アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

朝ご飯を食べてない

(2019年3月24日 アルツハイマー認知症の診断から約12年1ヶ月)

harienikki.hatenablog.com

 

寝ぼう

先週末は実家にお泊まりだった私。

家に居ても、実家に居ても、土曜の晩は気が緩んでついつい夜更かしをしてしまいます。それでも午前1時には布団に入ったので、いつもより少し早いくらいでした。

どんだけ夜更かしなんだ、私。(^^;;

ところが繰り返し変な夢を見て、何度も目が覚めてしまいました。

だからと言って、その夢を覚えているわけではなく、嫌な感触だけが残るという、一番嫌なパターンでした。

翌朝6時ごろに、階下でジジが手押し車をガタガタ言わせながら、台所と部屋を行き来している音が聞こえました。

(ジジは朝ご飯の準備をしているな。)

そう思いつつ意識を失い、気がついた時は9時。全く面目御座いません。

 

寝ぼけ

私は慌てて着替えて1階のジジの様子を見に行きました。

すると、ジジはソファの柔らかい肘掛けに身体を仰け反らせて目を瞑っておりました。

頭は完全にソファーの外にあり、口を半開きにして微動だにしない。

「お父さん」

声をかけても全く反応がありません。私も一瞬固まってしまいました。

ジジは95歳。突然……なんて事だって、有り得なくはない。

 

(↓)このソファーで肘掛けの方にぐったりと倒れておりました。

そっと、ジジの額に触れてみると、パッと目を開けたので、私は驚いて手を引っ込めました。

「あ、良かった。目を覚ましたのね。」

するとジジは辺りをキョロキョロ見回しから、私に時刻を訊ねました。

「9時過ぎよ。すっかり寝坊をしてすみません。」

一応、寝坊を詫びると、ジジはまだポカンとしていました。

「そうなの?どうしたんだろう。眠っちゃったんだな。朝、6時に起きて、着替えてソファに座ったら今まで寝てたんだ。

だから朝ご飯も食べていないんだよ。

「へぇ、そうなの?でも、6時ごろにバタバタ動いていたじゃない。その時に食べたんじゃないの?」

しかし、ジジはキッパリと言い張りました。

「それはトイレに行っただけ。全く食べていないんだよ。」

「へぇ、そうなんだ。」

寝坊したくせに、胡乱な目を向ける娘に、ジジは少々腹が立ったのだと思います。

食べてないとの主張を崩しませんでした。

 

それで、私はすぐに台所と冷蔵庫の中を確認しました。

シンクの洗い上げには、ジジが朝食に使う電子レンジ対応容器が綺麗に洗ってありました。これはジジの毎朝の習慣なので、食べている証拠にはなりません。

しかし、冷蔵庫の中は変化がありました。

昨夜1個だけ残っていた卵は無くなっている。

昨日の午後に私が買ったばかりのロールパンの袋が開けられていて、1個減っている。

 

そのことをジジに説明してみると、

「おかしいな、そんなはずないんだけど、えーー、食べたのかな?全く覚えていないということは、忘れちゃったのかな?」

「ええ、そうね。」(^^)

眠ったら忘れちゃうって、誰にでもあることですもの。

おそらく、ジジは小腹が空いていたのでしょう。私はバナナを1本出して、ジジに食べてもらいました。

 

食べた物を忘れるのは、ただの物忘れ。

食べたこと自体を忘れるのは、認知症

でも、寝ボケた場合は下駄を履かせてあげるべきですね。

 

私の場合、食べたことは忘れませんが、うっかり深く昼寝をしてしまうと、今何時か分からなくなりますから。中年から熟年に達するとアルアルですわ。(^。^)

 

夕方の朝ごはん

私はふと昔の事を思い出しました。

まだ、私が小学生の頃、当時は1階に祖母(ジジの母)が暮らしていて、夕食だけ2階の私達世帯と一緒に食べていました。

ある夏の日の夕方、敷地内にあった大きなアメリカ杉にいる蝉がしきりと鳴いていました。5時を過ぎた頃、私はふと階段を降りて、祖母のところに行きました。

すると、薄暗いダイニングで「チン」と音がしたのです。

私が音の方を見ると、祖母が背中を丸めてトースターからパンを取り出していました。

「おばあちゃん、どうしたの?なんでパンを食べているの?」

祖母は意外な顔で私を見ました。

「チャーコこそ、どうしたの?ずいぶん早起きじゃないか。」

その一言を言った瞬間に、祖母は自分の間違いに気がついたのです。

「あ、やだ、昼寝から起きたら朝だと思ったんだ。やだわ。」

孫娘に醜態を見られたと思った祖母は、必死で弁解を繰り返しました。

私は笑顔で受け流しましたが、絶対に顔は引き攣っていたと思います。内心とてもショックでした。

「おばあちゃんがボケちゃった❗️」

私はすぐにおママにその事を伝えましたが、さほど大きな反応は返ってきませんでした。

「あんまり言うと、おばあちゃんが気にするから…。」

と嗜められたのです。おママには別に不思議な事でもなかったのかも知れません。

 

1時間後、全て無かった事の様に、祖母はおママの作った夕食を平らげておりました。

 

この事はよく覚えているので、私は子供心にとてもショックだったのでしょう。

でも、今だったら、当時の私に言ってあげたいです。

 

うたた寝の後に、「あれ?」っと状況が飲み込めなくなって、夕方と朝を間違えることも、食事を食べたかどうか分からなくなるなんて、よくある事なんですよ。

子供の時には想像もつかないだろうけど、チャーコ、あなたも行く道なんだよ。

 

因みに、祖母は当時70代半ばでした。後年、一時期歩けなった時は認知機能が少し落ちましたが、生来の読書欲は衰えず、84歳で亡くなるまで頭は明晰でした。

母親の没年齢より10年以上長く生きているジジですから、

まぁ、食べられるんだったら、朝ご飯を2度食べても良いですけどね。

 

本日アップの貼り絵

2019年3月24日に制作された貼り絵です。

4年前になるのですね。

今から考えたら、おママはまだまだしっかりしていたと思います。

子供の頃に目撃してしまった祖母の夕方の朝ごはん。その食パンに見えなくもないので選んでみました。(^。^)

(↓)同じ日にこの貼り絵も制作されていました。

harienikki.hatenablog.com

四隅と中央に重ね貼りされたグレーの紙は石の建材の写真だと思います。

赤い紙も不明です。

(↓)おママが時々貼り絵に使った包装紙です。

シュガーバターの木の包装紙です。現在はリニューアルされているようです。

www.sugarbuttertree.jp

(↓)こんな作例もありました。

harienikki.hatenablog.com

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(↓)小津和紙で購入した友禅紙です。

www.ozuwashi.net

おママの貼り絵を見てくださり、ありがとうございます。