(2013年5月30日 アルツハイマー型認知症の診断から約6年3ヶ月)
*良かれと思って用意したけど…
おママが特別養護老人ホームに入所して丸一年が経ちました。
その間、私達家族は基本的に月一回の面会をしてきました。お陰様で、施設では穏やかに過ごしているようで、本当に良かったと思います。
2023年の間、面会はコロナなどの感染予防対策のため面会室のみでの対応でした。しかし、先月1月16日に初めておママの居室に立ち入る事が許されて、おママの暮らしぶりの一端に触れる事ができました。
居室は清潔な感じだし、居心地も悪くなさそうです。
備え付けの引き出しにはおママの衣類が綺麗に入っていました。
そして棚の中に私達が用意したファイルが2冊ありました。
それはおママが特別養護老人ホームに入所する時にオネコと私が用意した物です。
1冊はおママが制作した貼り絵を納めたファイル。
そしてもう1冊はおママが好んで貼り絵に使ってきた紙類のファイルです。
確か以前の面会の時にスタッフさんが
「時々ご覧になってます」
と言ってたっけね。
ふと手に取って開いてみると、中は予想外の状態になっていたのです。(°_°)
(↓)作品ファイルについて
(↓)おママの好んだ紙のファイルについて
貼り絵の方はハガキサイズの写真を収納するポケットアルバムです。
透明なポケットにおママの貼り絵を72枚入れておきました。
それが1月16日の面会の時には、透明のポケットのほとんどが千切れて、おママの貼り絵はバラバラに挟んである状態でした。
スタッフさんのお話では、おママは見るだけでなく自分の作品をファイルから出してしまい,その時にクリアポケットが切れたとの事。今では殆どのページが収納できません。
貼り絵を出して眺めるだけではなく、時として癇癪を起こして、剥がしたり破ってしまうこともあったようです。その現物がありました。
おママの好きだった紙を収納したファイルも、クリアポケットは破れた部分が多く、殆どの紙が既に失くなっていました。破ったりぐしゃぐしゃにしたようです。
そう話すスタッフさんは申し訳なさそうにしていました。これについてオネコも私もは責める気は全くありません。
おママは認知症の専門医に「アルツハイマー病の末期」と診断されているのですから、仕方がないことだとは思います。
しかし、おママの気晴らしや慰めになるのではないか。そう良かれと思ってファイリングした私としては、かなりショックでした。
ある意味,破ったり剥がしたりして気晴らしになったのかも知れません。
悲しいけど、これが現実なのでしょう。
一旦全部引き上げようかとも思ったのですが、おママが見たり触ったりするものがなくなるのも寂しいかも知れません。
おママの貼り絵はまだ実家に4000枚以上あります。オネコと相談して、
「まだ沢山あるし、これはこのまま…」
一応、ファイルをおママの部屋に残して帰りました。
*おママらしさが失われつつある
おママは自分の作った革工芸や製本の作品をとても大切にしていました。
貼り絵に対してもそうです。
2022年の診断から15年経った段階でも、私が仕上がった貼り絵をおママの目の前からファイルに収納しようとしただけで、
「それをどこにやるの❗️」
と機嫌を損ねたこともありました。
ファイルを見れば何となく自分が関わったものだと自覚している様子もありました。
少なくとも、自ら毀損することはなかった。
やはり、施設に入ったからなのでしょうか。
いえ、もしかしたら、ずっと家にいたとしても、今はもう同じだったかも知れません。
これがおママの現状なんだ。
帰りの道道、私は自分に言い聞かせていました。
「おママは自分で後から見返して,やっぱり気に入らなくなって、貼り直したりすることもあったじゃない。」
そう言うオネコさんに、私は「そうね…」と頷きました。
そうだけど、やっぱり悲しい。
次回、面会に行く時、新しいファイルを持って行こうかな。
そしてもう一度、貼り絵を入れ直そうかな。
また,ファイルのクリアポケットがビリビリに破られちゃうかな。
その繰り返しになるかも知れませんね。
*本日アップの貼り絵
2013年5月30日に制作されました。
今から11年前の作品です。随分前ですね。当時、おママは認知症と診断されて6年3ヶ月ほど経っていました。
円系のピースは全ておママがパンチやハサミで拵えています。画面の大きさがハガキ大なので、小さな丸を鋭角三角形の上に並べるのは本当に細かい作業だったと思います。
おママは本当に器用な人でした。
これも上記ファイルに収めた貼り絵でした。
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。