アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

バナナですよ

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(2019年9月30日 アルツハイマー認知症の診断から約12年7ヶ月)

 

最近、小食になったの。

このサブタイトルは私の事ではありません。おママです。

おママは確かに見た目も痩せましたが、最近食べる量が減ってきたように思います。

これはジジも同感のようで、特に朝食が進まなくなったとの事。

毎朝、ジジはシリコン容器に溶き卵や冷凍の野菜や冷凍のミニハンバーグを入れて加熱します。出来上がるのは具が入った卵焼きのようなものです。

 

今週の月曜日(7月20日)に、深刻な顔をして、ジジはその事を私に言うのです。

 

「心配といえば心配だが…。何も食べないわけじゃないんでしょ。」

「ヨーグルトとシリアスを少し。」

シリアル❗️」

ジジは間違えて覚えてる…。(^◇^;)

「間食でもボソボソとシリアスを食べてるよ。」

シリアル❗️シリアルが食べられるのなら、大丈夫よ。デイサービスでお昼は食べているの?」

「昼と夜は食べているよ。」

「でもさ、私なんて、1年近く朝ごはんは食べてないよ。(15時間断食のため)水分さえ摂れれば大丈夫じゃない?」

 娘はどうも詰問口調になっていけませんね…。(^◇^;)

ジジはシリアスな気分ですが、私からすれば、小食のオネコの方がもっと食べていないように思うわ。

 

食欲あるじゃん。

この日、おママの様子を見ていると、やはり、昼ごはんも春から比べたら少なくなったように思います。

(そうなると、余計に炭水化物よりタンパク質を多く摂ってもらわなきゃ。)

私はそう思いながら、ついさっきまで食卓に有った2本のバナナが見当たらないことに気が付きました。

(おママは冷蔵庫に入れたのかな…。

まさか、私とジジの知らない間に2本食べたわけではなかろうに。)

 

昼食の後片付けも済んで、私が何気に冷凍庫を開けたら、2本の黄色いバナナが鎮座していました。

冷凍バナナは聞いたことがありますが、それは皮を剥いて一口サイズにしてレモンを振りかけるんじゃなかったか?

(皮のまま冷凍されてもね。困るわ。)

幸い、まだ冷たい段階で凍ってはいませんでした。私はすぐに2本のバナナをダイニングテーブルに出しておきました。

 

ほどなく、おママはそれを見つけたのです。

「これ、いいわね。私、これ食べたいわ。」

昼食を食べた後だと言うのに…。

「でも、食べ切れないかも。あなた、いかが?」

意訳しますと

「1本まるまるは食べられないから、あなた半分こしましょうよ!」

になります。

私は1本のバナナを半分にしておママと食べて、お腹がいっぱいになりました。でも、おママはもう1本も欲しいと言出す始末。

「これ、おいしいわ。これ、まだ、あるから、これも食べたいわ。」

 

その時ふと気がつきました。

おママ、バナナって単語を一度も使っていない‼️

 

「でも、食べ切れないかも。あなたもいかが?」

私はもう半分食べさせられるわけで、お腹がいっぱいで目が回りそうです。

いえ、本当は、おママがバナナという単語を言えなくなっているのに、軽い衝撃を覚えて、気が遠くなったのです。

 

バナナを半分に切りながら、私は一応念を押しました。

「おママ、これって何かわかる?」

「これぇ〜?何かしら。知らないわ。」

「バナナですよ。」

「バナナ…、へぇ、私、ぜんぜん知らなかったわ。」

以前なら忘れた事に対して羞恥心があったのですが、今のおママはあっけらかんとしています。

大好きなバナナを食べながら、バナナという名前が出てこない…。

やはり相当…、いえ、多くの言葉がもう出てこなくなってる…。

 

私がこの日、味わったバナナは、甘いよりほろ苦いものでした。

ジジよ。

おママの食欲が落ちてきたことより、言葉が出てこない方がまだまだ問題ですよ。

 

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閉店した浅草の喫茶店「アンヂェラス」のバナナボートが、私は大好きでした。

本日アップの貼り絵

2019年9月制作ですから、かれこれ1年近く前の作品です。

今回、バナナの雰囲気を感じる貼り絵を探して、過去の写真データも中から見つけました。

黄色が入っているからバナナ?

でも、よく見ると面白い作品だと思います。

おママならではのシンメトリーであり、ちょっと鳥の顔のようにも見えてユーモラス。

私は黄色いニワトリさんを感じます。

 

 ママの貼り絵を見てくださりありがとうございます。