(2009年5月8日 アルツハイマー型認知症の診断から約2年3ヶ月)
*懐かしい一冊
7月の面会で0歳からの絵本を持参したら、おママに大好評でした。
それで、8月の面会の時は、オネコさんが持参する絵本を用意してくれました。
それは『ぐりとぐら』です。
オネコさんも私も、繰り返しおママに読んでもらい、自分でも読み、そして我が子にも読んで聞かせた懐かしい絵本です。さらにオネコさんは孫にも読んであげています。
1967年に初版が発売され、現在に至るまで、世代を超えて愛される不朽の名作絵本。
しかし、認知症の末期と診断されて、言語の殆どを失いつつある現在のおママにはどうでしょうか?
おママ自身が読むには、長すぎるし文字が多すぎて能力的に不可能。
私達がおママに読み聞かせるとしても、不向きな絵本です。
何故なら、記憶が数秒も保てないおママには、ストーリー性のある絵本は前ページの内容すら覚えていられないから、物語を聴き続ける事が出来ません。
それで、現在のおママが『ぐりとぐら』を手にしてどうだったか…。
意外にもとても楽しんでいました。(๑˃̵ᴗ˂̵)
*眺めて楽しむ
何度も何度もページをめくって絵を楽しむおママの姿を見ていて、
改めて、絵本は絵を見て楽しむ物だと実感しました。
私はどうも「絵本を読む」という考えに囚われていたようです。
絵本は眺めても楽しい。
昔、おママも『ぐりとぐら』が大好きでした。
だからでしょう。記憶にはなくても、眺めていると親しみを感じるようでした。
今回、おママと一緒に『ぐりとぐら』を見て思ったのですが、色彩がシンプルでとてもきれいです。
ぐりの青、ぐらの赤、そして卵やカステラの黄色、植物の緑などなど。
目に入る色は基本的な色ばかりだけど、柔らかい色調です。
その安心感と心地よさ。そしてぐりとぐらや動物たちの絵がとても可愛らしい。
物語は発見と工夫、みんなでフライパンを囲んで食べるという喜びがあります。
この絵本がロングセラーである事を改めて実感しました。
おママが『ぐりとぐら』を見ている動画①>
2024年8月26日15:19ごろ〜(29秒)
ページを見ながらおママは楽しそうに話しています。
「いいわね…、みてると…,もう、これ、なにやってるんだって」
<おママが『ぐりとぐら』を見ている動画②>
2024年8月26日15:19ごろ〜(38秒)
『ぐりとぐら』のハイライトです。
森の仲間たちが良い匂いに釣られて集まってきて、焼き上がるのを今か今かと待っているページから、おママは1場面飛ばしてしまいました。
みんなが美味しそうに食べているページの前に、あの素敵なシーンがあるのですよね。
おママは飛ばしてしまったことに気がついて、1ページ戻ることができました。
チャーコ「そのページ,好きよね❗️」
*『ぐりとぐら』のカステラ
ぐらがフライパンの蓋を開けるときれいに膨らんだカステラが現れます。
このページを見ると、私は多幸感に包まれます。
恐らく、戦中戦後の食糧難を体験したおママとって、その思いは強かったでしょう。
私が子供の頃、おママはこのページを見るといつも言っていました。
「美味しそうよね。この絵の中に入って一緒に食べたいわね。」
食いしん坊のおママでしたが、『ぐりとぐら』のカステラは一度も焼いた事がありませんでした。当時はフッ素樹脂加工のフライパンもなかったので、焦げ付かずに焼き上げるのは難しいと思ったからでしょう。
私は世帯を持ってからはフッ素樹脂加工のフライパンを使っていましたが、そう言えば、一度も挑戦した事がなかったです。
ネットで「ぐりとぐら カステラ フライパン」で検索するとたくさんのレシピときれいな写真が紹介されています。意外と簡単そうでした。
(↓)福音書店さんのレシピもありました。こちらはオーブンで焼くそうです。
焼いてみたいな。
でも、本当は、絵本の中でぐりとぐらと一緒に食べたかったな。(๑˃̵ᴗ˂̵)
*本日アップの貼り絵
単に、色合いが『ぐりとぐら』のカステラに近いかなと思って選んでみました。
おママが認知症と診断されて2年3ヶ月頃、2009年5月8日の作品です。
「おママの貼り絵」の中では初期にあたります。
当時は私も娘が小さくて、あまり実家に行っていなかった時期です。
それで、使った紙は不明です。でも、私の想像では『銀座百点』の広告写真を使ったのではないかと思います。
陶器の写真の一部でしょう。ゼロを描くように配置し、その内側も素敵です。
雫模様はクラフトパンチによる型抜きでしょう。四方に小さく配置されている赤い鋭角三角形がいいアクセントになっていると思います。
おママが特別養護老人ホームに入所する時に、持っていったファイルの中に収めた作品でした。
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。