(2017年6月21日 アルツハイマー型認知症の診断から約10年4ヶ月)
*玄関の下駄箱の配置を変える。
実家の玄関は昔風の作りです。
玄関の三和土(タタキ)から床面までは40センチ弱あります。
木製の沓脱を置いていますが、最近のジジは床面に腰を下ろすのも、靴を脱ぎ履きするのも大変なのです。(要支援1)それで、玄関に手摺を設置する事になりました。
そのためには下駄箱の向きを変えなければなりません。
玄関入って右側にあった下駄箱を正面に持ってくるだけの簡単な作業です。
オネコと私でやっていたら、物音を聞きつけたおママがやって来ました。
*それに納得がいかない。
兎に角、下駄箱の向きが変わった事に、おママは納得ができません。
その前に手摺が設置されるまで暫定的に歩行器(昔、私の祖母が使っていたもの)を置くのも気に入らないようです。
身振り手振りを交えて反論しました。
「私は嫌だわ。これをあーするのに、あれがあるから、ちゃんと出来ない。」
意訳しますと、
(私は嫌だわ、下駄箱を開けるのに、歩行器が置いてあると、ちゃんと開けられない)です。
この配置変えはジジのためにどうしても必要な事だと私達が説明すれば、おママはその時だけは理解してくれました。
しかし、ほんの少し経つと、元の方が良いと主張してしまいます。
「なぜ、変える必要があるの?私は、ほら、大丈夫よ。出来るわ。」
そして、スタスタ玄関のタタキに降りて靴を履きました。
「そりゃあ、お母さんは大丈夫でしょうけど、問題はお父さんなのよ。」
取り敢えず、ジジが難なく玄関を使えるようにする方が重要です。
私達は、ジジに試してもらいながら作業を進めました。
*なぜ、納得いかない?
そこにはおママの現状維持を求める強い志向が感じられました。
おそらく、変えられる事に不安を感じるのだと思います、
そして、今回は事前に言わず作業しました。
だから、おママにしてみれば、「相談もなく❗️」という不快感もあったでしょう。しかし、これはたとえ相談しても記憶に残らないから同じ結果だったと思います。
おママの不安になる事はなるべく避けたいのですが、致し方ない…。
*記憶がないという事
オネコと私が下駄箱の作業をしている間は現状維持を主張しましたが、終わってしまえばそれまでです。おママは配置換えの事も自分が強硬に反対した事も忘れてしまいました。
その日の夕方、私が帰る頃には、おママは玄関の変化に言及しなくなっていました。
認知症の程度にもよりますが、おママの様に家族も分からなくなってくると、
見慣れた光景の変化も時間が経つと気が付けなくなります。
作業中の現状維持志向はその場限りの不安感によるものだったのでしょう。
*数日後、手摺がつきました。
数日後、レンタル業者の方が来て下さり、仮設置をしました。
あれこれジジと試してみましたが、
床と天井を突っ張るポールが実家の玄関とジジの現状には合いそうです。
その日のおママは玄関を通る時に数回、私に尋ねました。
「どうしてこんな物があるの?」
目立つ所に頑丈そうな手摺が立っているのです。気になりますよね〜。
しかし、イヤだった歩行器も片付けられ、すっきりとした玄関には満更でもないようでした。
アルツハイマー型認知症の診断から数年前までは、一定期間、おママは変化や物事に強い拘りを見せる時もありました。
最近は長期記憶も失われつつあるからでしょう。おママの拘りは薄まったように思います。
今は過去が無い分、うまく導けば新しい事への順応性は得られるのかも知れません。
まぁ〜、それも症状が進んだという事なので、喜べる話ではないのですが…。
強い拘りについての記事 ⬇️ こんなこともありました。
震災の時、ガスコンロの修理をしてから暫く大変でした。⬇️
おママの貼り絵を見て下さり有難う御座います。