アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

個性の強いマーブルペーパー

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(2021年7月12日 アルツハイマー認知症の診断から約14年5ヶ月)

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 使って下さい

元々、おママは本が大好きでした。

読書家でした。

そして、何より本の手触りが好きだったのでしょう。

40代から習い始めたレザークラフトが、50代60代でルリユール(ヨーロッパの伝統的な皮革による製本技術)に移行していったのは自然な流れだったと思います。

 

ルリユールでは表紙,背表紙裏表紙だけでなく、その表紙の裏もとても大切です。

貴族や上流階級、そして経済的に余裕のある中産階級の書斎に収まっている蔵書たちは、表紙を開くとその裏はセンスの良いマーブルペーパーが使われてていたとか…。

 

おママがマーブルペーパーに興味を持ったのは、それがきっかけだったと思います。

今から30年から20年前、

舶来の染色紙を買ったり、自分で染めたり、とても楽しそうでした。

輸入物のマーブルペーパーは本の装丁に使う事を考えて、大判のサイズで買っていました。

ところが、「勿体ながり屋さん」のおママですから、勿体無がってなかなか使わなかったのです。

その後、おママは込み入った工程をこなせなくなり、貼り絵を始めました。買ったマーブルペーパーを貼り絵にに使うこともありました。

でも、全く手付かずの状態で残されているものもあります。

 

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 今日ご紹介するのもそんなおママ秘蔵のマーブルペーパーです。

秘蔵するのも結構なのですが、御自分が買った紙なのですから、おママが使わないと死蔵しているのと同じことです。

(使えるうちに少しでも良いから使ってください‼️)

私はその一念で大きな段ボール紙の間から大判のマーブルペーパーを1枚引っ張り出しみました。

引っ張り出して、そのマーブルペーパーを見た時、私は暫し立ちすくんでしまいました。

なんとまぁ…。(°_°)

  

迫力の一枚

それはまぁ、とてもとても迫力満点の、人を圧倒するようなマーブルペーパーでした。

(↓)こちらです。体感として、この写真に写っているのは全体の3分の2ほどです。

茶と黄色系の渦が動き出すような、強いエネルギーを溜めています。

魅力的ですが、これにハサミを入れるのは、理性が勝っている状態では、気後れしてしまって無理なのではないか。

(うーむ。おママはだからこの紙を使えなかったか…。)

それなら、なぜ買ったのでしょう。

これは私の推測ですが、おママはこの紙に魅せられたのだと思います。

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「この紙を切ってみましょう。」

私がおママの顔色を伺うように言ったら、拍子抜けするほどあっさりと、

「きれいね、良いのかしら?」

などと言いながらハサミを取って切り始めるではありませんか。 

 やはり,今は昔のおママではないようです。(^◇^;)

 

あまり躊躇うこともなく、マーブルの流れに沿うようにハサミは進み、端から端まで細長く切り落とすことができました。

 

(↓)それを今度は、小さく切り分けていきました。

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<貼り絵制作動画①>カット編

2021年7月12日 14:44〜

細長く切ったマーブルペーパーの帯から更に分割していきました。

この動画で切り落とされた部分が今回の作品に使われています。

マーブル模様の渦はある程度纏まった形になっていますから、おママは流れに沿ってハサミを入れていきました。しかし、手がかりとなる線が前後左右に流れているので、おママのハサミは迷走していきました。

切り進めやすくするためにチャーコは「ここを切り落とした方が良いわよ」と勧めますが、おママにはイマイチ理解されませんでした。(^◇^;)

切りながらおママったら

「どうしようか…おこられちゃう…」

なんて言うんですよ。全く、誰に怒られるんでしょう。もしかして私⁉️

「誰も怒らないから‼️」

心外だわ…。(°_°)

 

この時点で、幾つかの面白い切り抜きができました。

おママの手元を見ながら、私は「お題パック」に使えると、ほくそ笑んでおりました。(^O^)

 

*「お題方式の貼り絵」と「お題パック 」について

一昨年の夏ぐらいから、おママは貼り絵に使う紙を自分で1から探して選ぶ事が難しくなってきました。それで、あらかじめ私が「お題」と称して何種類かの紙を用意することが多くなりました。その他に組み合わせする紙片をおママに選んでもらってから、切り貼りを楽しんでもらうようになりました。私はこれを「お題方式の貼り絵」と呼んでいます。 私が実家に行かない時でもおママが貼り絵に取り組みやすいように、「お題」と台紙にするハガキをチャック付きのビニール袋に入れておく。これが「お題パック」です。

 

ハガキの上に貼ってみましょう

(↓)メインとなる2ピースの配置が決まりました。

私は周囲におママの好きそうな千代紙や紙を幾つか候補として出しておきました。

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(↓)おママは上部の左右に菊菱模様の三角形を配置すると決めました。そしてメインピースを糊付けしていきます。

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(↓)おママは気が変わって、画面右上は京王デパートのハトに変えようと思い付きました。

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(↑)京王デパートの袋です。

 


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<貼り絵制作動画②>カットから構成へ

2021年7月12日 15:43〜

おママは丁寧にハトの模様を切り抜いていきます。

果たしておママはそれを自分で考えた右上に配置できるでしょうか?

「じゃあ,それはどこに置こうか?」

「どこでもいい…。」

どうやらお忘れのようです。

「自分で決めて下さい。」

おママは一瞬思い出したのですが、動画の最後に別のところに置くことにしました。(^◇^;)

 

(↓)おママは、またまた予定外の紙に目移りしてしまったようです。

クレバァ所有だった赤と緑の七宝模様の千代紙を突然切り始めました。

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(↓)左上は菊菱模様

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個性の強いマーブルペーパーは貼り絵の中でも存在感がありますね。

それでも、明るく楽しい作品になったと思います。

何より、買った張本人のおママが使えて良かった❗️

 

おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます。