(2021年11月3日 アルツハイマー型認知症の診断から約14年9ヶ月)
*怒涛の勢いで接種へ
今月末まで車椅子が借りられるから、出来ればジジとおママのワクチン接種はそれまでに済ませたい。これはオネコと私の野望でした。
今週月曜日に接種券が届いて、すぐに予約作業を始めたところ、直近で21日金曜日の午後の枠が空いているではないか。
「善は急げだ」
とオネコがポチッとしてくれました。
それにしても月曜日に予約して金曜日に接種とはなんと慌ただしいことか。
今週の東京は晴天続きだし、ジジとおママも元気です。こうもオミクロン株が流行っては、付き添う私やオネコが罹らない保証はありません。
「行かれるうちに行っておこう。」
認知症と足弱な高齢親のワクチン接種は付き添う方にとっても一大イベントです。
ノリと勢いで、昨日行ってまいりました。(๑˃̵ᴗ˂̵)
*準備など
3回目ともなると、いささか慣れてまいります。
ジジとおママは1回目2回目とも副反応はありませんでした。発熱や痛みも感じずにケロリとしたものです。
「今度も大丈夫でしょ。」
とはいえ、3回目の正直って事もあるかも知れません。一応、カロナールはジジのすぐ分かるところに出しておきました。
持参する物は、保険証、接種券、念のためにお薬手帳。
接種券は予め全部私が記入しておきました。体温計測もしました。
しかし自宅の電子体温計(腋の下に挟むやつ)は結構大変です。
何せジジは耳が遠くて「ピッ」という終了音が聞こえません。
おママは体温を計測している事自体を忘れるので、見張っていないとすぐ脇の下から落とします。(°_°)
「額で測る体温計が欲しい」
そう心から思いましたわ。
そして署名は自宅で済ませました。
夏は薄着ですから問題は少ないのですが、やはり着る物は考えました。
高齢者は厚着です。何枚も重ね着をしているのです。
「どうやって、肩を出して注射打つんですか❗️」
放っておくと、皆さん、そんな感じだと思います。
ジジはその場で介助があればなんとかできるでしょう。
しかし、おママは言い聞かせて理解できるわけもありません。お医者様や看護師さんの前でモタモタしている間に
「イヤです❗️わたしはゼッタイにイヤ❗️」
と拒否するする可能性が大です。
そんな事にならないように、スピーディさが求められます。オネコさんがあれこれ考えてくれました。
ノースリープの下着、夏の半袖ポロシャツ(袖口が広め)
柔らかい素材で袖口が広くて肩まで捲れる長袖(大きめのヒートテックなど)
長袖カーディガン
つまり、カーディガンを一枚脱がせば、あとは袖口をガバッと肩まで捲り上げる作戦です。
そして、いざ出陣❗️
の前に、おトイレが重要です。寒い戸外を歩くのですから、紙パンツを履いているとはいえ、途中で行きたくなると厄介です。
ところが、おママさん。この出陣直前のおトイレで「うーん、うーん」と息み始めているではありませんか。
あぁ、大なのね。まぁ、出るなら出しておいた方が良いよね…。
ちょいと大の方は介助が必要なので、時間に余裕がなくなりましたわ。
でも、出しておいた方が、外出先でしたくなるより良いものね…。
私は遥か昔を思い出しました。
現在27歳の娘のアズキが幼児だった頃、なぜか出かける直前になって大を催すという、苦い記憶が蘇ってきました。
「血は争えん…。」(°_°)
*不安いっぱい
ジジは車椅子にだいぶ慣れてきましたが、午後の向かい風にビュービュー吹かれて実に寒そうでした。揺れるし、車椅子だって、それほど快適とは言えないと思います。
「いや、歩く事を考えたらこの方が楽だよ。」
ワクチンの予約をしているのだから、その時間には行かなければならない。
ジジはそのことが理解できるから、納得して寒風にさらされているのです。
しかし、おママの方は納得する以前に、説明した事を忘れてしまします。
あまりの風の冷たさに、
「わたし、今日は、ダメなの。」
胸を押さえて、
「ほんとうにダメだわ。」
家を出て次の角を曲がる前に愁訴作戦が始まりました。
宥めたりすかしたり、
「芙貴子さんがいないと、太郎さんが困りますから」(°_°)
と言い聞かせてジジの車椅子を押させてみたり、道中の後半はオネコが手を繋いでゆっくり歩いて会場まで行きました。
会場でのスタッフの誘導はスムーズでした。それでも、何回か場所を移動して座って待機するので、その都度おママは「どうしたの、なんだかわからないわ」と不安がり、私の手をぎゅっと握り締めるのでした。
もう3度目の会場ですが、おママにとっては初めてと同じです。見慣れぬ場所で訳も解らず待たされる。かなり緊張しているのか、私の事は一応自分の「連れ」と認識できているようで、私の姿を見失うまいと必死のようでした。
