アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶についてNo.21 色と模様の力を借りて。

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(2017年3月6日  アルツハイマー認知症の診断から約10年1ヶ月)


「ほぅ〜。」
これでしたか❗️

 

  貼り絵の材料は身の回りの何処に転がっているか分かりません。(笑)

要するに、おママの心の琴線に触れたら、何でも活かされるのです。

 

  昨日の記事でもそうでしたが、
おママの貼り絵に使われた紙が何であったか?突然分かったりすると、ちょっとした感動を覚えます。

 

  共済保険から届いた封書の中に、新規申込書と返信封筒が入っていました。定期的に郵送されてくるのです。
おママはその中身にふと眼を止めて、
「ここだけ欲しいわ」
と指差しながら言いました。
下の写真、返信用封筒の宛名の下に細かい模様があります。それです。

 

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(あっ!これは今までも見てるぞ)
私は息を呑みました。

 

返信用封筒を開くと中は全面模様で埋め尽くされていました。
こんな感じ…。「KYOSAI」の小さな字が規則的に見られます。

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「貰っていいの?」
「どうぞ、どうぞ。」

 

おママは返信用封筒を手に作業机に行きましたが、何か思案中です。
新しい制作に入るかと思いきや、

暫くファイルを開いて見入っているではありませんか。

「あらっ?」とか「これっ!」とかブツブツ…。
そして、ファイルを持って、食卓まで見せに来てくれました。
「ねぇ、やっぱりこれはコレよね〜。ほら、ここにもあれしてるわよね〜。」
意訳をすれば…。
(ねぇ、やっぱりこの紙はこれと同じよね。ほら、この貼り絵にも使っているわよね〜。)


「本当だね❗️結構、使ってたね。」

 

  以前アップした貼り絵にも登場していました。

青系のパーツによく使われていましたね。⬇️

写真を拡大していただくと「KYOSAI」の小さな文字が模様の中に埋もれています。

 

harienikki.hatenablog.com

 

harienikki.hatenablog.com

 

harienikki.hatenablog.com

 

 

  私は思いました。
返信用封筒を手にした時、その色や模様や紙質から、
(以前手にしたかも知れない)
と漠然とした記憶が呼び覚まされたのかも知れません。


そしてファイルのページを繰りながら、同じ模様を探し出して見つけた…。

おママは昔から文様や色彩、幾何学模様が好きです。
もしかして?

それらに接すると海馬か猛烈に反応するのかしら?

 

おママの貼り絵を見て下さり有難うございます。m(_ _)m

 

 

 

月末企画❗️今月のイチ押し‼️(2017年6月版)

 

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(2017年6月29日 アルツハイマー認知症の診断から約10年4ヶ月)

 

   早いもので、今月のイチ押しの日が来てしまいました。
それだけでなく、今年が半分終わってしまったのですよ〜。

 

年々、時の流れが加速しているような気がします。(溜息)トシかな?

 

  それはともかく…。
今月のイチ押しは昨日制作されたばかりの、出来立てほやほや〜でございます。

 

   あまり見慣れない紙を使ってますね。色のつぶつぶは何なのでしょうか?

写真のようですね!

 相変わらすハサミの腕はなかなかなものです。

 

それに色の案配も素敵だと思います。

 

  例によって、私とオネコが作業机の周辺やゴミ箱を漁ってみると、
見つけました❗️

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  この新聞の記事から写真を切り取ったのですね。⬆️

平成27年の正月元旦の朝日新聞でした。


「光る繭だって!」


平成26年の秋から27年2月まで、上野の国立科学博物館で開催された『ヒカリ展』の特集記事でした。

遺伝子組み換えカイコ(クラゲの遺伝子が入っているらしい)が光る絹糸を吐いて繭を作ったとか‼️

 

matome.naver.jp

 

www.kahaku.go.jp

 

びっくりです。

いえ、『光る繭』もですが、おママがです。

 

