アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

記憶についてNo.56 ジジの家

(2007年11月ごろアルツハイマー認知症の診断から約9ヶ月)

harienikki.hatenablog.com

実感がない

ジジは97歳、それなりにボケてます。

足腰が弱かったとはいえ、2年前までは認知症のおママと2人で暮らし、何事も出来なくなっていく妻を支えてしっかりしていたジジも、流石による年波には勝てないというところでしょうか。

最近は家に居ても、今自分が何処にいるのか、自信が持てないようです。

おママもまだ特養に入所する前は、自宅に居ても「お家に帰ります」発言が目立ちました。その都度、ジジはおママに言って聞かせたものです。

「ここはあなたの家だから、大丈夫だよ,居て良いんだよ。」

しかし、そのジジが今では「ここは何処?」状態に近くなったので、娘としては少々悲しくもあります。

ここじゃなくて、家は別にある。

ここが自宅という実感が湧かない。

今のジジはそんな状態なのでしょう。

誰の家よ

普段デイサービスのある平日は、オネコさんが朝実家へ行き、ジジをデイサービスの迎車に乗せて送り出します。その後、歩いて自宅へ戻り在宅ワークに取り組みます。夕方デイサービスの車で帰宅したジジは、送ってくださったスタッフさんと鍵を開けて家へ入ります。そして、夕食時にオネコさんがまた実家へ行き、宅食弁当を温めてジジに食べてもらい、後片付けと翌朝のパンと牛乳をテーブルに用意してから帰宅します。

これは先月のことですが、

夕方、オネコさんがそろそろ実家に行こうとしていたら、ジジから電話があったそうです。一体どうしたのでしょうか。嫌な予感…。

「あー、今、あなたの家に来ちゃってるのだけど…」

父親の思いもかけない言葉にオネコさんは一瞬絶句しました。「あなたの家」って電話を受けている当のオネコさんの家でしょう。

「え〜っどうして、こっちに?」

徒歩6分の距離ですが、ジジが歩いて来るとなると20分以上はかかるし、途中で歩けなくなって身動きが取れなくなっても不思議ではありません。

いったいどうしたと言うのか?

するとジジはさらに不可解なことを言いました。

「いや、近くに来たからもう入っちゃっているよ」

「えぇ?」(°_°)

これはちょっとしたホラーなのか?

でも、この場にジジがいない。という事は、ジジは自分の家を長女(オネコ)の家と思い込んでいたのです。

「そこは私の家ではなくお父さんの家だから大丈夫、ゆっくりしてて、今から行くから❗️」

と言って電話を切り、オネコさんは慌てて実家に行きました。

夕食時に話を聞いてみると、ジジはこんな風に感じているそうです。

「どうも自分の家の気がしない。車で近づいても見慣れた風景には思えない。門とかブロック塀とかも自分の家のものという記憶がない。」

だからと言って、自分の家として他のイメージが思い浮かぶというわけでもないらしい。

千差万別

「どうも自分の家の気がしない。車で近づいても見慣れた風景には思えない。門とかブロック塀とかも自分の家のものという記憶がない。」

つまり、ジジは家の外観を思い出せないのですね。

これにはオネコさんも私も意外でした。

「おママはかなり症状が進んでも、家の外観は何となく覚えていたよね。外から帰ってくる時に、段々家が近くなると『あそこ❗️』とか言っていたと思う。」

「うんうん。そうだったね。」

それがいつ頃のことだったか?

ブログをちょっと検索をかけると直ぐに分かりました。長くログを続けていると、こんな時、忘備録として便利ですね。

 

2020年10月(認知症の診断から約13年8ヶ月)の記事です。

帰りの車中で印象的な事がありました。

実家の近くまで戻って来た時の事。

車は最後の角を曲がって、後は長い坂を上がるだけなのです。

おママは急に直進方向を指差して言い出しました。

「あ、ここをこのまま行くと、」

とおママは手で左側を示しながら続けて言いました。

こちら側が…、家なのよ。」

「そうなのよ、覚えていたのね…。」

私は胸が熱くなりました。近年、おママは普段その道を歩かなくなっています。それでも、記憶の底から知っている風景として取り出す事ができたのです。

(そう言えば、まだ私が子供の頃に、おママと自転車で少し離れた商業地に行ったっけなぁ。買い物を散々した帰りに上がるこの坂は、結構キツかったね。)

そんな事を思い出したけど、今のおママは覚えていないだろうなぁ。(^◇^;)

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2022年5月(認知症の診断から約15年3ヶ月)の記事です。

外から見ると…

先日、私はおママと一番近くのコンビニエンスストアに行きました。

実家からそこまでは信号のない直線の1本道です。

帰り道に、おママは実家の建物が見えると、

「あ❗️あれだわ。」

と目を輝かせて指差しました。

少なくとも家の外観を見れば、まだおママは「自分の家」と認識できました。

それなのに、その「自分の家」に入ると、「自分の家」かどうか分からなくなる…。

不思議や不思議。

おママさん、家の中は伏魔殿じゃないから、安心して暮らしてね。

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認知機能や記憶力の衰えや認知症の症状の顕われ方って、やはり、かなり個人差があるのだと思います。引用した2020年や2022年の頃のおママは、もう随分前から娘達の名前はおろかの存在も忘れて、夫であるジジすらちゃんと認識できていませんでした。

総合的に考えてたら、現時点(2025年)のジジの方がかなりしっかりしているけど、「自分の家」の外観についてはおママの方が分かっていたのですね。

記憶を司る人間の脳って、一筋縄ではいきませんね。本当に不思議です。(๑˃̵ᴗ˂̵)

本日アップの貼り絵

2007年11月頃の作品です。この年の2月におママは認知症の診断を受けました。

おママがルリユール(ヨーロッパの伝統的な製本技法)を習っていた頃に購入したマーブルペーパーを使っています。その模様の見せ方も工夫が凝らされていて、とてもお洒落な雰囲気に仕上がっています。(^。^)v

 

おママの貼り絵を見てくださり,ありがとうございます。