(2021年6月28日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年4ヶ月)
*諸行無常
『平家物語』といえば、私は「諸行無常」という言葉を思い浮かべます。
有名な「祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響あり………」で始まる冒頭は、私の世代でも、娘アズキの世代でも中学校の国語の教科書に載っていて暗記した名文です。
この「諸行無常」とは
全ての現象は刻々に変化して同じ状態ではない
と、私は習いました。
何故、私が柄にもなくこんな教養っぽいことを書いているかというと、
やはりおママの認知症がいつも私の心のどこかにあって、
「おママは昔は厳しいくらいしっかりしていたし、なんでもキチンと出来ていた、なのに認知症になっちゃうなんて…」
という思いがあるからでしょう。
おママは毎週土曜日に認知症専門のデイサービスに一人で通所しています。
毎回、帰宅時にその日の日報を写真付きで記録してファイルに綴じて下さいます。通所中のおママの様子が分かりとても有り難いです。
8月中旬にその日報と写真を見た時、私はあまりの事に一瞬言葉を失い、その写真に目が釘付けとなりました。
そして、浮かんだ言葉は「諸行無常」でした。
(↓)この写真です。
お分かりだと思いますが…、
おママは長袖のパジャマの上に小花柄のブラウスを着ていました。(T_T)
「あゝ、おママはパジャマで外出しちゃったのか…。しかも中途半端にはみ出しているし…。」
いくらお気に入りのパジャマであっても、昔のおママでは考えられません。
やはり、おママの症状は刻々と変化していきます。そして確実に進んでいくのか…。
遂にやっちまったか…。
でも、この姿もファッションと思えば、それなりに見えるかも?
いえ、いえ、アウトですわ。
「最近、おママは朝着替えが出来なくて、いつまでもパジャマでいるんだよ。」
夏になる前頃から、よくジジがそう嘆いていました。
確かに今のおママにとって、着替えは誰かの介助がないと難しいです。
一日中家に居るならパジャマでも良いけど、出掛ける時にこれは考え物です。
おママの症状が進んでいる事を実感するとともに、娘としてはこんな格好でおママを出してしまった事に落ち込みました。そして、おママに申し訳なさを感じました。
とは言え、93歳のジジにはおママの服のコーディネートは難しく、朝のデイサービスのお迎え時には、オネコも私も実家へは行けません。
今のところの対策としては、安直な方法ですが、
デリサービス前日にパジャマを洗濯機の中に放り込んで隠してしまい、
おママには外に出ても問題の無い格好で就寝してもらっています。
*これも忍び寄る老いか
そろそろ、おママのパジャマネタでも書こうかな。
昨夜は実家からの帰りの電車の中でそんなことを考えていました。
(おママったら、あんな格好で出掛ける様になってしまったか。)
まだ、その思いが強く私の心に刺さっていました。
自宅へ戻り、遅い夕食を摂り、草臥れているけど、私は台所で洗い物を始めました。
洗った食器を水切りかごへ載せようと横を向いた時、私は自分の肩に何かがついているのが見えました。
それは、よくみると肩と袖の縫い代ではありませんか❗️
そして、我が身をとくと見直してみると…、袖も身頃にもしっかりロックミシンがかけられた縫い代だらけ❗️
私は思わず悲鳴をあげてしまいました。
「えーーー、私は1日中カットソーを裏返しで着ていたんだ。」
電車にも乗って、お店に入って買い物もして、おまけにハーブティーのお店で試飲をしながら店員さんと話もしていたわ。親やオネコは目が悪いから気がつかないにしても…。」
恥ずかしいったらありゃしない。
これには娘のアズキにも呆れられてしまいました。
T シャツを裏返しに着たおママの事は言えませんわ。(↓)
恥ずかしいけど、自らへの戒めとして晒しておきましょうか…。
でも、この姿もファッションと思えば、それなりに見えるかも?
いえ、いえ、アウトですわ。
「認知症のお祖母ちゃんなら、いざ知らず。実の親がやらかしたかと思うと、じわじわくるな…。お母さん。これはもうすでに伝説だよ…。」
娘の言葉が胸に刺さりますが、
最近の私は台所に立て場立てばヤカンや鍋を空だきするし、家族のスケジュールは全く頭に入らないし、ウッカリと物忘れが激しすぎます。
おママの現状を思うと、今からこんな私は将来どうなるんでしょう。
おママより早く、おママより重い認知症になりそうな予感がします。
嗚呼、そんな伝説なんてお断りだぁ…。(涙)
*本日アップの貼り絵
この日はクレバァ旧蔵の千代紙を「お題」にしてみました。
素敵なのですが、イマイチおママの好みではなかったようです。
(↓)散々、千代紙を切っていたのですが、おママは飽きてしまい、お好みのマーブルペーパーを手にしました。
<貼り絵制作動画①>
2021年6月28日 15:02〜 6分05秒
おママはマーブルペーパーを分割しています。
恐らく扇を開いたような構成を目指しているのだと思います。おママは切る場所を思い付いても、ハサミを入れる瞬間には忘れてしまうのか、それとも気が変わるのか?実際に切った場所は違ってしまいました。このような事は最近とても多いです。
その後、おママは先ほど切り刻んだ千代紙を再発見して使う気になりました。
あれこれ試行錯誤して、実際使ったのは画面上部の黄色の丸で囲んだ紙片でした。(^O^)
(↓)
赤い色味も欲しくなったようです。(↓)
(↓)おママは大好きな「波紋」の赤を追加しようと思い立ちました。
<貼り絵制作動画②>
2021年6月28日 15:26〜 3分05秒
おママは赤の「波紋」を左側に配置して構成を完成させました。
途中、不思議な事を言っていました。
「子供がね……それをしないの……向こうが言わないから……。
でも、これだとなんとなく寒い。」
おママは小さく切ったピースを子供に例えているのでしょうか?私もいまいち汲み取れませんでした。
「寒い」は画面上物足りないというような気分で「寂しい」と言いたかったのかも知れません。
そして、完成しました。
この日、私が実家に着いた時には、既にこんな感じで貼ってあり途中になっていました。
おママは午前中に一人でここまでやっていたのですね。
それで、これをおママに完成させてもらおうと思いました。(↓)
(↓)おママに好みで選んでもらった紙を並べてみると、イメージが湧いてきたようです。
(↓)そして完成しました。
(2021年6月28日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年4ヶ月)
おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。