(2018年10月8日 アルツハイマー型認知症の診断から約11年8ヶ月)
*今、実家は味噌ブーム
塩分取りすぎには要注意ですが、味噌は日本の伝統的な調味料であり、健康的な大豆発酵食品であります。(^O^) 味噌汁はお馴染みの家庭料理です。
ところが、おママがアルツハイマー型認知症になってから、実家では何故か殆ど味噌汁を飲まなくなってしまいました。
今年に入って私が月水金の昼・夕食を担当する事になっても、
(ジジは味噌汁嫌いだったっけ?そう言えば、おばあちゃんは味噌を好まなかったしな…)
最近まで、私はそう思い込んでいたのです。
9月、ジジは『脊柱管狭窄症』の記事が読みたくて⬇︎下記の雑誌を買いました。それに『酢味みそ汁』の特集がありました。
確か先に読んだのは私。
「酢味噌汁は身体に良いそうですね。糖尿にも高血圧にも便秘にも効果あるって書いてあるわ。味噌汁に酢を加えるだけらしい。」
「へぇー。」
別にジジは味噌汁が嫌いではなかったらしい。そう言えば、たまにインスタント味噌汁は買っていましたね。
ジジも熱心に読み、以後、実家の食卓に上る汁物は断然味噌汁が多くなりました。
「お酢も入れてね。」
ジジはすっかり気に入ってしまったようです。効果はまだ実感できていませんが…。(^O^)
「酢を入れると、かえって味噌の塩気が柔らかくなるね。全然酸っぱさは感じないし。」
(そうね…。私には少しだけ酸っぱいけど…。)
おママは何も気にならないようです。
ほぼ2人分なので、実家では味噌汁は小さな片手鍋で作ります。
それに大さじ一杯弱くらいの酢を投入しています。あまり酸っぱいとおママが嫌がるでしょうから、隠し味程度にしています。
最近では、味噌汁だけでなく、味噌煮込みうどんにも酢を入れています。
酢味噌汁は悪い事はなさそうだし、何よりジジが「身体が温まる」と喜んでいるから、私も作り甲斐があります。
*おママの野菜スープ
酢味噌汁を作りながら、私は思うのです。
(なぜ、おママは味噌汁ではなく、野菜スープを作り続けたのか?)
私はおママが認知症の診断を受けて間もなく、ジジの仕事の手伝いの為に、実家へ通うようになりました。
その頃から2016年の夏頃(診断から約9年半)まで、
おママは毎日のように野菜スープを作り続けました。その間、私の記憶違いでなけれな、おママが味噌汁を作る事も味噌を買うことも無かったように思います。
その野菜スープは…。
ジャガイモ、玉ねぎ、人参、椎茸orしめじ、セロリ、ピーマンなどに、
ウインナーソーセージを切って加え、出汁はブイヨンです。味付けは塩胡椒。
おママは昼前になると、自然と台所に立ち、たくさんの野菜の皮をむき、形を揃えて切っていました。仕事の合間に私は2階の台所の様子を見に行くと、トントンと軽快な音がして、おママが俎板の上で野菜を切っていました。
柔らかに煮えた野菜は、ソーセージとブイヨンの出汁が良く沁みて…。
それはとても美味しかったし、野菜がたくさん入っていましたから、ジジの健康にも貢献していたでしょう。そして調理を続けられた事はおママ自身のためにも良かったと思います。
最後の2年間くらいは、認知症の症状が進み、何度も塩コショウを入れたりブイヨンを2度入れたりするから、塩っぱくて汁は飲めませんでした。でも、野菜だけならば、スープ煮として考えると美味でした。
*何故、味噌汁ではなかったのだろう。
昭和一桁生まれのおママにとって、子供の頃から慣れ親しんでいたのは和食でしょう。実際、おママが主婦としてバリバリ台所に立っていた時分は、味噌汁や和風のお汁は定番で、野菜スープが食卓に上がる頻度は少なかったと思います。
それに、昔のおママは味噌風味が好きでした。柏餅だって味噌餡の方を好んでいましたもの。
なのに、認知症になっても作り続けたのは野菜スープでした。それはもう、強いこだわりがあるかのように、来る日も来る日もおママは野菜スープを作りました。
なぜ?
今のおママに聞いても答えはないでしょう。既に野菜スープを作っていた事自体、記憶にないでしょうから。
考えても私に正解は見いだせないと思います。
ふと思い出すのは、私がまだ中学生や高校生、そして大学生だった頃、
おママがオーブンからグラタンを出す時の楽しそうな顔。
「これはラタトゥイユというのよ。」
「これはラザニア!」
昔の食卓にはちょっと洒落た名前の料理を作った時の満足そうな顔。
もしかしたら、洋風なお料理に憧れと強い関心があったのかしら?
豊富な野菜と風味豊かなウインナーソーセージをブイヨンで煮た野菜スープは、
おママにとって作って楽しいお料理だったのかも知れませんね。
*本日アップの貼り絵について
オネコが⬇︎この冊子の表紙が素敵なので、持ってきてくれました。
化粧品メーカーから送られてきたそうです。
キノコのイラストでしょうか。秋らしい雰囲気ですね。
「おママはこれ好きそうよね。どんな風になるかしら。」
オネコは楽しみなようです。
でも、ママがその紙をいつ使う気になるか、全く予想がつきません。
10月5日にオネコが実家に持ってきて、8日制作ですから、今回は早かったですね。何年もおママの作業机周辺に埋もれて眠ってしまう多い中、実に幸運な紙でした。
それだけ、おママの心の琴線に触れたのだと思います。
⬇︎こちらが公式サイトのようです
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。