(2022年4月25日 アルツハイマー型認知症の診断から約15年2ヶ月)
前記事では温かいお言葉をくださり、ありがとうございます。
昨日は何とか実家へも行かれましたし、元気が戻ってきました。
今回は尾籠な話もあり、私の忘備録も兼ねているので、かなり長文です。
気が重くなりそうな方は下の方へスクロールして「*本日アップの貼り絵」まで移動して下さいませ。
*嫌な予感しかなかった。
「芙貴子さん、暑いでしょう。その毛糸のカーディガンを脱ぎましょう。」
「いいの、もう、いや。」
我を張り通すおママは、私が何を言っても理解できるはずもありません。ここは私が折れました。でも、一応対策はしておきましょう。
おママは4月には熱中症になりかけた事もありましたしね。(^◇^;)
私はおママのカーディガンを入れられるように大きめのエコバックと、念のため、汗拭き用の乾いたタオル、ペットボトルのお茶を持参しました。
*往きは良い良い
予想外におママはご機嫌でした。どうやら暑さは本当に感じていないみたい。
「暑いでしょう。そのカーディガンを脱ぎましょう。」
「いいんです。わたしはいりません❗️」
要るとか要らないの問題ではありませんよ。
それでもおママは楽しそうに他所のお宅のバラなどを眺めながら駅前まで歩きました。
そして、スーパーで買い物をしました。外は暑いのですが、店内はガンガン冷房がかかっていて、私の汗も一気に引きました。こんなに冷えていたら、おママはカーディガンを着ていて丁度良さそうでした。しかし、店内をひと回りして、セルフレジで支払いをしている最中に異変は起きたのです。
*悶絶
そもそも、おママにはセルフレジが謎でした。カゴから商品を出して、機械にバーコードをかざして「ピッ❗️」とスキャニングしてからエコバックに入れるという一連の作業が、おママには理解不能なのです。
「あなた、なにをしているの❗️ダメよそんなの。」
スキャニングした商品を再びカゴに戻すという、私からすれば殆どテロのような所業を繰り返しました。
「お願いだから、触らないでください。」
「でも、ダメよ。」
きっと、おママはお金を払う前にバックに入れる事に納得ができないのでしょう。私の行為は泥棒レベルに見えたのかも知れません。でも、ダメじゃないんですよ、おママさん。(°_°)
おママのテロ行為を阻止するべく、私は強めに「やめて下さい」と言い放ってしまいました。
すると、おママは急にフラフラになり、顔面が蒼白になるではありませんか。そして、お腹を抑えて悶絶し始めたのです。
「わたし、もうダメだわ。いたくてダメだわ。」
にわかに下腹部を抑えながら身をかがめたのです。手を握れば冷たい。しかも顔面は蒼白です。これは只事ではありません。でも、私はおママの身体を支えながら、ふと思いました。
(これは、もしかしたら、ウ◯チではないか?)
実は5年ほど前のことですが、おママはやはり駅前のスーパーで腹痛を訴えて倒た事がありました。この時は店員さんが救急車を呼んで下さったのですが、救急車が到着する前に意識を取り戻したおママは便意を訴えトイレに駆け込み、救急車到着時にはスッキリしているという人騒がせな事件でした。
「芙貴子さん、ウ◯チは出そうですか?」
おママは苦しげに頷きました。
「取り敢えず、トイレに行ってみよう。」
最近のおママは「大」の方をする時はちょっと大変です。紙で拭くのを忘れて、汚れたお尻を素手で触ってしまう事もあるのです。
私は外出時の排便を想定していなかったので、ウエットティッシュや消毒液を持参していません。
(これは困ったことになった…。)
親切にも店員さんが案内してくれたのは店内たった一つの多目的トイレでした。
幸いな事に、その多目的トイレには消毒液やペーパータオルなどが完備されていました。私は大船に乗ったつもりでおママの腹痛と便意に付き合う事にしました。
おママ、悶絶すること約7分。私は背中をさすったり、声をかけて励ましました。
ここで、おママは何とか排便を済ませることができたのです。毎日酸化マグネシウムを服用しているのですが、それでもかなり固くなっていました。
「はぁ、もうだいじょうぶ。いたくない。」
それでも、依然としておママの手は冷たく、顔色は青い。。もう少し、座っていられたら良いのですが、あまり多目的トイレを長時間使い続けるのも憚られます。
おママにお茶を少し飲んでもらって、私たちは帰途に就きました。
*帰りは怖い
歩き始めて少したっても、おママの手は冷たく、ゆっくりしか歩けませんでした。
途中のハンバーガー屋さんで予約していた商品を受け取り商店街を抜けました。
後で考えれば、このハンバーガー屋さんで暫く座って様子を見るべきでした。ここならトイレも借りられたのです。もしくはかかりつけ医のクリニックに行けばよかったのかも知れません。
商店街を抜けて数分後、なんとおママはまたお腹を抱えるではありませんか。
「出そうですか?」
「わからない。でも、もう、わたしはダメなんです。」
「ダメなんですか…。」
確かに、まだおママの顔色は青い。どこかに腰掛けようにも座れるようなお店はありません。しかもトイレを借りられる所もありません。万一粗相をしたとしても、リハパンツを履いているので外見上問題はないのですが…、本人は嫌でしょうね。
「お茶を飲みますか?」
「いらない。」
そしておママは他所のお宅の門の前にへたり込んでしまいました。家までの道程の半分は過ぎています。何とかおママを鼓舞し支えながら進もうにも、10歩進めば手近なブロック塀や金属製の格子にしがみつく状態でした。
(これはもう、家には辿り着けないか…。)
普通の足なら実家まで2分の距離です。タクシーが通る場所でもない。私は頭の中でどうするべきか考えました。
①今ここで救急車を呼ぶかどうか…。
②足弱のジジに連絡しても、気が動転して慌てさせるだけだ。
③オネコは現在在宅で仕事中。でも助けを求めれば、10分以内に来てくれるかも。
④すぐにかかりつけ医のところに駆け込むか。しかし、クリニックは駅の近くだから、戻るのも大変。
⑤とりあえず、何とか実家へ戻って様子を見てから、かかりつけ医に相談するか。
私は基本的に⑤を取りつつ、いざとなったら③のオネコにヘルプを頼みつつ、①を実行しようと腹を括りました。
「お家まで、もう少しだから、ゆっくり歩いて頑張りましょう。」
「はい…。」
「お茶飲みましょう。」
「いらない…。」
おママはハンバーガーの入ったレジ袋を握りしめているので、私はそれを受け取ろうとしましたが、
「やめて❗️いや❗️」
と離しません。そしてやぶれかぶれになったのか、フラフラしながらも歩き始めました。息は荒く、足元は覚束ないながらも、おママは根性で家を目指したのです。
ようやく玄関に入ったおママはその場にへたり込んでしまいました。腰掛けたら一気に汗が噴き出したようです。私がカーディガンを脱がすと、もう抵抗はしませんでした。
その場でお茶を飲んで暫く大人しくしていたら、顔色が戻ってきました。
「おトイレに行きますか?」
「え?なに?それ…、どうするの?」
便意の方は大丈夫だったようです。
それから20分後、すっかり元気になったおママはハンバーガーを一個完食しましたとさ…。
良かった、良かった。
今回の教訓と反省点
*おママの外出時には近所であっても不測の事態に備えて、リハパンツの替えと除菌ティシュなどを用意すること。
*これからの季節、外気温と冷房の効いた室内の温度変化が体調の急変を招く可能性もあるから、実際に冷えているのか暑いのかをしっかり見極める。
*外出中は家にいる時より、おママも緊張しているから、大きな声で嗜めたり混乱させたりしないようにする。そのショックが体調の急変を招くこともある。
*無理して帰ろうとしないで、座って休めるお店で様子を見るべきだった。
*おママもかなり歩くのが大変になってきている。出かける時はシルバーカーを押してもらい、疲れたら座ってこまめに休憩を取ってもらうこと。
*飲料水やお茶は必須。濡れたおしぼりもあると良いかも。
後になればいろいろ考えられるのですが、その場ではなかなかうまく行きませんね…。
写真をデジタルでちょっと加工して彩色しました。体調の悪い時のおママにはどんな風景が見えていたのでしょう。そんな事を考えながら作業をしました。
*本日アップの貼り絵
今の季節にぴったりの貼り絵だと思います。
3月に小津和紙で紫陽花の友禅紙を買いました。それを「お題」にしてみました。
<おママの貼り絵制作動画①>カット編
2022年4月25日 13:49〜(4分14秒)
おママは紫陽花の花の部分を切り抜いています。
(↓)切り抜いた後、おママはどちらかというと,紫陽花の花より背景のブルーの方に興味を示していました。確かに面白い形ですものね。(^O^)
(↓)構成がまとまってきました。こんな感じにして、真ん中に配置するピースを切っています。
<おママの貼り絵制作動画②>
2022年4月25日 14:10〜(4分47秒)
糊付け中に紫陽花が1ピース画面の外に出てしまいました。(2分ごろ)
おママは記憶がすぐに消えてしまうので、一旦外に出てしまうと、自分では戻す事がなかなかできません。
そこでおママは新たなアイデアを求めて紙片の詰まった缶の中から好みの千代紙を出しました。さぁ,これからどうなるのでしょう。
(↓)こんな風に変化しました。最後に1ピース加わり(黄色の矢印の紙片)完成しました。(^O^)
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。