(2008年6月20日 アルツハイマー型認知症の診断から1年4ヶ月頃)
*ファイルの中からこんにちは❗️
1年を通して滅多に登場しないシリーズもの。
当ブログでは「ファイルの中からこんにちは❗️」がそれに当たります。
これはおママが制作した貼り絵の中で、かなり以前の作品をご紹介するシリーズです。
今回は2008年の作品。
おママはこの1年前にアルツハイマー型認知症の診断を受けました。
でも、今と比べたら認知力も記憶力も随分しっかりしていました…。(^。^)
なぜ、私は急に思い立ってこのシリーズの続きをやろうと思ったのか…?
それは、おママがまだ40代の頃に制作した革工芸の作品をご紹介しようと思ったからです。
ならば、貼り絵もかなり以前のものにしようかと、安直に考えてみました…。(^◇^;)
*探し物が見つかった❗️
このブログでは時々(これも極たまにですが…)おママが貼り絵を始める以前の作品をご紹介してきました。
カテゴリー「貼り絵をする前の活動」にまとめてはおりますので、ご興味がありましたら、
是非ご覧くださいませ。
これまでは主に、おママが50代から60代の頃に取り組んでいた革によるルリユール(ヨーロッパの伝統的な製本技術)の作品を何冊かご紹介してきました。しかし、それ以前のレザークラフトの作品は家の中の何処にしまってあるのか分からない物が多く、写真も撮れませんでした。
特に気になっていたのが…。
(おママ…あのクッションは、どうしたのでしょうね…。)
蝶の図案と芍薬のような花をモチーフにした2つのクッションがあったのです。
それは、モデラーというヘラで皮の表面を押し付けて、図柄を浮き彫りのように表現するモデリング法の作品です。部分的に刻印も使っています。
そして、実に綺麗に染色されていました。
それが、2月にお雛様を出した時、押し入れの天袋で見つかったのです。(^O^)v
4月1日にようやくお雛様を片付けたタイミングで写真を撮ることができました。
*2つのクッション
皮工芸の教室に通って、課題に取り組んでいた頃の作品。
絵柄は図案集か課題で決められていたのか、おママのオリジナルデザインではありません。
表面
裏面
側面
大まかな工程はこんな感じだだったと思います。
私が小学校高学年か中学生の頃だから、記憶も曖昧ですが、おママは2作品同時に取り組んでいたと思います。
① なめしただけの牛革の表面を、水を含ませたスポンジを十分に染み込ませる。
②図案を写したトレース紙を湿った革の上に乗せて、トレース用のモデラーでなぞるように、皮の表面に写していく。
③モデラー(金属のヘラ)の滑らかな金属部分で皮の表面を押し付けて、凹ませながら図案を浮き彫りのように表現していく。モデラーは大きさや丸みの違いによって何種類もあり、使い分けることによって繊細な表現ができる。この作業は常に革を適度に湿らせながら進める。
④図案をモデリングしたら、レザークラフト用の染料で染色をする。部分的にアクリル絵具も使われています。この2作品でおママが染色したのは、芍薬の花と蝶の図案の面(合計3面)です。
⑤材料店で買った茶色の革を型紙通りに切り、染色部分と接ぎ合わせてから、クッションに仕立て上げる。
モデラーです。↑ ついこの間まで、他にもトレース用のモデラーがあったと思うのですが、今は所在不明です。(^◇^;)
40年ほど年月が経っているので、おママが染色した部分はすっかり色褪せているのではないかと心配していたのですが、かなりよく残っていました。
おママはとても器用な人なので、モデリングやカービングの作業は楽しそうにサッサとやってしまい、いつも染色に時間をかけていました。
若い時に芹沢工房で染色を習っていたくらいですから、革を染色するのがおママの主眼だったのかも知れません。薄く何度も何度も染めながら仕上げていくのは、おママにとって苦しくも楽しい作業だったと思います。
このクッション、出来上がって暫く飾ってあったのですが、おママはすぐに仕舞い込んでしまいました。なぜなら、当時の実家にはソファというものがなく、可哀想にクッションは置き場がなかったのです。
それに、主婦の習い事と言えばそうなのですが、40代のおママは講師資格がもらえそうな勢いで取り組んでいましたから、このクッションはその通過点の1つだったのだと思います。
子供の頃の私の目には、おママが絵のように革を染色しているのが驚きでした。
私には思い入れのある作品です。
お教室で先生やお仲間に講評してもらい、家族に見せただけだった作品。
こうしてブログにアップ出来て、私は嬉しいです。
でも、今となっては、自分の作品だというのも曖昧です。(^◇^;)
おママの古い作品を見てくださり、本当にありがとうございます。