アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

ハサミで切るのが好きなのは分かるけど…。

 

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(2017年8月20日  アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月)

 

得意技

「こんなによくも切ったものだ…。」

写真撮影の時、おママは上の貼り絵を見ながら溜息交じりに言いました。

そうですよね〜。

私よりハサミ遣いが上手いと思います。

模様と模様の間で切り抜けなかった所は3箇所、厳密に言えば4ヶ所です。クリーム色の地色が残っている部分だけです。

時として、黙々と切り進めている姿はパラノイア的とも、拘りにも思えるのですが、基本的にはハサミ遣いが好きなのでしょうね。

 

やめて〜!

  先日、私は実家に花柄のチュニックを着て行きました。華やかな小花が散りばめられていて、私のお気に入りです。

おママはその綺麗な花柄に気が付いて、私の後をついて歩きます。

そして、裾や袖に触れて言いました。

「あなたのこれ、本当にきれいね〜。これ良いわね〜。」

そのおママの語感に、貼り絵の材料を見つけた時の喜びに似た響きがありまし

た。

「切って貼ったりしないでよ。」

まさかとは思うのですが、釘は刺しておきたいものです。

絶対に覚えていないだろうけど…。(笑)

すると、おママはウッシッシと笑いました。

「ハサミを持ってきて切ってやろうかしら。ここをチョキンと。」

やめて〜。

 

まぁ、これだけでしたら他愛のない話ですが…。

 

「あなたのこれ、本当にきれいね〜。これ良いわね〜。」

「切って貼ったりしないでよ。」

「ハサミを持ってきて切ってやろうかしら。ここをチョキンと。」

 

実家にいる5時間のうち、おママは私を見る度に、同じ会話を全く同じ言い回しで

6回繰り返しました。

おママにとっては毎回新しい発見ですが、私はそうではありません。

流石に5回目以降になりますと、本当にやられそうな気がして、ゾワっと身震いをしてしまいました。(笑)

ハサミは得意技ですからね。

 

絶対にもう実家には着て行かないわ‼️

 

 

⬇️ 元の紙はこちらです。

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⬇️過去記事でも、おママのハサミ遣いは冴えていました。 

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。

 

 

哀愁の雨傘❗️

 

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(2017年8月7日 アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月)

 打合せから戻ってみると

   今日の関東地方は雨でした。気温も低めです。

最近のあるあるで、ジジの調子はイマイチ。

雨ならシルバーカーが使えないし、傘をさして杖ついたら危ない。こんな日はお買い物に出るのは禁物です。

オネコが実家に来るついでに、今夜のおかず等を買ってきてくれる事になっていたのですが…。

午後、私が仕事関連の打合せから戻ってみると、

 

「おママがお遣いに行くってうるさいから行って来るよ〜。」

 

ビックリです。その時の空模様は霧雨状態から小雨に移行中だわ〜!

傘を差さないでは歩けません。

「玄関に出て外を確認してから言ってよ❗️」

私は少々(?)声を荒げてしまいました。それでジジは外に出て納得したようです。

 

説得を試みる

「今日は雨が降っているから、お遣いには行かれないよ。」

しかし、一度は行く気になっていたおママは納得してくれません。

「そんなこと言ったって、夕ご飯の事もあるし、行かないわけにはいかないでしょ。」

「オネコさんがこっちに来るついでに買ってきてくれるんだよ。行く必要がない。」

「オネコさんが……?……?」

「だから、行かなくて良いんだよ。」

「そんな事ばかり言って。何を食べるか分からないじゃない。私とあなたで行けば済む事なのに。人に頼まなくても良いのよ。」

「こんな雨の日は私は外を歩けないんだってば!」

「なんでよ。歩けるでしょう。歩いているじゃないの。」

「家の中ではね。でも、外はシルバーカーを押さないと辛いの。雨だと傘を差して押すわけには行かないし、買ったものを下げて歩くのは無理なんだよ。」

「大丈夫よ。」

「あなたは足腰が丈夫だから大丈夫だろうけど、こっちはもう弱っているの!」

ジジとおママは暫しこの会話を繰り返しながら、だんだん口論のようになっていきました。

「お母さん…。お父さんは89歳なのよ。それに本当に雨の日は外を歩くのは無理なのよ。」

私がこんな風に口を挟んで見たものの、おママは一向に矛を収めません。

ジジとおママの会話はリピート再生のようにドツボにハマっていきました。

 