そして接種ブースに入っていくと、初老の先生と看護師さんがいらっしゃいました。
「3回目の接種で間違いありませんね。」
「はい❗️」
私が代返しました。
しかし、先生はおママに優しく問いかけました。
「では、お名前と生年月日を言ってください。」
「はい…。」
「お名前と生年月日を言ってください。」
「え…?なんですか?」
おママはニッコリと笑顔で聞き返しました。
接種券と一緒になっていた問診票の病名欄の「その他」の項目で「認知症」と書いておいたので、お医者さんはすぐに症状の進み具合を理解してくださいました。そして,私のほうを向いておっしゃいました。
「あなたは娘さんですか?」
「そうです。母の名前は田中芙貴子です。」
「分かりました。お薬も問題ありません。では接種をしましょう。」
そして私はおママのカーディガンを脱がせて、瞬く間に肩をあらわにしました。(^O^)v
「え、なんなの?どうするの?え?」(°_°)
おママよゴメン。ちょっと堪えてね。(^◇^;)
「田中さん、腕の力を抜いて、ダランとして下さいね。」
看護師さんはそう言うやいなや注射をし終えました。
さすがプロ。あまりの素早さにおママは「イタイ」と言う間もありませんでした。
*総括
やはり、認知症の人には集団接種会場でワクチンの接種をするのは、結構ハードルが高いと思います。家族が付き添っても、状況が理解できないと不安ばかり募るようです。出来れば馴染みのある掛かり付け医で受けられたらいいのですが、そうもいかず、ジジやおママのように接種会場へ出向く方も多いと思います。
今回、付き添われる方が頭を悩ますのはやはり服装でしょう。冬場で厚着の時期ですから予防接種には難儀します。
予約を取ったら、あらかじめ手持ちのお洋服の中で肩が出しやすいコーディネートを考えて、事前にお家で試しておいた方がいいと思います。
ジジとおママは往きは車椅子と徒歩でしたが、寒さでとても辛かったので(付き添いの私とオネコも)帰りはタクシーを拾って帰りました。
接種を終えると、ほっとするのか本人たちも付き添いの私達もドッと疲れてしまいました。
ちなみに副反応ですが…。
昨晩は食事を完食し、二人とも気分もよさそうでした。それでも、私は実家を出る前に、念の為ジジにはカロナールを見せて説明しておきました。
「今は気分が良くても、夜中や明日の朝に注射を打ったところが痛くなったり、頭痛がしたり熱が出たり、おかしいなと思ったら、迷わず飲んでね。」
今朝、実家に電話してみると、ジジが元気な声で出てきました。
「昨夜遅くにだるいような変な感じがしたから1錠飲んだよ。そうしたら、お陰様で朝は何ともなく元気になってね。助かったよ。おママは普通に起きて別に何も言っていないから大丈夫じゃないかな?」
3回目となると、ジジでも若干の倦怠感が出たのか…。
早めのカロナールが効いたのか…。
そして、二人は元気にデイサービスへ出掛けたのでした。
*本日アップの貼り絵
「お題パック」を使っておママが1人で取り組んだ作品です。
よく見ると、ピースを何度も貼っては剥がした形跡があります。単純に「お題パック」の中身を貼っただけのようですが、おママは試行錯誤の末にたどり着いた構成だったのかもしれません。
とても不思議な感じにする作品です。私は初めてみた時から、なんとなく気になって仕方がありません。(^◇^;)
*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について
2019年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。
私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。
それで、「お題パック」はこちらです。(↓)
制作写真などはないのですが、「お題」を作るにあたって、おママが千代紙をカットしている写真と動画はありました。
<貼り絵制作動画>
2021年10月29 16:30〜(1分28秒)
華やかな色合い、そして青海波の間から見える船の帆、それが組み合わさった線をおママはハサミの向くまま切っていきます。
メインピースが切れました❗️
メインピースを切り出した千代紙はこちらです。(↓)
昨年10月に小津和紙で購入しました。
素敵‼️(^O^)
他に使った紙についてですが、水色は不明です。
関連作品です。
おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございました。