アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶について No.52 本能はいつまでもつか?

(2022年6月20日 アルツハイマー認知症の診断から約15年4ヶ月)

 

今回はおママのおトイレ事情なので、尾籠なお話も含まれます。

不快に思われる方もいらっしゃると思います。スクロールしますと、おママの貼り絵制作風景などもありますので、飛ばしてくださいませ。

 

トイレに誘うと

私がおママをトイレに誘う時とは、例えば就寝前とか出掛ける前などです。私がおママに

「トイレに行きましょう」

と言うと、おママは小首を傾げます。

「どうして?どうしていくの?」

そりゃぁ、寝る前にトイレに行くでしょう。普通は…。

しかし、残念ながら、おママは認知症末期です。

「だって、寝る前に行っておかないと、夜中におしっ○したくなって目が覚めちゃいますよ。」

「どうして?」

言葉を理解できない人に理由を説明するほど困難な事がありましょうや?

そんな時、おママは私が「トイレ」と言っても「お便所」と言っても、その場所を理解する事はありません。

私が何をどう言っても、「どうして?」「なんで?」を繰り返し、そして機嫌が悪くなると「いや❗️」になりかねません。

おママが気分を害する手前でトイレに誘導するにはどうしたらいいでしょう。

最近、私はおママに向かい合い、その両手を繋いで動かしながら歌います。

「汽車、汽車、しゅっぽ、しゅっぽ、しゅっぽ、しゅっぽ、しゅぽっぽ。」

しかし私にとっては後退りで危ないし、おママはどこへ行くのか分からないのですが、嬉しそうにトイレに向かってくれるからOKです。

「到着❗️」

おママはトイレの内を見てもピントは来ないみたい。

「あぁ…、ここは?」

「さぁ、こちらを向いてくださいな。」

私はおママを便器に背を向けるように立たせて、ささっとズボンやリハパンツを下げ、

「さぁ、座ってください。」

しかしおママは「座ってください」が理解できないので、便座に座ってもらうまでが大変です。

お願いだから、座るまでしないで…。

 

自ら催すと…

しかし、おママ自身が尿意や便意を感じた時は、一人でも迷わずトイレに行けるのです。日中でも夜中でも一人でトイレに行って便座に座っている事があります。

抑え難い排泄の欲求が引き金となって、おママは本能に突き動かされるのでしょう。

「これが本能のなせる技なのか?」

「自分でちゃんと便座に座るんだよ、すごいよね。」

オネコと私は思わずヒソヒソ話しておりました。

ただ、便座への座り方が浅かったり、済んだ後に紙でお尻を拭くという事はできなかったり、たとえ拭けても便器の中に捨てられなかったりします。

それだけでなく、なぜかお小水が便器の前の床面を濡らしているなんてこともありました。問題はちらほら。

「でもさ、まだ自分で催した時はトイレに向かうんだから、本能の力は恐るべし。」

 

本能も風前の灯?

これは私の印象ですが…。

他の記憶や認知力が失くなっても、本能から起こる事って残る可能性が高いのでしょう。

それも「いずれ全て失われていく」と、認知症専門医から言われています。

おママはまだ食べる、飲み込むという行為はできますが、今後いつまで続くでしょうか。

おママの場合、摂取する事より排泄の方が早くダメになりそうです。

これは先月ぐらいから多くなったのですが、おママがトイレに行った時に、私も中に入って確認すると、すでにリハパンツが重たくなっています。

つまり、おママは自覚なくリハパンツの中にお小水をしてしまったのですね。

これは仕方のない事です。

おママは認知症歴15年。ここまでよく保てたと思います。

本能に裏打ちされた記憶も失くしていく段階が、今後やってくるでしょう。

それを改めて突きつけられている秋です。

本日アップの貼り絵

思えば今年の6月はとても綺麗な作品が多かったです。

今日ご紹介する貼り絵は(↓)こちらの作品の直後に制作されました。

harienikki.hatenablog.com

おママは(↑)の貼り絵を制作している途中で、長方形になった朱に近い赤い因州板締染和紙の紙片を手に取りました。

手に取った瞬間、おママの脳裏から途中になっている作品がすっかり消え落ちているのでした。(^◇^;)

youtu.be

<おママの制作動画>

2022年6月20日 16:30〜(5分42秒)

おママは朱の板締染和紙の紙片に「くの字」の繰り込みを入れました。

そして机の上に小さな赤いピースを並べて構成し始めたので、チャーコは慌てて白いハガキを差し出しました。

チ「この上でやって。」

おママは更にアイデアが浮かんだようです。長方形の紙片を対角線に折って、三角形を2枚作りました。

そして、中央のオーナメントが出来上がったのです。

 

気が済んだのか、おママの意識は再び制作途中の1作目に戻っていきました。

 

(↓)1作目が完成した後、早速2枚目の仕上げに入りました。

どんなふうに飾りをつけるのでしょう。

市松模様を使うようです。

市松模様はおママにとって認識しやすく、そして切り分けやすい模様です。楽しそうです。

華やかになりそうですね。

(↑)もうすぐ完成です。

 

おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。