(2020年12月6日 アルツハイマー型認知症の診断から約13年10ヶ月)
*海馬の奥から?
もしかしたら、以前からこのブログに来てくださっている読者の方々は覚えているかもしれません。
「お帳面」、「おちょうめん」と言います。
これはおママが認知症になっても続けて簡易家計簿です。
それが出来なくなって3年近くなります。厳密に言うと2年9ヶ月です。
昨年(2020年)12月18日の夕方。
私はジジとおママと3人で買い物に行きました。帰宅してすぐに私は冷蔵庫に入れる物はさっさと片付けました。しかし、例外もあります。
「これはまだあったかいね。」
ジジとおママが夕食に食べる予定のチキンカツはダイニングテーブルに出しておいたのです。
すると、おママはそれを見て慌てた様子をしました。チキンカツを前に、まるでジェスチャーように、手を動かしたのです。
「これは、ほら、あれ,しないと。ね、あれよ。やらないと。」
私は直ぐに思い当たりました。
(おママは「お帳面」を付けたいんだね…。)
おママが「お帳面」を付けられなくなって3年近くなるのに、おママの脳には若い時から長年「お帳面」を付けてきた記憶が微かに残っていたのですね。
現在のおママは娘がいるという記憶すら定かではありません。(オネコと私は何なんだ)
つまり,短期記憶だけでなく長期記憶も著しく失われているので、これは私には驚きでした。
「書きたいの?」
「そう!これ書かないと。なんか書くものは…。」
見回したところメモを取るような紙もありません。
私はテーブルの上にあった白い紙ナプキンとボールペンを差し出しました。
おママはゆっくりと、そして丁寧に書き始めました。
「チ・キ・ン・カ・ツ」
「できたわ、これでいいわ。」
おママは納得の表情でペンを置きました。
なんだか私は切ないような、嬉しいような、不思議な感覚に囚われました。
恐らく「お帳面」はおママの海馬の奥に沈んでしまっていたのに、おママの脳はふとした弾みでそれを意識の表面に押し上げていく。
それは私には嬉しい事です。
でも、それをちゃんと行動に移そうにも、今のおママは言葉をなくしかけて伝える事もままならないのです。
ジェスチャーで必死に伝えようとして、それをヘンテコな紙に書いて満足したおママの姿が切ない。(TT)
せめて,数分待ってもらって、もう少しマシな紙に書いて貰えばよかった。
私はちょっと後悔しています。でもね、数分待たせたら、おママから「お帳面」の記憶が逃げていきそうだったから仕方ない。
私はそう自分に言い聞かせております。
追伸です。 ブックマークで Jenny (id:jflkg4u)様から
「ところでおママ様は写真撮影されてたりすると何か気になったりなさらないのでしょうか、ふと思っただけです🐱」
と、ご質問をいただきました。ありがとうございます。
私がおママの作業中の様子を撮影する時、シャッター音がしても、おママは全く気が付きません。意識に登らないようです。
もしかしたら、撮影されている事が分かっているのかも知れません。しかし、ブログを始めて写真や動画を撮影する時に拒否された事は全くありませんでした。
おママは正面からスマホを向けられると、撮影されることを意識します。その時は別に嫌がりもせず笑顔で撮影に応じてくれます。
ひょっとして、おママは写真好き?(^O^)
*本日アップの貼り絵
私が実家にいない時の、「お題パック」を使っての作品です。
おママはこの招き猫の千代紙が大好きです。縁起良さそうだし、赤と金の地に白と黒の招き猫が鮮やかですもの。(^O^) 日本橋の小津和紙で購入しました。
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。