(2021年5月21日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年3ヶ月)
*ジジの愁訴
7月5日月曜日
痛みというのはどうして後から来るのでしょう。
ジジが派手に後ろ方に転んだ日から数日経ちました。
右肩甲骨のちょっと下あたりが痛いとな…。
「息をすると少し痛んだり、身体を動かすと一瞬苦しかったりするんだよ。」
「 あれまぁ〜、肋骨にヒビでも入ったのかしら?」
嫌な予感がしました。(°_°)
だって、ジジの背中はほぼ骨と皮。脂肪のような緩衝材は全くありません。
でも、一応動けてはいるし、それほど苦痛は無いようなので、次回私が実家へ行く金曜日まで様子を見ることにしました。
「痛みが金曜日まで続くようなら、整形外科に行こうね。」
「そうだね。」
*おママの不安
ジジはそんなこんなで昼食後も一人でゆったりしていたかったのでしょう。
おママが1階のテーブルで貼り絵に取り組んでいる間、ジジは独り2階で大相撲中継を見ていました。
おママは制作中も時々ジジが気になるようで、
「あれ、あのお兄ちゃんは?」
と何度も聞いてきました。
その都度、私は答えました。ジジは「お兄ちゃん」じゃなくておママの夫なんですよ。
「あ、お父さんは2階でお相撲を見ているわ。」
でも、私の返答におママは首を傾げていました。これは当然と言えば当然です。
「お父さん?」
ところが、目の前にいる赤の他人と思しきオバサン(私、チャーコ)は「お父さん」と呼んでいます。
これは娘の私から見てジジは「お父さん」だからですが、おママの脳では三者(おママ、ジジ、チャーコ)関係性がや属性が理解できません。
だから「おとうさん」と「お兄ちゃん」がうまく解析できなくなっているのでしょう。
しかも、「2階」「お相撲」という言葉が謎だったようです。
だから、2度目に同じことを聞かれた時、私は言い直しました。
「上で(私は天井を指差して)テレビを見ていますよ。」
「へぇ、そうなの?」
これでもおママに理解してもらえたという自信はありません。
最近、おママと意思の疎通が取れなくなっていくようで、私は焦りを感じています。
「お兄ちゃんはどこかしら?」
この質問を繰り返すたびに、おママはジジが居ない不安が解消されずイライラが募り、
私は言葉が通じないくて焦るという悪循環に落ち入りました。(°_°)
*おママの怒り
そして1時間後、ちょうど貼り絵が一段落した頃にジジは1階に下りてきました。
「あなた、どうしていたの?」
「上のテレビで相撲中継を見ていたんだよ。」
そしてジジはのほほんと1階のテレビをつけて大相撲の続きを見始めました。
おママとしては、ジジを見つけてホッとしたのですが不機嫌でした。
(私を一人にしてどこ行ってたのよ‼️)
という気分だったでしょう。
しかも、ジジは背中の痛む位置を確認するために、
「ちょっと,背中を指で押してくれる?」
と、私に背骨の両側や肩甲骨のあたりを指で押さえさせました。
ジジの背中を触れてみると、全く肉や脂肪が落ちて、ほぼ骨と皮のようになっていました。この背中が後ろざまに倒れて床に打ち付けられたら…、
(そりゃぁ、肋骨にヒビが入ってもおかしくないわ。)
私は父親の衰えにショックを受けました。(°_°)
一方、おママはこの直後からジジに怒りを爆発しました。
「あなたはどうしてこうなの。なんでああなのよ❗️
いつだってそうじゃないの❗️
私はこうでああなのに、あなたはこうだから、
困るんです‼️」
意味不明でジジは困惑。
すると、おママの怒りの矛先が私にも向いてきたのです。
「あなただって、私がこうしたら嫌だってなるのだから、そうしてくださらないと困るんです。もう少し私のことも考えてああしてくださらないとダメです。本当にああしてこうするのはそうなんですよ。」
おママ…,ごめんなさい。何を言いたいのか全く分かりません❗️
「すみませんでした。」
一応口先だけで謝ったのですが、私は何を謝っているのでしょう。(^◇^;)
さっぱり分かりません❗️
そろそろ夕食の支度があるので、その場からスタコラ逃げて、後はジジにお任せしました。
*地雷はなんだったのか?
夕食の支度が済んで、ジジとおママに声をかけると、すっかりおママの機嫌は治っていました。
あの後、ジジはおママから何か言われていたようですが、さっきのおママの怒りの原因について、こんな見解に至ったらしい…。
「さっきチャーコさんに背中を触らせたでしょう。それでおママは怒ったんだと思うよ。」
「えー、その前から機嫌悪かったよ。」
「そうかなぁ…。」
え…、おママさん。もしかして,ヤキモチだったの?(^◇^;)
ジジの姿が見えなくて機嫌が悪かった上に、赤の他人のオバサン(私)がジジの背中をさすっているように見えたんでしょうか?私はジジの背中の痩せ具合ばかり気になっておママの気分に寄り添う精神的な余裕はありませんでした。
おママの側からしたら、いつも自分のそばに居る(べき)「お兄ちゃん」が居なかった。
しかも、ようやく現れたら全く自分には理解できない話題ばかりで、おまけにどういう訳か家に来ている「お手伝いさんのような女性」が「お兄ちゃん」の背中をさすっているではないか!
おママは疎外感があったのでしょう。
寂しかったのと、疎外感から強い不安を感じて、それが怒りに変化した。
多少の嫉妬もあるのかも。
おママにその認識はないけれど、
私はジジとおママの娘なんですよ。
私は父親の骨張った背中を目の当たりにして、心配で気分はブルーだったのよ。(°_°)
意思の疎通が難しくなってきた分、どこに地雷が転がっているのか、読めなくなってきました。
そして、なるべくおママが疎外感を抱かないように、適宜に向き合っていかなければならないと思いました。
幸いな事に、その後ジジの背中の痛みは数日で消えました。
痩せこけているとはいえ、骨格は案外丈夫なのかも…。
そして、ジジが転んでからの懸案事項だった、暗いトイレへの廊下の照明。
人感センサーライトも幾つか検討しました。
しかし、どうもジジ本人が乗り気ではありません。玄関まで行かないとスイッチがないので滅多に使っていませんでしたが、廊下の手前に裸電球があります。それを夜は必ず点灯しておく事になりました。
(↓)こんな感じの電球。レトロにも程がある家です。奥がトイレへの廊下になります。
右は消灯時。左は点灯した状態です。廊下の奥は流行り暗いのですが、しばらくこれで様子を見ようと思います。
*本日アップの貼り絵
紫のクリネックスの箱を使っています。(↓)この写真右上に崩していない箱も写っていますね。(^O^)
5月17日に切ったは良いけど、貼り絵に利用できたのは4日後でした。(↓)
「こんなふうにしよかしら。」
決めたところまで糊付けしました。
ところがおママは糊付けしたら疲れてしまったようで。
「今はもうしないの❗️」
と言うので、お片付けをしてオヤツにしました。(^◇^;)
その日、途中になってしまったら、続きを「お題」にしてしまえば良いのです。
オヤツ後に私はこんな「お題パック」を作ってみました。(↓)
ところが夕方になって、おママはこの「お題パック」に興味を示し、いきなり再開しました。おママはパッパっと直感で決めていました。(↓)
紫地金の花菱亀甲模様の千代紙はクレバァの遺品です。
他は小津和紙で購入した千代紙です。(↓)
関連作品です。
同じティッシュボックスからピースを切り出しています。
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。