  2年半前、新聞に掲載された記事と写真がおママの心を捉えた。
そして、取っておいたのだけど忘れてしまった…。
それを昨日再発見したおママ。


やはり、「面白い❗️」と感じたのでしょう。


そして、貼り絵が一枚出来上がりました。

 

今月はオネコの強力な推薦もあり、
この『光る繭』を今月のイチ押しに決定‼️パチパチパチバチ👏👏👏👏👏👏👏

駅まで送ってあげて‼️

 

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(2017年6月6月13日  アルツハイマー認知症の診断から約10年4ヶ月

この貼り絵のパーツは何から切り出したのか?分かりません。それでもハサミの作業はお得意ですね。)

*紀の国屋さんの包装紙と分かりました。2017年10月12日追記


このところ連日夜まで残業しています。


   アルツハイマー認知症のおママは、日常と違う空気を感じ取り、夜8時を過ぎるとナーバスになります。ごめんなさい🙏


「あなたは遅くまで、大丈夫なの?」
「おウチは何処なの?」
「ずいぶん遠いじゃないの。」

 

  心配かけて申し訳ない事ですが、5分ごとに質問されたら、仕事がはかどらん⁉️

 

それで、大抵9時には
退散することになります。

 

おママにはよくあること。

  昨夜は私が帰り支度をしていると、おママはジジに言い募っていました。
「こんなに真っ暗なのよ。お父さん、彼女を駅まで送ってあげてよ。」
「え〜〜。」
ジジはうんざり気味。私が「大丈夫ですよ」と固辞しても、おママは負けません。
「彼女(私の事です)が暗いなかを歩くのが危ないから、お願いだから駅まで送りなさいよ❗️」

オネコも歌舞伎座夜の部の帰りに、おママを実家まで送っていくと、同じ事を言われるそうです。
心配してくれるのはありがたいが、ジジに送ってもらったら、実家までこちらが送り返さねばならないでしょう。

 

おママがリピート再生状態になると、お互いの為にはならない。
それで、一芝居打つことにしました。

「では、お父さん、送って下さい。」
「はい…。」

ジジには直ぐに引き返してもらうのです。
ところが、今度はジジの事が心配になったのかしら?
おママは玄関で言いました。

「お父さん1人では帰りが心配だから、私も行くわよ‼️」

えーっ⁉️そんな〜〜。芝居をする意味がなくなる〜。💦

 

記憶が消え去るって…😿

 

   これを二人掛かりで押し留め、何とか門を出ました。


昼間は蒸し暑かったけど、夜風に涼感があって心地よい。
ジジとは1つ目の角で、手を振って別れました。

 

「あの後、家に戻ったらさ…。」
ジジによると、おママは玄関でジジに言ったとさ。


「どこに行ってたのよ!心配したわよ〜!」

 

   心配してくれるのは有り難いです。

でも、記憶がないのは、やはり気の毒。
記憶が有れば、こんなに心配になったり不安になったりはしませんもの…。

 

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。 

 

 

草臥れた〜❗️

 

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(2017年6月4日 アルツハイマー認知症の診断から約10年4ヶ月)

 

「ひどい目に遭ったよ〜。」


夕方、お使いから戻ったジジが汗だくでヘトヘトになっています。

どうやら家を出るなり、おママにシルバーカーを奪われたそうです。


これは私が押します。あなたは前屈みにならないように、背中を真っ直ぐ伸ばして歩きなさいね。」


確かにシルバーカーを押すと前屈みになります。
でも、ジジは背中を真っ直ぐ伸ばして歩くのが難しいから、シルバーカーを使うのですよ…。

以前も「わたしが押してあげる。」とか言って帰りはおママが使っていましたね。

 

harienikki.hatenablog.com

 

おママは単にシルバーカーを押したかっただけだったのか?
いつも頼りにしているジジだから、何時迄もシャンとしていて欲しいのか?

