(2021年2月1日 アルツハイマー方認知症の診断から約14年)
*くちとみみ
人間の体には9つの穴があります。
ちなみに女性は10個です。
改めて言うまでもありませんが、両耳と口はその仲間です。
耳は音を聴く穴。
口は食物や水分を摂取する穴です。
おママさんは一応、まだ耳に食べ物や水を入れたりはしませんから、
身体の一部の役割として「耳」と「口」の区別はつきます。
しかし「みみ」と言う単語が「耳」を示し、「くち」が「口」であると理解できるか。少々怪しくなって参りました。(°_°)
*後はジェスチャーしかない
5月17日月曜日の夜、私は台所で夕食の片付けをしておりました。
すると、ジジとおママの小さな諍いが聞こえました。
「ダメでしょ。そんなものを口に入れないの。」
「え……?」
「それは耳掻きだから、楊枝じゃないよ。」
「でも、私はこれで…。」
「だから、ダメだって!それは耳に使うものだから、口に入れないの!」
ああ…。
おママは歯に挟まった物を取ろうとして、爪楊枝が欲しいのでしょう。
ところが、耳掻きで歯間の隙間を掃除しようとしたのです。
実家のダイニングには爪楊枝と耳掻きがいつもありますから、間違えたのですね。
ジジは必死です。
「ほら、楊枝があるでしょう。口にはこれを使うの!」
「だって、いつだって、これで…。」
おママも意固地になりました。
「私はいつだってこれを使っているのよ」と言いたいのですが言葉がつながりません。
そのもどかしさが、怒りを増幅させそうでした。
私は水道の蛇口を締めて、手を拭きました。
そして様子を見ますと、
なるほど、おママの右手は耳掻きを握りしめたまま固まっています。
そして、次の瞬間、確信を持って口に入れようとしました。
「こら、ダメだって❗️」
ジジよ。こんな時は、ダメと言ってもダメなのです。
私は耳を差し示しながら説明を試みました。
「お母さん、それは耳に使うものだから、口に入れないんですよ。」
「みみ? え……?くち?」
それでも、おママは訳が分からないようでした。
「みみ」と「くち」の単語が分からなければ、言葉で説明ができません。
(°_°)
私は楊枝を1本持っておママに差し出しました。
「お口の中の歯の掃除をしたいのでしょう。それならこの爪楊枝を使ってください。」
私が楊枝を使うジェスチャーをすると、
おママはようやく分かってくれたようです。
「ああ、そう、そうね。」
耳掻きをようやく手放して、爪楊枝を手にしてくれました。
そして、おママは黙々と楊枝を使って歯間のお手入れをし始めました。
「みみ」「くち」という単語が何を指すのか分からなくなっても、
耳掻きと爪楊枝の区別がつかなくなっても、
おママには、食後に歯間を何かで掃除したいという欲求が、しっかり根付いているのです。
(人間ってすごいな。)
私はショックとか悲しいとか言うより、不思議な感動を覚えました。
いづれ、おママは耳と口の存在や役割も、分からなくなっていくのでしょうか?
そうなりませんように…。
切に願っております。(^O^)
余談ですが、私は子供の頃、おママに耳かきをしてもらっていました。
それがですね…。かなり痛かったんです❗️
「わーーーーん。痛いよーーー❗️」「じっとしていなさい❗️」
*本日アップの貼り絵
2021年2月1日、おママはとても元気でした。
4枚も貼り絵を制作しまたんですよ。(^O^)
今日ご紹介する貼り絵はその最後の4枚目です。
(↓)同じ2月1日に製作された貼り絵。力作揃いです。
(↓)このお題の残りを使いました。
(↓)4種類の千代紙(小津和紙で購入)を使っています。
黄色いピースはカレンダーの切り抜きです。元の絵はモーリスてん・キスリングの「花瓶のミモザ」でした。
(↓)こちらでも「ミモザ」が使われています。
中央のグレー系の四角だけ、元が不明でした。
(↓)もう夕方ですが、制作意欲が衰えないおママ。
あら、1枚だけ千代紙が裏返しですね。(^◇^;)
(↓)裏返しの千代紙に気がつきました。大体こんな感じにしたいようです。
(↓)中央の四角の上に、更に四角が載りました。
(↓)おママは画面が物足りないと感じたようです。
綺麗に飾りがつくでしょうか?おママなりにあれこれ考えているようです。(^O^)
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。