しまいには…。

「もう分からない…。買い物に行かないなら、夕飯はどうするのよ。」

「だから、オネコが買ってきてくれるって。」

「もう、分からないわよ。だいたい、あなたはそんな事ばかり言って、ちっとも外を歩かないでしょ。こんな事では、しまいには歩けなくなってしまうわよ。歩かないとダメよ。」

「雨じゃない日は一緒に行っているでしょ❗️」

「そんな事ないわよ。」

「お母さん。お父さんはもう、歩けなくなってきているのよ。無理はできないの。」

「それはそうかもしれないけど、私は外に行きたいのよ❗️

あゝ、これがおママの本音ですね。

すると、ジジは鋭い切り札を繰り出しました。

「雨が降ったり、体の調子の悪い時に無理して出掛けて、具合が悪くなったりするし、そんなことが重なると、私は貴女より先に往ってしまうかもしれないよ。」

これを聞き、おママはキッパリ断言しました。

「そんな事ないわよ!」

「お母さん、お父さんはもうすぐ90歳なのよ。無理させないでね…。」

俯きながら、おママは悲しげに呟きました。

「そうね…、でも、なんだか分からない。もう、嫌になっちゃう。死にたいわ…。」

 

あゝ、追い詰めすぎたか…。おママが可哀想になりました。

ここまで、エスカレートさせては行けなかったと、私は反省しました。

とにかく、この負のスパイラルを断ち切らなければなりません。

「それなら、お母さん。私はコンビニに用があるから、お散歩がてら一緒に行きましょう。」

それで、なんとなく治まりがつきました。

 

いまだに学習できていない。

  その後すぐに、おママと私は2人でコンビニに出掛けました。家を出たところで、おママはしみじみ言うのです。

「歳をとるって…、大変で、つらいことだわ。」

本当にそうね。

そうだと思うわ。

私は激しい自己嫌悪に陥りました。もっと早くにあの会話は打ち切るべきでした。

 

出口のない堂々巡りは、何度も経験してきたはずです。

最近、気をつけてはいたのですが、頭では分かっていたのですが、

ズルズルと足を取られて、スパイラルに引きずり込まれた感じがしました。

 

実家からコンビニまで、

短い距離でしたが、雨傘に雫がいっぱい付きました。

あゝ、雨はふる…。

 

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。

 

 

 

 

星の輝き

 

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(2017年6月3日  アルツハイマー認知症の診断から約10年4ヶ月)

 

素敵な寄り道

子供を対象とした絵画教室をやっている友人がいます。

そこの生徒さん達の作品が展示されていると聞き、昨日実家の帰りに作品展に行ってきました。

壁面いっぱいにお子さん達の絵が飾られています。入口に立った時、
「わぁ、きれい…」
私は溢れる色彩の躍動感にちょっと目眩がしました。
全部で100枚以上。圧巻でした。
半分は猫がテーマ。もう半分は色々な動物がテーマです。

たくさんのお子さん達が思い思いの表現で描いているのが面白くて、1枚1枚見ていくと実に楽しかったです。

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制作者は未就学児から低学年が中心、
画用紙の大きさは八つ切(271㎜✖️382㎜)です。

その中に動物なり猫ちゃんをぽつんぽつんと描いて背景を塗るシンプルな手法あり、画面を埋め尽くすほど物語を感じさせるような描き込みをしているものもあり。どれもお子さん達の個性が発揮されているようです。

 

たくさんの絵を見ていくと心が癒され、和んできます。
それと同時に少し違う感動もありました。
私には、小さい子って、わーっと興奮したりすると物凄い熱量を発する印象があります。それがそのまま画面から感じられるのです。

