(2022年10月28日アルツハイマー型認知症の診断から約15年8ヶ月)
(2022年10月28日アルツハイマー型認知症の診断から約15年8ヶ月)
*祈るような気持ちで
2022年10月28日。確かこの日は金曜日だったはず。
写真データを見返していたら、こんなおママの写真を見つけました。
(ああ、この日は実家へ行く前に、三越前で地下鉄を降りて小津和紙に寄ったんだな。それで、友禅紙を2枚買ったんだっけね。)
2022年12月中旬に、ハサミを持つことも難しくなったおママの様子を見て、私は『おママの貼り絵』のサポートをやめました。おママは既に私が強く勧めないと取り組めなくなっていたので、事実上,それがおママの貼り絵制作の終了を意味していました。
10月28日はその1ヶ月半ほど前でした。
いつ、おママが貼り絵に取り組めなくなるか。それは時間の問題でした。
それでも、1日でも長く1枚でも多く、おママには貼り絵をしてもらいたかった。
それは、既に認知症歴15年を越えていたおママの残された能力を少しでも保つため。
いや,続けてほしいと願う私のエゴだったかも知れません。
少しでも,おママのやる気と笑顔が見たくて、当時の私は常に貼り絵の材料を求めていました。
小津和紙でいかにもおママが好みそうな配色の算盤模様と、
2017年に一度購入して、おママが好んで使い倒した手毬模様の友禅紙を見つけた時、私は迷わずそれをレジに持っていきました。
(この後、直ぐに使わなくなるかも知れないけど、それでもいい。)
ほとんど祈るような気持ちで、おママに見せると、おママは嬉しそうに人差し指で模様を辿っていたのです。
これだけでも、十分私は報われました。
*1枚目
さて,時間は11時台ですから、お昼の準備も気になりますが、おママがその気になったら、それを逃すわけにはいきません。
(↓)早速,手毬模様を切り抜き始めました。
<おママの貼り絵制作動画①>
2022年10月28日 11:28〜(52秒)
マ「ちょんちょんちょんで、ございまして、これがね…。」
「これでね、ほんと、やっちゃったらね、いろいろとね、あの子はね、やってるからさ、いつまでしいくから…。」
ご機嫌でお話も弾んでいます。
「あの子」って誰なんだろう?今となっては謎です。
(↓)算盤模様を直線に切っています。この時期、おママは直線を長く切ることが難しくなっていました。5〜6㎝くらいがせいぜいだったと思います。よぼど模様が気に入ったのか、おママは果敢に挑戦していました。
<おママの貼り絵制作動画②>
2022年10月28日11:36〜(24秒)
ハサミの動きに合わせて、おママの美声が聞こえます。
マ「ちょん、ちょん、ちょん、ちょん、ちょん、ちょん、ちょん、
ちょーーーーん❗️」
チ「お見事❗️」
マ「ほんとう、うれしい、ほんとうでございます。」
おママもご機嫌ですが,私もかなりハイテンションでした。
(↓)2本のラインを斜めに使うらしい。
(↓)糊つけしながら微調整中。
<おママの貼り絵制作動画③>
2022年10月28日11:46〜(38秒)
おママは手毬の配置を更に考えています。
そして1枚目は完成しました。
*2枚目に突入
もうすぐ正午ですが、おママの勢いは止まりません。
<おママの貼り絵制作動画④>
2022年10月28日 11:46〜(55秒)
おママは自分で切り抜いた手毬のピースが気に入っているようです。
マ「これがきれいだ…。」
チ「きれい、きれい。」
マ「こんなに,こうなってるの。いいわ、これはそう。あ、でも、こっちのほうがいいよ。」
チ「うん、本当だ。」
マ「これだけ…、こっちがおおきいでしょ。こっちはこれでいいから…。」
チ「そうだね.それがいいね。」
マ「ね、よかった❗️うれちかよーー❗️」
「嬉しい」が「うれちかよー」になっていますが、この日のおママはとてもよく喋っていましたね。v(^O^)v
(↓)七宝模様も使うらしい。
(↓)更に貼って剥がして、また貼って.更に10分悩んでようやく完成しました。
小津和紙で4分割に切られた友禅紙は当時1枚300〜400円くらいだったと思います。安い紙ではありませんが、この時のおママのご機嫌っぷりを考えると、私は買って良かったと思いました。
(↓)関連作品です。
2017年5月末に、おママはお店で一目惚れして、この手毬模様の友禅紙を購入しました。
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。