(2018年9月17日 アルツハイマー型認知症の診断から約11年7ヶ月)
*幻の女
沈みゆく太陽をその唇に差し、
あなたは微笑んだ。そして吐息交じりに囁くのだ。
これはうたかたの恋。すぐに消えてしまうわ。
あなたは赤い唇を噛んだ。そして幻の船を漕ぎだすのだ。
*月に1度の「月末企画❗️今月のイチ押し‼️』の日です。
と言っても日付が変わってしまいました。m(_ _)m
いま、台風24号の暴風雨の音を聞きながら、書いております。((((;゚Д゚)))))))
この企画はその月におママが制作した貼り絵の中で、私やオネコが1番気に入った(面白いと思った)作品をご紹介するものです。
判断基準は⬇️こんな感じ…。。
綺麗もしくは興味深い作品。
制作エピソードがある。
制作途中の写真があれば尚良し。
おママの独自性が強い作品。
今月のおママは9月28日現在42枚の貼り絵を制作しました。
夏を乗り越えて、おママも少し気力を取り戻したようです。
実家へ行き2階に上がると、作業机で貼り絵に取り組んでいるおママの背中が、私を迎えてくれる。そんな日も多くなりました。
総じて色彩豊かな綺麗な作品が多かったと思います。
私が当初「今月のイチ押し」に選んでいたのはこの作品ではありませんでした。
でも、(この貼り絵もアリだな…)と思っていたのです。
オネコは言いました。
「やはり他の作品とは違う印象だから、これが良いわよ。」
ジジもきっぱり言いました。
「それ良いね。出来上がった時に、わざわざ見せに来たんだよ。印象的だった『良いじゃないか❗️』って言ったら、お母さんは喜んでいたよ。」
私も2人の意見に異論はなく、今回の「イチ押しミーテイング」はさして紛糾もせず終了しました。
綺麗もしくは興味深い作品です。おママの独自性が強い作品です。
そして極めて幻想的で謎の多い貼り絵です。
*深まる謎
9月17日月曜日の夕方、おママは静かに作業机に向かっていました。夕食を作り終えた私は挨拶してから帰ろうと思い、声をかけました。
「御精が出ますね。お手元暗くありませんか?」
「…ん? 大丈夫よ。」
その時おママが取り組んでいたのは⬇︎ この貼り絵です。珍しく写真を使っていました。
「面白いデザインですね。出来上がりが楽しみだわ。」
「そうかしら。」
おママは小さく微笑みました。
⬆︎この貼り絵はまだ糊付けをしていませんでした。
(どんな風に完成するんだろう。)
私はとても楽しみでした。
ところが‼️
9月19日の水曜日、実家についた私は直ぐに貼り絵のファイルを開きました。
ありゃ⁉️ ない‼️
⬆︎の貼り絵がないのです。ここまで構成していたのですから、多少の変化はあっても全く止めてしまうことはないんじゃないか⁉️
私はファイルの中だけでなく、作業机の引出し、本の間に挟まっていないか、思いつくところを探しましたが有りませんでした。
作りかけの貼り絵は忽然と姿を消し、貼り絵のファイルに有ったのは似ても似つかない不思議な作品。謎です。
後日、写真撮影した時に、貼り絵の裏面に記入している日付をみれば、トップの貼り絵はまさに9月17日。
「えーーーっ❗️仕上がったのはこれだったのか⁉️」
私はしばし言葉も出ませんでした。(°_°)
おママはどうして直線的なデザインを止めて、曲線中心の幻想的な構成に切り替えたのでしょう?
記憶のないおママに確認する術はありません。
謎は他にもあります。
「どうして女の人の顔をここ(唇の直ぐ上)で切ったのかしら?」
左のパーツを撫でながら、オネコは首を傾げました。
1つ言えることは、おママはその時々で何か考えなり理由があってパーツを切り抜くのです。
オネコと私の想像ですが…。
使ったのは雑誌の広告ページかも知れません。
おママは市松模様の服を着た女の人が写っているページの何かを切り抜いていた。
それはおそらく市松模様の服?
しかしうまく使いこなせず、ひっくり返して裏を見ると、深くて上品な赤が有った。
切れ端をいくつか裏返せば、結構綺麗だった。
モデルの顔は変な風に分割されてしまったけど、ちょっと面白いかも…。
そして、表裏の写真を組み合わせて、おママは完成させたのではないか?
この市松模様の服を着た女性の写真の裏面が何だったのか⁉️
私は制作途中写真を撮った9月17日の夕方に、しっかり確認するべきでした。
今となっては後の祭りです。
そうは言っても、今年最も幻想的で異彩を放つ作品です。
この『幻の女・深まる謎』を、「今月のイチ押し」に決定‼️👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏
なんだか、サブタイトルがドロドロのサスペンスドラマみたいでしたね。(^O^)
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。