子供の絵画を見慣れていない私は完全にノックアウトされました。

 

幾つか、私の好きな作品をご紹介しますね。

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あそぶ    小2年

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三毛猫   小2年

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ドアをあけたら    小1年

 

「なんで、こういう風に模様を書いちゃうんだろう?」
私が興味深く訊ねると、友人は言います。
「小さい子供の絵に『なぜ』はないわよ。『なぜ』と(本人に)聞いたら、その時は何か答えるけど、おそらく求めるような回答は得られず、あなたの疑問は深まるばかりよ。」
つまり、大人の理屈は通用しない世界なのですね。お子さんの年齢にもよるのでしょうけれど、制作時はその時の感性が前面に発揮されるのでしょう。

 

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 おいしいハチミツをありがとう 5才年長

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ママもうっとり6才年長

 

友人と色々話をしました。
画用紙は…。
通常お教室では、この八つ切を使っているそうです。大きすぎず小さすぎず、お子さん達にもいい大きさですね。今、私が何かを描くとしたら、このくらいの大きさなら取り組めるかもしれません。(笑)


時間は…。
だいたい、1枚に2時間くらいとのことです。熱心に描写するお子さんはもっと時間をかけるとか…。これも個人差のようです。小さいお子さんが本当に集中出来るのは1時間ほどで、後はお話をしたりアドバイスしながら描き進めると聞きました。

 

  ふと、私はおママが貼り絵をしている後ろ姿を思い浮かべました。
おママが一度に制作できるのは、だいたい30分から1時間です。(休憩を挟んで、新たな発見のように続きに取り組むこともありますが…。)
おママはハガキサイズに、切り抜いたパーツを貼っています。やはり所要時間的にもハガキは丁度良い大きさなのだと思います。
記憶が持続しないアルツハイマーのおママは「こうしよう」とデザインを決めても、糊付けしている最中に、パーツがズレたらどんどん構成が変わってしまいます。アドバイスをしても忘れてしまう…。(笑)

 

  お子さん達には記憶力が備わっているから、初めのアイデアが最後まで続くのかしら?それとなく友人に訊いてみたら、
「描いているうちに、付け加えたり、ああしよう、こうしようと、変わっていく事はあるのよ」
との事でした。そうですよね。やっていくうちにアイデアが浮かんでくるのは自然な事です。

 

異なる星の輝き
  おママはアルツハイマーの症状のために、だんだん記憶や時間の概念をなくしつつあります。そんなおママに接していると、時々、童心に返っているような気がします。だから、私はお子さん達の創作に近いものがあるのではないかと思っていました。

でも、全然違う。


  おママ自身はアルツハイマーで失われたとしても、すでに大人として生きてきた時間があります。記憶は薄れても、積み上げてきた経験や嗜好は湧き上がってくる。そして、それらがハガキ大の中に、楽しげに切り貼りされているのでしょう。それは素敵。

 

  お子さん達はこれから新しく色んな体験して成長しています。そのプラスの輝きはまるで星のようです。未知のエネルギーが画面の中で躍動して生命力に溢れているのでしょう。それはとても素敵。

 

昨日は楽しいひと時でした。
お子さん達の絵に元気をもらいました。

 

星の子展 VOL,3 皆 未来の輝く星になる
猫部門☆2017年9月1日(金)〜5日(火)
動物部門☆2017年9月8日(金)〜12(火)
12:30〜19:00 日曜、最終日は17:00まで。

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おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。

宝石箱を転がして

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(2017年7月26日 アルツハイマー認知症の診断から約10年5ヶ月)


 ここ数日、関東地方は過ごし易かったのですが、また暑さはぶり返すのでしょうか?

