(2019年11月25日 アルツハイマー型認知症の診断から約12年9ヶ月)
*懐かしいベスト❗️
2月初旬、おママが突然古いベストを着ていました。
どっから出してきたんだろう?
恐らく、タンスのどっかに入っていたのだと思う。
それは中学生か高校生の時か…?ですから、かれこれ40年近く前におママが拵えたスウェードのベストでした。
⬇︎これです❗️モデルはオネコさん。
40代で革工芸を習い始めたおママ。きっと、これも講習で教わった課題の1つだったのでしょうか?
「お母さん、これって、お母さんが作ったのよ。覚えてる?」
私が問い掛ければ、おママは笑顔で言いました。
「そう、そうなのよ。」
本当に覚えていたのかは、ちょっと微妙ですが、「言われてみれば、そうなのよ」と言いたげな表情でした。
私はおママがこのベストを制作している時のことをよく覚えています。
「スウェードって?」
「スウェードはね。わざと皮の裏側をやすって起毛させているのよ。」
へぇ〜と思いました。当時、あまり私は理解できていなかったのですが、なめした革の表側を使わずに、わざわざ起毛して裏側を表に使うということは、何となく想像がつきました。
スウェードは元々子羊の革を加工して作られていたのですが、現在は子牛の革が多いとか?後年、私は聞いた事ががあります。
柔らかくしっとりとした、温かみのある風合いは、手袋や服にもよく使われいます。
このベストは主に長方形に切ったスウェードをつなぎ合わせて形作られています。
スウェード一枚一枚それぞれの4辺に等間隔で小さな穴を開ける。
かぎ針編みでその穴を掬いながらはぎ合わせベストの形にする。
襟ぐり、脇、裾はかぎ針編みで丁寧に仕上げております。
おママは編み物もお得意だったから、実に楽しそうに制作しておりました。
元々はボタンが付いていたのですが、今は写真の通りです。キツくなったから前が止められなくなってボタンを取ったのか?
今となっては謎です。
スウェードは革ですから、着てみるととても温かいベストです。
*ジジが自分のベストを出してきた❗️
私とオネコがあれこれ話しながら写真を撮っていますと、
「あれ?私のも有ったな…。どこだろう。」
ジジが思い出したようにタンスの中を探って出してきたのがこちら。⬇︎
ジジが会社勤めをしていた時、冬は背広の中(ワイシャツの上)に着ていたそうです。
「温かかったよ。」
ジジのベストは2作目のベスト。おママのアレンジで作った応用編です。
モデルはおママです。⬇︎
*もう一枚あったよね。
私は写真を撮りながら、このスウェードのベストには3枚目が有ったことを思いだていました。
それはちょっとほろ苦い思い出でもあります。
ちょうどジジのベストをおママが制作している時の事。
まだ10代半ばの私はこのスエードのベストが欲しいなぁと思いました。
「私にも作ってよ。」
と言えば、おママは喜んで引き受けてくれました。
色は赤が良い。
襟も付けようか?
あまりスウェードは細かくない方が良いなぁ。
あれこれ話し合い、おママは洋裁の本を見ながら自分で型紙をおこして、オリジナルで赤いスウェードのベストを作ってくれました。
それは色も形も良いのだけど…、
自分で作ってくれと頼んだくせに、私は1度しかそれを着ませんでした。(^◇^;)
「せっかく作ったのに、何で着ないのよ❗️」
おママが文句を言うのも尤もだわ。
「チャーコが着ないなら、私が着るわ❗️」
ところが残念。おママにはキツくて前が止まらない…。
娘用だから自分が着るサイズよりスリムに作っちゃったのよね。(^◇^;)
その赤いベストは、
10代のまだ子供の私には着こなせないと言うか…。
だいぶ私の身体にはサイズが大きいようで、ガバガバしているというか。
「いづれ着こなせるようになったら、必ず着る❗️」
私はそう宣言して自分のタンスに仕舞い込んだのでした。
それから40年近い歳月が流れました。
(おママ、あの赤いベストは何処にいったのでしょう…。)
ここしばらく、全く見かけません。
何処かへやったのは、おママではなく私。
(確か、結婚する時に持っていったはずだが、その後どうしたっけ。)
嫌な予感がしました。
実は6年前、結婚後ずっと住んでいた千葉県の家を手放す事になった時、私は自分の持ち物の8割くらいを処分しました。今後ずっと住む場所は収納スペースがなくて、衣類は必要最低限のものを残して、多くは捨てたのです。
その家にはアズキを育てきた思い出が詰まっていました。
義父やダンナの事情での決定ですから仕方なかったけど、私はかなり凹みました。
(もう、全部捨ててやる‼️)
その時、私はやさぐれ気味に思い出の品も服もゴミ袋に投げ込んでいました。おママが作ってくれた赤いベストも、
「今まで着なかったから、これからも着ないよね」
とゴミ袋に入れた記憶があります。
しかし、思い直して袋から拾い上げたような気もします。
家を不動産屋に引き渡す期限が切られ、焦りながら片付けていたあのころ。
私も必死だったのでしょう。断片的な記憶しかありません。
捨てたかな?
私は今月おママの作った赤いベストを探しました。
衣装ケースを引っ掻き回して探したけど、見つからない。
捨てたのか…。
私も随分な娘ですね。自分でおママに作らせて、ろくに着ないで捨てるなんて。(^◇^;)
でも、私って、そういう薄情な娘だったかな。否定はできない。
探しながら、段々記憶が蘇ってきました。
荷物を運び出す直前に、私は衣類ではなくバックやベルトなど革製品の段ボール箱に赤いベストを入れたような気がしてきました。
一度も開ける事なく物入れの奥に仕舞い込まれたその段ボール箱を出して見たら、
有りました‼️
本当にあの時の私、捨てなくて良かった❗️*1
それがこれです。⬇︎
今、改めてこのベストを手にして思いました。
これがゆるかったなんて!10代の私は今からは想像もつかないほど痩せていのね。
(今なら絶対着こなせるわ❗️だって私は充分に大人よ。)
袖を通してみたら…、あら、私は大人になりすぎたのかしら。
キツくて前のボタンが止まらないじゃないの。
私が着なくて腹を立てた昔のおママみたいに、着たくても今は着られない‼️(^O^)
それで、モデルはオネコさんにお願いしました。⬇︎
本当に捨てないで良かった。
私、新たな目標ができました。
痩せておママの赤いベストを絶対着こなしてみせるわ。
乞うご期待‼️
*本日アップの貼り絵
おママは 作業机の上にある切れ端を選んで貼ったようです。
何だか見たことのある物ばかりです。
ティッシュボックスから切り取ったものが3つ。
折り紙の切れ端が2つ。坂角の包装紙が1つ。マーブルペーパーの切れ端が1つ。
ハワイのマカデミアナッツチョコを包んでいた包装紙と小津和紙の千代紙の欠片。
女の子のイラストと肌色の切れ端は元が不明です。
おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。
*1:o(^∇^)o