(2022年3月26日 アルツハイマー型認知症の診断から約15年1ヶ月)
*よくある会話
夕方、私はジジとおママが話しているのを小耳に挟みました。どうやらおママは家に帰りたいと訴えているようです。
「もう、あれだから、ここにいてはなんだから、帰らないと…。」
「ここは、あなたの家だから、ずっと居るんですよ。」
「でも、もう、いろいろやらなければならないから、ここにいたらなのよ。」
「大丈夫、チャーコさんがご飯も作ってくれているし、心配はないよ。」
「そうなのね。ただ、このままだと、いけないから、わたしはここではなのよ。」
家の中にいると、時々おママは「自分の家」という実感が失くなるようです。
*家の中では複数の世界があるのか
おママの頭の中で「自分の家」と認識できるのは何処なのでしょうか?
子供時代を家族と過ごした赤坂の家は既になく、街ごと様変わりしてしまいました。
戦後になって女学校時代から結婚するまで暮らした家も、大きな幹線道路の工事で立ち退いたので、もう跡形もありません。
実家は元々ジジの両親の家でした。50年ほど前に同居を始め、1階は祖父母の居住空間、ジジとおママ世帯は2階で生活しました。でも二世帯住宅ではないので1階と2階は階段で繋がっています。
その後、私たちは祖父母を見送り、やがてジジが損害保険の仕事を始めるにあたって、1階を事務所として使いました。そのため、ジジとおママ夫婦はずっと2階で暮らしてきたのですが、ジジの足腰の事情もあり,今は1階だけで過ごすようになりました。
ジジに言わせると、
「おママが帰りたいのは、この2階の事なんじゃないか?」
なるほど。
おママは、たまたま私の後について2階に上がってくる事があるのですが、そんな時は大層喜びます。
しかし、時々おママ独りでも2階に上がるようですが、頻繁なことではありません。
おママは家の中でトイレに行こうとして迷うくらい認知力低下していますから、2階へ上がる階段を発見する事は容易ではないのでしょう。
部屋と部屋の境界
部屋と廊下の境
階段を挟んだ1階と2階
おママの認識では、それぞれが隔絶した世界なのでしょうか。そうだとしたら、家の中は得体の知れない不可思議な空間の集合体なのかも知れません。
*外から見ると…
先日、私はおママと一番近くのコンビニエンスストアに行きました。
実家からそこまでは信号のない直線の1本道です。
帰り道に、おママは実家の建物が見えると、
「あ❗️あれだわ。」
と目を輝かせて指差しました。
少なくとも家の外観を見れば、まだおママは「自分の家」と認識できました。
それなのに、その「自分の家」に入ると、「自分の家」かどうか分からなくなる…。
不思議や不思議。
おママさん、家の中は伏魔殿じゃないから、安心して暮らしてね。
*本日アップの貼り絵
今回は珍しくおママが自分で紙を選んで独りの時に制作した貼り絵です。
私の居ない日に、切れ端を集めた箱の中から選んで組み合わせたようです。
桃色の花の一部は(↓)この作品の残りだと思われます。
「こしあん」が貼ってありますが、これはなんなのでしょう。
それはわたしがカルディで買った「お餅の入った三色もなか」です。
私が気がついた時は、もう「こしあん」はありませんでしたが、(↓)こちらです。
「株式会社もへじ」の商品です。おママは喜んで食べていたので,美味しかったのでしょう。(^O^)v
オネコさんが撮影してくれたのですが、初めはこのような構成だったそうです。(↑)
曾孫のモモちゃんが遊びに来てくれました。
最近のおママのお気に入りです。
(↓)小津和紙で購入した友禅紙です。
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。