 

   今年の夏は暑かった…。と、私は思う。


  7月8月を通して、ジジや私はバテていましたが、おママは風邪もひかず、それなりに安定した健康状態を維持しました。これはアルツハイマー認知症のおママだけでなく、私達家族にとっても幸いな事です。


  暑くて気力も体力も無くしている娘(おもに私、オネコは比較的元気だった)を余所に、

おママは毎日とはいかなくても、2日で1枚くらいのペースで貼り絵を作り続けました。お盆の時期は5日ほどブランクがあったり、時々3日休みましたが、

コツコツよくやったとお思います。

 

  そのなかで、今日アップした貼り絵は特に印象深い作品です。
使っている紙の種類が本当に多いこと!全部で13種類です。

机の上に置いてある包装紙や千代紙の切れ端を集めてきたのでしょう。

それにしても、冴えたデザインだと思います。


私はこの貼り絵の完成を見た時、宝石箱をひっくり返したような、そんな風に感じました。

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(7月26日撮影。この作品はあまり構成に悩んではいなかったようです。)

 

  秋は季節の変わり目。台風が来れば低気圧でおママも気分が良くないでしょう。

そして、認知症の症状は少しずつですが確実に進んでいます。

この先、どれくらいおママは貼り絵を続けられるでしょうか。

細々とでも、作り続けられたらなぁと祈っております。

 

皆様も、お元気でお過ごしくださいませ。

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。

 

 

パソコンVSタブレット

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(2017年8月3日  アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月)

 

  私はブログのアップなどの作業をタブレットで行なっています。

スマホで写真を撮ってタブレットで共有すれば、写真の貼り付けも簡単ですもの。

でも、パソコンのキーボードに長年親しんだ世代なので、タブレットって文字入力しにくい…。その悩みも、最近タブレット用のキーボードを導入したので(娘のアズキから拝借しただけですが)かなり不便さから解放されました。(笑)

 

おママにブログを見てもらう時は…
それはさておき…。


   私は貼り絵の写真撮影の後には、

なるべく直ぐおママにブログを見てもらうようにしています。

それは、何のために写真を撮るのか、写真がどう使われているのかを、おママに説明するためです。

おママには記憶能力はありませんから、その都度、時間が許せば見せます。

でも、これはなかなか…、気を使うものです。特に次の点です。

 

☆ブログタイトルは見せない。
  おママはアルツハイマー認知症の診断を受けて10年以上経ちます。

当然ながら自分がアルツハイマーであるという自覚がありません。

すぐに忘れるとはいえ、現実を突きつけられると、一時的に心が乱れるでしょう。

ただでも、混乱して頭痛を起こしやすいおママの脳ですもの。

そうなると、私達周りの者も大変だし…。

でも、おママがアルツハイマー認知症という言葉の意味を解しているかというと、それも定かではありません。私の老婆心かもしれませんね。

幸い、たくさん並んだ文字列をじっくり読む事はしないから、おママは内容までは読みません。(ホッとしている私)

 

☆主に写真を見てもらう。
 基本的におママに見てもらいたいのは貼り絵の写真ですから、

1記事に2枚以上の写真が含まれているものを選ぶと、おママは喜びます。

特に制作途中の写真があると、会話が弾みます。

そうなると、カテゴリー『貼り絵の制作について』の記事が無難かしら。

 

パソコンで見てもらうか?タブレットにするか?
  これまで何回か、おママをデスクトップ型パソコンの前に連れて行って、ブログを見てもらいました。


貼り絵を入れているファイルを開きながら、
「あ、これはこれと同じ! あっ、これもある」
たいそう喜んでくれるのは良いのですが、


「どうしてここに(ファイルに)あるものが、こっちに(パソコンに)入っちゃうの?」


そう何度も聞かれると、説明が大変でした。

ひとしきり説明すると、また最初に返って
「どうしてなの?」
となるからです。


   でも、おママの感覚からすると、自分が越前和紙のハガキに様々な紙を切り貼りした貼り絵が、なぜテレビみたいなパソコンという額縁の中に映し出されているのか。

大いなる謎でしょう。

おママにとってパソコンは遠すぎる存在でした。

 

