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アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母が作った貼り絵たち。

記憶についてNo.10 家族を忘れて③(2015年春のつづき)

 

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           (2015年4月4日 診断から約8年2ヶ月)

前記事の続きです。

全記事 お花見から帰って…。

  この日、ジジはショックを受けましたが、おママを責めたりはしませんでした。
だから暗い面持ちのジジとは対照的に、おママは帰宅後も上機嫌です。
そんなおママの姿を見ながら、私は内心、複雑な心境でした。

やはり…、そうだったか。
おママは私達を家族と認識できない時もあるんだ…。
去年のあの時も、きっとそうだったんだ。

それと同時に、心の片隅でこうも思いました。
私はおママに上手くしてやられていたのではないか?
もし、あやふやな記憶の辻褄合わせのなかで、
おママが『親子の確信がない事を悟られまい』と演技しているとしたら…。
本当にお上手!

そんな風に思うのは私が意地悪だからでしょう。

 

  診断から充分、年月がありました。
親に忘れられたと分かっても、私には心構えも身構えも出来ている筈です。
だから、軽く聞けそうな時に、
(あっけらかんと確かめてみよう。)
私は決めました。

 

そして私は決行しました。

  丁度、その日の午後。
ジジが席を外している時に、おママが階下のパソコン部屋にやって来ました。
「あなたも大変ね〜。私で出来ることがあれば手伝うわ。」
決まり文句を口にして、機嫌よく笑っています。
私は今だと思いました。努めて笑顔で穏やかに、私は尋ねました。

「ねぇ、お母さん。私の事、誰だかわかる?」

おママが面目を保ちたいと思えば、なんとか出来る最大のヒントを上げたのです。
ところが、おママは私を静かに見つめました。

「う〜ん。実はよく分からないの。でも、お母さんと呼ぶから…。娘かな…?」
「娘なのよ…。」

そう答えたら、おママはホッとしたような表情を浮かべました。

「名前は分かる?」
「う〜ん。分からない。」
「オネコかチャーコかどっちだか分かる?」
おママは再び私をじっと見つめました。
「チャーコかな…?」
私は精一杯笑顔を作りました。
「そう、チャーコなの。」
おママは狐につままれたような感じで佇んでいました。
「お母さん、教えてくれて、ありがとう。」
私は何とかこの言葉までは笑顔で言えたのでしょう。
おママは無邪気に微笑んで、2階に上がって行きました。

 

  確かめようと決めたのは私です。
私には診断から何年も時間があった。
心構えも身構えも出来ていたはず…。動揺なんかしないはず…。
後悔なんてしていません。
むしろ、はっきり分かって良かった。ほんとありがとう…。

 

  ところが、胸のあたりが苦しくなるのです。
打ちのめされて、この後、仕事になりません。
頭にカーッと血が逆流するのを感じました。
この時、私が血圧を測っていたら、うんと跳ね上がっていたでしょうね…。

ジジにこのことを話したら、
「よく直に訊けたね…。」
と驚いていました。そうですよね〜。私はバカなんですかね〜。(笑)

 

読んで下さりありがとうございます。

明日に続きます。

 

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