(2021年5月7日 アルツハイマー方認知症の診断から約14年3ヶ月)
*目標を増やします
最近のおママを見ていますと、認知症の症状が急激に落ちたなと感じます。
以前から記憶は数分も保ちませんから、これはもう諦めの境地です。
日本語の語彙もどんどん減っています。
例えば私がおママに「お母さん」と呼び掛けますと、おママは自分が話しかけられたとは思わないことが多いです。そしてジジを促すのです。
「ほら、あなた❗️あなたでしょ。」
いえいえ、おママさん、あなたですよ。
だから、最近はおママの事を「お母さん」ではなく、
「芙貴子さん」と呼んでいます。(^。^)
そこまでしても、おママは自分の氏名が怪しくなりました。
姓は分かりません。かろうじて名前の「ふきこ」はまだ大丈夫でしょう。
それを如実に感じたのは、コロナコロナワクチンを接種する時の問診票に署名をする時でした。
「お名前を書いて下さい。」
「………?」
私が見本を書いて見せて、それをかろうじて見ながら書くという塩梅でした。
(こりゃいかん。)
せめて、自分の名前だけは忘れて欲しくない。
おママ固有の、他の誰のでもない、おママ自身の名前なのだから。
それで、私は考えました。
貼り絵を終えた後、今でもおママに日付を書いてもらっています。
もちろん、私の見本を見ながらですが、毎回その日の日付だと説明して、その認識を持って書いてもらってます。
「あなた、やってよ。」
「いえ、芙貴子さんが書いて下さい。」
そんな押し問答はありますが、頑張ってもらっています。
(その時に、日付と一緒に署名もしてもらえば良いじゃん。)
なんて私は頭がいいのでしょう。v(^○^)v
*しかし、前途多難
貼り絵を終えて、日付を書いもらって、私は徐に言いました。
「では、芙貴子さんのお名前を書いて下さい。」
「えーーー、なにそれ?」
私は白い紙にサラサラとおママの氏名を漢字で書きました。
「芙貴子さんのお名前ですよ。見ながら書いて下さい。」
すると、おママの頭は明らかに混乱してしまいました。
「これじゃぁ、なんだか、わからないわ」
「えーーー❗️芙貴子さんのお名前ですよ。」
「でも、これ、へんだから、わからないわよ。」
なにぃ?
もしかして、私の書いた字が変だと言いたいんですか?
確かに、私は悪筆です。サラサラと普段通りに書きましたから、丁寧ではありません。
そこで、私は楷書を心がけ、整った字で書き直しました。
「これで、いかがでしょう。」
おママはじっと見本を見つめました。そして、突然ペンを持ち、私の字を上から直し始めたのです。
「ここはこう。ここはきれいにはらわないと、ちゃんとみえない。」
なんですと?
私なりに丁寧に見本を書いたというのに、
それを、認知症歴14年の母親に添削されてしまうのか?
あまりの事に、私は顔を引き攣らせて硬直してしまいました。
(癪に障るったら、ありゃァしない❗️)
思い起こせば、おママは昔から字の乱れにうるさかった。
私は子供の頃、よくよく、おママに字を直されていました。
「名前くらいきちんと書かないと、テストの時に先生に採点してもらえないわよ。」
「ほら、ちゃんとはねたり、払ったりしないとダメよ。」
「どうして同じ1行で字の大きさがマチマチなの?揃えて書くのよ。」
小学生の頃の黒歴史が蘇ってきました。
ええ、ショックでしたが、私は大丈夫です。(°_°)
おママには字の汚さを言われ慣れてますから。すぐに立ち直れました。(°_°)
そこで、私は渾身の見本を書きました。教科書体風の綺麗な字だから‼️
以来、それを見せて、有無を言わさず名前を書いてもらっています。
おママの字がかなり崩れていても、大きさがまちまちでも、
「すごーーい、お上手❗️」
とおママを褒めちぎっております。私は大人ですから。(^◇^;)
これにどれだけ効果はあるか全く分かりません。
でも、書かないよりはマシと思って、しばらく続けようと思います。
おママさん、ご自分の名前だけは忘れないでね。
*本日アップの貼り絵