  それで…、
先週の金曜日はタブレットで見てもらいました。

手に持って見られるし、おママには身近に感じられるかなと、私は考えました。

 

「ほらお母さん、私がやっているブログで、お母さんの貼り絵を毎日紹介しているのよ。」
「あら、本当だわ。きれい!良いわね〜、同じものが載っているわ。」

感嘆して喜んでくれるのは良いのですが、

どうもおママはタブレットの形状から、本か雑誌だと思ったのでしょう。

嬉しそうに貼り絵の写真を指でなぞり始めました。

「あれ?あれ、やだ、動いちゃう。」

そうです、タブレットは紙ではないので、触れば動いちゃうんでした〜。


「ちょっと待って、私が動かすから。」


でも、触って動くとなるとおママも触りたい気分になるようです。

しかし、触れば触るほど、画面はおママの意図とはかけ離れていきます。
写真が大きくなりすぎたり、写真を見ていたのにスクロールされて見えなくなったり。

その結果としてタイトルをバッチリ目撃してしまったり…。
「ねぇ、アルツなんとかって書いてあったわよ。」
あぶあぶ…、あぶない…。


慌てて私がスクロールして隠したら、おママは今度は広告を触ったらしく、ブログ自体が画面から消えてしまいました。

「あ〜っ」

 

パソコンで見てもらうより何倍も疲れました。

パソコンだと自分でマウスを持って操作しようとはしませんから。

 

タブレットはパソコンより身近で、おママにも楽しめるかと思ったのですが、

それが逆効果だったようです。


おママもタブレットに触り慣れれば良いのかも知れません。

でも、前回の経験が記憶に残らないから、

同じ事の繰り返しでしょう。

 

教訓…。
当分、おママにブログを見てもらう時は、パソコンにしよう…。

 

おママの貼り絵を見て下さり有難うございます。

 

 

それは…、きっと…⁉️

 

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(2017年7月26日 アルツハイマー認知症の診断から約10年5ヶ月)

 

 写真撮影

  8月下旬に撮影した貼り絵の写真が暗すぎたので、昨日撮り直しました。

私がファイルから貼り絵を一枚づつ取り出し、撮影していますと、

例によっておママは興味津々で近寄ってきます。

 

「へぇー、それで撮るの?」


スマホでも撮影している事に毎回驚いてくれます。(笑)
恐らくですが、おママのイメージに残るカメラの形状はスマホとは程遠いものでしょう。
私の作業を見ながら、おママはついつい身を乗り出してきます。
あ〜、影になるではないか…。
「お母さん、お願いだから、暗くなるから…。」
そう頼むと、分かったのか分からないのか定かではありませんが、一応「はーい」と言います。しかし、何度も同じことを繰り返してくれました。(笑)


  それから、おママは開いたファイルの中にある貼り絵を眺め始めました。この時にいつも、おママは自作についてあれこれ語ります。それがなかなか面白いのです。


昨日も…。
  この夏、最もヘビーローテションされている寄木細工柄の千代紙があります。何度も登場していますね。おママはそんな貼り絵の1枚をを指し示しました。


「これは良いわよね。」
「そうですね。素敵ですね。」


「実はこの間、これを(貼り絵を)見にきてくれた人が言うのよ。この紙はとても良いから、もっと沢山作れって。それで、いっぱい作ったの。」

「………。」

 

  誰が見にきたのかな?
6月以降、地域包括センターの方やケアマネージャーにもお見せしたけど、

そんな事は聞いていない。
「でも、見て下さって、いろいろ言ってくださるのは嬉しいわ〜。」
「そうですか…。」


私は釈然としませんでした。

誰が?
いつかなぁ?
私が千代紙を買ったのが7月初旬ですから、それ以降です。

上記の福祉関係の方にお見せしたのは主に6月。
誰だろう?

