アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

チクっと痛い。

 

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 (2017年8月2日  アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月)

 

チャーコの告白。

  本日アップの貼り絵は前回の写真にもちょっと顔を見せておりましたが、これが正式なお目見えとなります。(笑)

   この貼り絵を撮影している時、おママはこんな事を言いました。

「真ん中のピンクが他と色合いが違いすぎて浮いていて、なんだか…。」

おママには色が問題だったのですね。

実は私も真ん中のピンクのパーツが気になりました。

でも、色相や彩度の問題ではなありません。

告白しますと…、私は先端恐怖症であります。

この貼り絵を見た瞬間、

チクっと痛みを感じました。(笑)

 

昨日(9月25日)の失敗

  最近、おママの入浴援助が私のお役目のようになっております。

実際、この2ヶ月ばかりを考えますと、私は上手くいっていますしね。なんのかんの洗髪もしてますから。

「私が手伝えばおママはすんなりお風呂に入ってくれるわ。」

ちょうど自信もついてきたところです。

 

ところがです…。

ダメだった…。

  昼から午後にかけておママはご機嫌でした。夕方は買い物にも行き、ほぼ絶好調でと思われました。

(火曜日はデイサービス、今週の水曜日は親戚がお墓まいりに連れていって下さる。あれこれ考えると、今日は外せない。)

私は強い決意のもと、おママにお風呂を進めました。

 

「おつかいに行ったから汗をかいたでしょう。お風呂の支度ができましたよ。」

「そうなの?」

「どうぞ、どうぞ。下着も用意しましたよ。」

おママは一瞬その気になり、立ち上がりました。そして、いつもと同じ事を言いました。

「私は今日は無理だわ。フラフラするの。頭がフラフラして、ダメだと思う。」

たいてい、私が「それでも汗を流すとさっぱりしますよ」と言えばなんとかなるものなのですが、昨日のおママは頑として翻意しませんでした。

 

だから、ちょっと気分転換をさせようと私は画策しました。仕切り直しですね。

 

  30分ほど、私はおママと書類をシュレッダーにかける作業をやり、また入浴に誘いました。

きっと、さっきのことは忘れているから大丈夫。

そう確信していたのに、ダメでした。

 

「あなたには申し訳ないけど、私は今日は無理なの。気分が悪いのよ。」

「でも、お母さん、何日も入っていないのよ。」

「そうよ、私は身体の調子が悪いの。あと2日くらいは無理なのよ。申し訳ないけど、絶対に今日は入れないの。」→このところ、元気そのもの。

「でも、お母さん、明日も明後日もお出掛けだから入ったほうがいいわ。私がいるうちに入った方がお父さんも良いと言っているわ。」

「いいのよ。今は入らないわ。夜になったらちゃんと入れますから❗️」→話が変わった!

 

私の「でも…、でも、…」攻撃にも、一歩も引かないおママ。

私はいけないことですが苛立ちました。。

 

「でも、夕ご飯の後だと疲れちゃうでしょ。明日と明後日はお出掛けで人に会うからキレイにしておいた方がいいわ❗️」

「どこにも出掛けないわよ。私は関係ないもの❗️」

「でも、行かないと…。」

「私は胸が苦しくて、絶対に出掛けるなんて無理なのよ、行きません❗️」

 

そこまでおママが言い切った時点で、私はようやく目が覚めました。

(マズイ…。この言い争いを一刻も早く忘れてくれ〜。)

 

深い反省と自己嫌悪

「絶対出掛けないわよ‼️」

  そう言い切ったマイナスの気分が残ってしまい、翌日デイサービスに行く時に一悶着があったらどうしましょう。

ジジも大変だし、迎えにきてくれるスタッフの方にも迷惑がかかります。2日後のお墓まいりもそうです。

 

  いつも、おママの記憶がなくなる事を嘆いている私ですが、この時ばかりは直ぐに忘れて欲しかった。なんと私はご都合主義なんでしょう。

  おママが認知症のになって10年以上経つのです。それなのに私はまだ負のスパイラルにはまってしまうなんて…。学習できない私…。

 

  結局、私は入浴援助を断念しました。帰り際、ジジに言われましたよ。

「ごめんね。夜、(ジジが)入った後にすすめてみるから。」

「髪の毛洗うのはできないね…。すみません。」

「まぁ、それはまた…。」

本当に申し訳ない…。・

 

  帰途の電車の中で、私はなんとも言えない無力感と自己嫌悪に襲われました。

吊革に掴まって揺れていると、ここ数ヶ月の自信も崩れ去って行くように思えます。

自分の言動を1つ1つ反芻しました。

どこがどうとは言えませんが、私は慢心していたのでしょう。

アルツハイマー認知症のおママを侮っていたのかもしれません。

おママはそんな私の心を見透かして、反発したのでしょうか。

胸がチクっと痛みました。

 

そして、思い起こしたのが上の貼り絵です。(涙)

嗚呼、チクチク痛いよ〜。

 

1日経って実家に電話してみると、ジジの明るい声がしました。

「あれからね〜、私がお風呂に入った後に、おママも入ったよ。今日はデイサービスもちゃんと行けたから。」

ホッとしました。

 

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。