アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

制作意欲旺盛な日、そして消えた作品

f:id:harienikki:20200413235827j:plain

(2020年2月5日 アルツハイマー認知症の診断から約13年)

 

意欲的な日

iCloudに保存されている写真をスクロールしていると、時々、撮影日の記憶がまざまざと蘇る事があります。

私は普段、おママの貼り絵や制作風景をスマホで撮影します。その写真データには撮影日時が含まれていますから、時系列を追うことも可能です。私はスマホはおろかデジカメですら無い時代を知っているので、今は本当に便利ですね。(^O^)

 

2020年2月5日(水曜日)は、私にとって、ちょっと印象深い日でした。

この日の午後、私は襖の応急処置という荒技をしておりました。(^◇^;)

だから、おママに「お題」を出してあげる暇も、構ってあげる時間も余りなかったのですが、

おママは妙に意欲的で、制作活動に勤しんでいました。

 

襖の応急処置についての詳細はこちらの記事です。↓

harienikki.hatenablog.com

 

制作①

 2日前に私は下のような「お題」をおママの作業机の上に広げておきました。

f:id:harienikki:20200413235938j:plain

 青磁のお皿は恐らく『銀座百点』の広告写真だったと思います。赤い鹿の子模様は歌舞伎座でお土産を買うと入れてくれる袋、小津和紙の千代紙も見えています。

 

しかし、この「お題セット」はおママの心の琴線には触れなかったらしい。

(お気に召さなかったのね…。)

直ぐにおママによって、片付けられてしまいました。(^◇^;)

 

ところが、2月5日になって、おママは上記の「お題セット」を再発見したようです。

私が昼食の準備をしている間に、やっているではありませんか‼️↓

 30分もかからずに完成させていました。

f:id:harienikki:20200414000108j:plain

 

制作②

上記の作品を仕上げたおママは、すかさず2枚目に取り掛かりました。

(もうすぐ、お昼ご飯なんだけどね……。) 

f:id:harienikki:20200413235858j:plain

(2020年2月5日 アルツハイマー認知症の診断から約13年)

 

 当然お腹は空いているはずなのに、おママは我関せず。

 ↓貯まっている使い残りの紙片を組み合わせて、パッパッと直感的に構成し、こちらは15分ほどで、仕上げてしまいました。

f:id:harienikki:20200414000139j:plain

 

制作③

昼食後、私はおママと一緒に養生テープを買いに行った後で、襖の修繕にとりかかりました。その作業におママを加えると面倒なので、私はおママを放ったらかしにしました。

その間、おママはロッキンチェアでうたた寝でした。

しかし、夕方になっておママは又、貼り絵を始めました。

 

私が最初に気がついたのはこの状態。↓

f:id:harienikki:20200414000201j:plain

昼前に制作された①②2枚の貼り絵に比べても、最近珍しいほどの複雑な構成を考えていました。

(カッコイイではないか‼️)

しかし、複雑な構成を考えれば考えるほど、おママはドツボにハマっていったようです。

途中、おやつタイムはありましたが、1時間20分が経過しても構成は決まらない。(^◇^;)

 

ダイニングテーブルは夕食を摂るために使うので、作業場所をおママの机に移しました。

おママは新しい紙片を加えて、更に構成を練りますが、考えれば考えるほどまとまりません。

f:id:harienikki:20200414000220j:plain

 流石のおママも相当頭が混乱して疲れたのでしょう。

この日、おママは3枚目の作品を仕上げることができませんでした。

「もう、疲れたから、今日はやめるわ。明日にする。」

そうでしょう、そうでしょう。1時間半以上も考え抜いたら、普通の人だって疲れます。

ましてや、おママはアルツハイマー認知症歴13年。

今年に入って、おママの症状は更に進んでいるので、比較的大きいパーツを少ない枚数で構成する貼り絵が多くなっていますもの…。

f:id:harienikki:20200414000240j:plain

 複雑なデザインは時間がかかり、段々自分でも何をやろうとしていたのか、分からなくなるようです。

 

私はこの作品がどのようになるのか楽しみだったのですが、残念ながら、おママは完成させることができませんでした。

(もう少し、私が構ってあげれば完成できたのかな…。)

私が側に居ても、居なくても、結果は同じだったかもしれません。

 

結局、このようにデザインを決めかねたまま糊付にも至らず消滅した作品は、他にも相当あるのかもしれません。

「これで良いわ。これで仕上げよう❗️」

という判断や決断が、おママには出来なくなっているのではないか…。

残念な事ですが、そう感じることが多くなりました。

 

やがて、認知機能と記憶力の低下は、おママから完全に制作意欲さえも奪うのでしょう…。

そう思うこの頃です。

 

おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。