前回の貼り絵もテーマ「窓」でしたが、今回も窓、それも「丸窓」です。 (^O^)
5月7日金曜日。
この日、私は実家への行きがけに日本橋に寄りました。用事を済ませて、小津和紙へ。いつものパターンです。しっかり新しい千代紙を2枚買ってきたのですが、この日
おママはもう自分で「お題」を決めていたようです。
(↓)それはこの写真上部に写っていました。千代紙の上に載っている黄色い「丸窓」。
新しい青海波模様の千代紙も使いたくなったようです。(^O^)
丸窓は、こちら。(↓) 昨夏、知人から頂いたお菓子の箱の一部です。
どんな風に千代紙の柄を見せようか思案中。(↓)
円窓の裏面に千代紙を貼り付けています。それが終わったら,おママは丹念に形を整えていました。
(↓)「こうしようかしら。」
「いいじゃないですか。」
丸窓が綺麗に仕上がったので、おママはご機嫌でした。
しかし、ここから丸窓は散々な目に遭ってしまうのです…。(°_°)
<貼り絵制作動画①>
2021年5月7日 15:28〜
おママは丸窓の位置を考えています。
しかし、思いついたまま中央に置き、軽率に貼ってしまいました。
私は嫌な予感しかしません。案の定、おママは気に入らなくってしまいました。
このように重ね貼りをしたピースは、厚みが圴一ではないので、貼ったり剥がしたりを繰り返すと破れる可能性があります。この時はまだ貼ったばかりなので、なんとか剥がして向きを変え貼り直す事がが出来ました。(1回目)
しかし、丸窓には更なる受難が待ち受けていました。
おママは青海波の千代紙を左右にあしらいたいのですが、うまく収まりません。先ほど自分で考えた構成を忘れてしまったのです。そのため、しっかり貼り付けてしまった丸窓を剥ぎ取るという暴挙に出ました。
(↓)あぁ、強引に剥がした❗️(°_°)(2回目)
ハガキの表面は大して痛んではいないのですが、丸窓の方は中央の千代紙が一部薄くなってしまいました。
そにため,私は白い紙を裏側から当てて、丸窓に裏打ちをする羽目になりました。(^◇^;)
(↓)「こうしようかしら。」
本当にそうしてください❗️これ以上剥がすと丸窓は本当にダメになりそうです。
<貼り絵制作動画②>
2021年5月7日 15:43〜構成編
3度目の正直で、自信を持ってまた円窓を貼りますが、その直後に指でずらして位置を変えました。裏打ちしたとはいえ、そんなに丈夫ではありません。私としてはもう貼った物は剥がさないで欲しいです。
「貼って剥がして、また貼って、動かして、凄いですね。」
多少嫌味を込めてチャーコは呟きますが、おママは我関せずでした。(^◇^;)
最後に左上に四角い桜模様のピースを貼り付けて完成しました。
動画はそこでお終いです。
が、しかし‼️
おママは新しいブルー系の千代紙を帯状に切り始めました。(↓)
<貼り絵制作動画③>
2021年5月7日 15:52〜
ブルー系の千代紙を切り終えたら、おママは急に完成したはずの貼り絵に手を伸ばしました。おママの脳内では、四隅にブルーを飾りたくなったのでしょう。
おママは完成した作品の4つの角に直接ブルーの帯を合わせて折り目をつけていき、その折り目にハサミを入れました。
私の感覚からすると、青海波模様の千代紙は個性が強いので、ブルーを持ってくるとごちゃごちゃしそうです。小首を傾げながらおママの作業を見守っていました。
しかし、四隅にこのブルーが入ったら、思いのほか綺麗でした。
「きれいですね。」
画面に統一感が生まれて良かったのかも知れません。
「よく思いついたなぁと思って…」
チャーコの嘆息を載せて、この貼り絵は完成しました。(^O^)v
興が乗ったのか、おママはブルーの千代紙を更に切り分けて、(↓)
(↓)この日2枚目の貼り絵を完成させました。
(20201年5月7日 アルツハイマー方認知症の診断から約14年3ヶ月)
関連作品です(↓)
同じ丸窓を使っています。
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。