 

この時の一瞬だけですが、おママはおママなりの思いがあったのでしょうね。


とにかく、ジジ…お疲れ様でした。💦

 

メモは簡潔に❣️

 

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(2017年5月31日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

 

1人にするのは心配ですが。

ジジと私は仕事で出掛けることがあります。

心配なのですが、おママに暫く1人で家に居てもらわなければなりません。

その場合は必ずA4の紙に大きな字で書いたメモを残して行きます。

必須事項は
何処に行き、いつ帰るか、
ですね。

しかし、どうしても懇切丁寧なメモ書きにしたくなるのが人情というもの…。


詳しいのは酷
   先週、午後1時の約束がありました。ジジと私は正午には出発しなければなりません。それで、昼ご飯は私がスーパーでおにぎりと唐揚げ棒を買ってくることになっていたのです。

 それらを下げて実家に着いてみると、玄関の外までおママの声が響いていました。


「もう、どうしたらいいのよ。分からないじゃない!」
それは金切り声の一歩手前です。
「だから何もしなくていいんだってば‼️」
ジジもかなり高ぶってますね〜。


  私が呼び鈴を鳴らすとバタバタおママが玄関に来て、ドアを開けるなり訴えかけてきました。
「もう、何が何だか分からないのよ〜。どうしよう。」
手には筒状に丸めたA4の紙を握りしめています。
「お母さん、分からないのはこれね。貸して。」
おママは暫く抵抗しましたが、結局その手を離しました。


『開けてびっくり‼️』ではなく予想通りの内容に私は目眩を感じました。(笑)
「お母さん。そりゃぁ、分からないよね〜。なるほど。」
すると、おママは激しく同意するのです。
「字が悪くて何が書いてあるか読めないのよ。」
(いえ、そういう問題ではないよね…。)
理解できないだけで、読めているんですから。(笑)

 

それでジジの書いたメモはこんな感じです。

⬇️最初に書いたジジのメモはこれです。

『本日の予定

○○○○様を訪問します。家を12時に出ます。私は昼はにぎりめしを食べて出ます。
3時に帰宅します。駅から電話します。
フキコさんのにぎりめしは用意しますので、ゆっくり食べてください。
オネコさんが12時半にきます。』

 

   普通の人には問題ないでしょうが、おママにとっては頭がこんがらがります。
当然、読んだおママは混乱をきたし、
「私がおにぎりを作るの?どうしたら良いの?」
分からない、分からないの挙句、
「字の書き方が悪いから分からない」
と言われたとか。
さすがに読み返して、ジジも話を盛り込みすぎだと思ったのでしょう。メモ全体に大きなバツを付けて、裏面に書き直したようです。

 

⬇️裏面に書き直したジジのメモはこれです。

『①○○○○様のところへ行きます。
②12時に家を出ます。
③3時に帰宅します。
④お昼はチャーコさんがおにぎりを買って来ます。』

 

  かなり、簡潔になりましたね。それでも②と④は要らないでしょう。

残念な点はもう1つ。なぜ、紙を変えてくれなかったのか?

何か書いてあったら、バツが付いていても、誰だって両面とも見るでしょう。(笑)

 

メモを渡すタイミングと内容は?
   しかも、今回は朝に書いて渡したので、

おママは何時間も両面のメモを読み返しては不安感と不快感に襲われ続けていたのです。

「とにかく、『分からない、分からない』と、あーだこーだ言うんだよ。もう!」
ジジも辟易してお気の毒です。
でも、メモを早くから渡してしまうのは、逆効果だと思うのです。

 

  何度も「今日はどっか行くの?何時に行くの?」と同じ事を聞かれると面倒だから、早くからメモを書いて渡したくなりますが、私の経験上、結果は同じです。

ママがメモを読み返すたびに、私は確認と質問責めにあいます。

 

  そして、メモに細かい事を幾つも書くと、頭で処理しきれなくなるのでしょう。不安を通り越して半パニックになりそうです。
行き先と帰宅時刻だけで良いと思います。
おママの場合は最寄駅が気になる人なので、行き先に『○○線の○○駅』と付け加えます。

 

  あくまで、おママ向けにオネコと私が考える方法ですが、

メモは簡潔に‼️
出掛ける直前に書いて渡す。

それがお互いのためだと、改めて実感しました。

 

おママの貼り絵を見て下さり有難うございます。

昨日は更新が途切れてしまいました。忙し過ぎたので、残念でした…。

 

騎士の旗?