 

1人、思い当たる人物がいました。
それは、私…。(笑)


おママがこの千代紙を気に入ってくれたので、
「お母さん、これはいろんな切り抜き方ができますね〜。いろいろ、沢山作れますね〜。やってみてね〜。」
みたいな事は言った気がします。

 

おママは記憶がはっきりしないから、断片的に残っているイメージから話を多少作っているのでしょう。まぁ、大筋では間違っていません。

 

それにしても、
私→→このあいだ見に来た人
やってみてね→→作れ

しっかり転化していますね〜。

 

  認知症の方の記憶は漠然としたイメージになるのかも?
そのイメージもすぐに消えてしまうでしょう。


ただ、おママの場合、

それが消えないうちに毎日何度も同じ千代紙を眼にしたら、

その都度、言われたイメージが脳味噌に上書きされていくのではないかしら?

 

おママがこの千代紙をヘビーローテションした原因が…、
私だったなんて‼️


思いもよらなかったわ〜。

 

⬇️小津和紙で購入した、寄木細工柄の千代紙です。

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 おママの貼り絵を見て下さり有難うございます。

 

嬉しい再会

 

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(2017年8月30日アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月

叔父さんと会った日の夕方に作りました‼️よく切り抜いたと思います。元の紙は下記写真のものです。)

 

お出掛けしました❗️


7年ぶりでしょうか?
8年ぶりでしょうか?
おママもオネコも私も、叔父さんに会うのは久しぶりです。

 

  長年ジュエリー作家として活躍されている叔父さんが、銀座で開催される展示会に出品するとの事。そして、この日だけは会場にいらっしゃるとお知らせを頂き、オネコと私はおママと一緒に出掛けました。


  叔父さんはおママの従兄弟にあたります。おママとは子供の時分からのお付き合いです。オネコと私も若い頃は何度もアトリエにお邪魔させて頂きました。

 

会場にて
  まぁ、叔父さんのお変わりのない事❗️

全然お歳を取っていないみたい。

創作活動をされている方って、若いのは気持ちだけではないのですね❗️

 

「フキコ姉ちゃん、ぜんぜん変わらないね〜。」
10歳以上若い叔父さんにそう言われておママも照れ気味です。
「いや〜、そんな事ないのよ。もう、おばあさんになりました。」
でも、なんとなく嬉しそう。

 

 実際はオネコに孫がいるから、おママは「ひいお祖母さん」なんですよ。
チャーコの娘のアズキは今度大学卒業します。早いもので…。

各々そんな近況を語り合いました。

このブログも見て下さっているとの事、ジジとおママを気に掛けて下さっているのが嬉しかったです。

 

それから、叔父さんにの素敵な新作ジュエリーを拝見しました。

 

  ところで、
叔父さんの苗字はおママの旧姓と同じです。
アトリエのロゴマークローマ字でその苗字が配置されています。


おママは作品ケースの中にあるロゴマークを見て、色めき立ちました。


「あら、同じだわ〜〜!」


当人はうまく言い表せないようですが、自分の苗字を見つけてとても嬉しかったようです。

  叔父さんとゆっくりお話しできました。

そして綺麗な作品も間近で拝見して、会場を後にしました。

 

後日、思い返しますと…。
  最近、おママときたら、旧姓はパッと浮かぶのに現在の苗字は出てこないのです。
おママの人生の中で3分の2以上は現在の姓を名乗っています。

それなのに、旧姓の方が出てくるのは、家族としてはちょっと切ないですね。

ただ、私達はもう慣れっこなので、笑って流せるようになりました。とほほ…。

 

でも、ちょっと…おママ…?
ローマ字で書かれた苗字が読めたの?(笑)
会場にいる時から、私が引っかかっていた事です。

 

この件について、オネコと話しました。


「ローマ字が読めちゃうなんて!驚きよね〜。」

私がそう言うと、オネコは、


「そりゃ、読めるんじゃない?漢字だって読めるんだから。」

 

うーむ。そういうものなのか…⁉️
漢字読むのとローマ字読むのでは随分違うと思うのだが…。(笑)

 

 

⬇️この日の事でございます。(笑)

harienikki.hatenablog.com

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 おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。