」

 えーっ❗️マジか⁉️

おママと私は好みも感覚も違うんだなと思った矢先、やっぱり、親子なのね〜。

(笑)

 

⬆️の貼り絵で使われた包装紙は⬇️の貼り絵でも使われております。

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喜んでいました❗️

 

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(2017年5月26日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

 

  昨日の夕方、関東の所によっては、ひどい雷雨に見舞われました。

その後、急に気温が下がったせいか、私の周りは「風邪ひきさん」ばかりです。

何気、私も冷えたのか…お腹が痛い…。(笑)

以上はあまり文章が書けない言い訳です。m(_ _)m

 

  昨日はおママのお友達(同級生の方です)がお電話をくださいました。

ブログを見てくださったとのこと。ご感想を伺い、本当に励みになりました。

ひとしきりお話しした後、私はおママに変わりました。

おママ、嬉しそうでしたよ。

だって、自分宛のお電話なんですもの。

途中でお喋りが混乱して、お友達には申し訳ありませんでした。

でも、とても楽しそうでした。

心に優しい日差しが射し込むような…。

そんな感じのおママでした。

外との繋がりって大事なんだなと思います。

 

読んで下さり有難うございます。

 

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入りません‼️

 

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 (2017年5月20日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月  草間彌生様の展覧会で購入した折り紙を使用しています。)

 

これが入浴拒否か❗️

   認知症の方にお風呂に入ってもらうのは、なかなか難しいと聞いた事があります。

介護施設のスタッフの方も認知症の方の入浴拒否を和らげるのに苦労していらっしゃるとか…。

ジジの話によれば、「おママもどうしてかなりなものだよ」だそうです。

おママは元々お風呂好きだったはずなのに…。

どうして、入りたくないのかしら?

怖いのかしら?

皮膚にお湯が掛かるのが嫌なのかしら?

 

昨夜、残業のチャーコは見た❗️(^。^)

  昨日の記事にも少し書きましたが、夜のジジとおママの様子が少し垣間見れたのです。見れたと言うか…、私は書類と格闘していたので、聞いたと言うべきです。

 (  )内は私の独り言です。(笑)

 

    夕食後、ジジはお風呂を炊き始め、沸いたらすぐにおママに言いました。

「お風呂できたから、あなた、入ったらどうですか?」

「私、今日は頭痛くてお風呂なんてとても入れないわ。」

(これはいつものセリフらしい。)

「また、そんなこといって、昨夜も同じっtことを言って、あなたは入らなかった。何時だってそう言うじゃないの❗️」

ジジ、虎の尾を踏んでるよ…。)

「そんなことないわよ。今日は気分が良くないよ。」

(まぁ、そうよね。覚えてないもの。)

「いつもいつも、そう言うけど、入ったらスッキリするんだから。入りなさいよ。」

(ジジも悪循環に飲まれてるか〜⁉︎)

「だから、今日は入れそうにないのよ。私は元々お風呂は好きなんです。だけど、今日は体の調子が良くないからダメなのよ❗️どうして、分かってくれないんだから。

本当に嫌な人‼️

(そこまで言うか〜⁉️プンプン怒ってる〜。こわっ。)

 

   2人はなんだかんだと言い合っていましたが、暫くすると静かになりました。

9時半を過ぎて、私が仕事を切り上げ2階に上ってみると…。

ジジとおママはテレビを見ていました。

(お風呂は諦めたのかしら?)

 何時もいない時間に他の人が居た。私が居座っているのは忘れてしまうのだけど、結局その空気をおママは感じ取っていたのかもしれません。

あれこれ考えながら、私は実家を後にしました。

 

それで、あれから…。

  気になっていたのです。あれからどうしたか?

せっかくのお湯は入る人もなく虚しく冷めたか…?

それで、今日、ジジに聞きました。

「あれからお風呂はどうした?」

すると、ジジはあっけらかんと言うのですよ。

「入ったよ!」

えーっ❗️それも2人とも⁉️

どういうテクニックを使ったのかしら?

 

「言い合いの最後に『私は寝る前に入りたくないのよ❗️』って強く言うから、『そうですか、そんなら明日から夕方に、ご飯前に入りましょう❗️いいね』と言ったら、頷いて黙ったよ。」

「ほほぉ…。」

「それで、チャーコさんが帰った後ね。落ち着いて言ったんだ。

『お風呂ができているから、お先にどうですか?』

そうしたら、素直に入ったよ。まぁ、仕切り直しをするんだな。

ドヤ顔のジジを見て、私はつくづく思いました。

さすが、アルツハイマー認知症のおママとの10年。その為せる技❗️

あの剣幕だったおママをお風呂に入れちゃうんから…。(白眼をむく私。)

 

  これはジジとおママの場合であって、どなたにでも当てはまるわけではないと思います。まぁ、おママの性格や繰り返しと感情の波を掴んでの事ですね。

もし、ジジが怪我をして入院でもしたら…、私やオネコはその代わりが出来るとも思えず…。

私は気が遠くなりましたわ。(もう一度、白眼をむく私。)