(2022年10月17日 アルツハイマー型認知症の診断から約15年8ヶ月)
*1年前の今頃
おママは今年の1月に特別養護老人ホームに入所しました。
その半月前にはハサミが使えなくなってきて、貼り絵をする事はできなくなりました。
それでも、認知症と診断される前から始めた貼り絵を、診断から15年も続けられたのは,おママ自身にとっても家族にとって、よかったと思います。
昨年10月から12月の作品は、膨大なおママの貼り絵のなかでも最晩期に当たります。
その頃、私は
「今日,明日、急におママが貼り絵ができなくなっても仕方がないんだ。」
そう自分に言い聞かせながら、おママを見守っていました。
少し辛かったけど、
「おママに無理強いしてまでハサミを持たせる事だけは、絶対にするまい」
そう決めていましたから、残り少ない機会を大切にしていました。
*裏でも表でも…
最近、そんな頃の、ちょうど1年前の動画を見ていて、
(おママは時々、紙の裏と表が曖昧になってきたのだな)
と改めて思いました。
表は浴衣地を思わすような紺に白い花模様の小さな紙片です。その裏は白。色の濃い紙なので表と裏は歴然と違います。
「おママさん,しっかりしてくれ。」(^O^)
1年前の動画に思わずツッコミを入れてしまいました。
<おママの貼り絵制作動画①>
2022年10月17日 11:26〜(1分35秒)
冒頭、おママは紺地に白い花模様の小さなピースの表に糊を付けようとして、
ハッとしました。
マ「これ……、こっちなのね。」
私もアドバイスをしました。
チ「そうだね。と言う事は、こっちに糊を付けてね。」
しかし,おママが確認のために画面に置いてみたら、裏面が上になってしまいました。
少々混乱気味だったので、チャーコは表が上になるように置き直しました。
当時の私としては、これも真っ当な判断だったと思います。
でも、今見返してみると、違う考えを持ちました。
別に色のついている方に糊を付けて、裏面を表として貼っても良かったのです。貼った後でおママ本人が気が付けば、「おかしい」と思って貼り直すでしょう。そうでなければそのままでも良いのです。
紙の裏表にこだわるのは健常者の常識ではなかったか?
認知症の症状が重くなっていたおママにとって、たった1ピースの裏表なんて、大した問題ではなかったかも。
(おママも仕上がりが綺麗な方が嬉しいだろう。)
そう思っていた事自体が、既におママを一般的な通念で括ろうとしていた証だったとも考えられます。型に囚われていたのは私で、末期認知症のおママはもっと自由だったはず。
ああすれば良かった、こうすれば良かった。
いまだに、そんなことを思ってしまいます。
*本日アップの貼り絵
2022年10月17日、ちょう1年ほど前の貼り絵です。
(↓)この日,チャーコはこれらの紙を用意しました。おママ,楽しそうです。(๑˃̵ᴗ˂̵)
(↓)紙片を画面に配置。おママはあまり考えずにチャッチャと糊付けを始めました。
(↓)上記の<おママの貼り絵制作動画①>の後、糊付けが完了しました。
(↓)もう一つ加えたいようで。
<おママの貼り絵制作動画②>
2022年10月17日 11:32〜(1分26秒)
おママは糊の容器を握りしめ、
マ「ぎゅうーーーー。」
やめて、糊の出し過ぎだわよ。(^◇^;)
そして完成しました。
この作品は光反射効果のある布(裏打ち済み)を使っています。
裏打ちをしたのはおママがヨーロッパの伝統的な製本技法(ルリユール)を習っていた頃だと思います。
<おママの貼り絵 キラキラ動画>
色の変化が見られます。
(↓)同じ布を使った関連作品です。
(↓)認知症になる前のおママが自分で染めたマーブルペーパー
おママの貼り絵を見てくださり,ありがとうございます。