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(2017年6月6日  アルツハイマー認知症の診断から約10年4ヶ月)

 

  今日は(と言っても日付が変わっていますが)日中お出掛けをし、帰宅したら睡魔に襲われて、思考停止状態になっています。

まともに文章は書けそうにないので、おママの貼り絵をご紹介するだけになりました。

 

   ⬆️の主役は小津和紙で購入した千代紙です。5月末から6月にヘビーローテションされていますので、何度も見ていただくことになりそうです。(笑)

 

  もともと紺地に白と赤にドット柄はモダンな雰囲気の千代紙ですが、

こうしてみると和風より洋風に見えますね。

扇型のパーツが4つが十文字に組み合わされているからでしょうか?

私には中世ヨーロッパの騎士が持つ旗の柄に見えるような……⁉️

やはり、私…、眠いのかな?

 

おママの貼り絵を見て下さり有難うございます。

色合わせ

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(2017年5月29日  アルツハイマー認知症の診断から約10年3ヶ月)

 

  ちょっと珍しい作品です。

何って…、背景に色紙を貼った上で、パーツを配置しているからです。

白いハガキに飽きちゃったのかしら?

一瞬、そう思いましたが、その後はまた白いハガキにパーツをを貼っています。

ちょっとした試み?挑戦?だったのかもしれませんね。

 

  グリーン系の無地の紙がピチッとムラなく貼れなかった事。

これはおママにとって痛恨のミスでしょう。

元々、手先が器用な人ですから、この手の仕事には自他共に厳しい人でした。(笑)私はズボラですから、全く気になりません❣️

 

  制作より2日前に小津和紙で購入したお気に入りの千代紙からパーツを切り出しています。

⬇️これ。

harienikki.hatenablog.com

 

  この貼り絵を見た時、私はかなり驚きました。

よくもまぁ、この色を背景に持ってきたものです❗️

なかなか絶妙な色彩感覚ではありませんか⁉️

 

  おママは昔、いまいち自分の色彩感覚に自信がありませんでした。

「この色とこの色、どう思う?」

何枚か色の違う皮革を見せながら、私に聞いていましたもの。

私も色彩感覚イマイチですが、おママよりはマシだと思い、適当に答えていました。

(ひどい娘でした…。ごめんなさい。美術系で色彩感覚イマイチってダメじゃん。)

しかし、私は自信がなかったので、色彩学の本を読んだり、

『配色ノート』(※注)を眺めていたものです。

おママに「見たら〜?」と貸したこともありました。

案外、その時分、おママは密かに勉強していたのかしら?

 

でも、アルツハイマー認知症の今となったら、

後付けの知識が現役で使えるとは思えません。

 

  という事は…。元々、良かったという事か⁉️

う〜〜ん。なんだろう。勝ち負けの問題ではありませんが、

私は根本的な能力の面で、おママに負けたような気がします。(笑)

 

 

  (※注)

 配色ノート―調和の原則と400組の配色サンプル (デザインハンドブックシリーズ)

単行本(ソフトカバー) – 1984/1/1
内田 広由紀 (著)

 単行本(ソフトカバー): 156ページ
出版社: 視覚デザイン研究所; 改訂版 (1984/1/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4915009181
ISBN-13: 978-4915009181
発売日: 1984/1/1

⬆️私は発売から間も無く買っていたようです。今も販売されているのですね。

 

おママの貼り絵を見てくださり有難うございます。