アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

天地を考える 2

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(2017年9月1日  アルツハイマー認知症の診断から約10年7ヶ月)

 以前にも「天地を考える」のタイトルで記事をアップした事があります。

それがこちら。⬇️

harienikki.hatenablog.com

 

 今回も天地創造の物語ではなく、作品の天(上)と地(下)の話です。

 

  私が貼り絵の写真撮影をする時、必ず裏面を見ます。

おママは10年前くらいから、必ず裏面の下辺に日付けを記入していました。

私はそれを見ながら、貼り絵の上下(天地)を確認して撮影しています。

ところが、この貼り絵について、それを守りませんでした。(笑)

 

理由はいくつかあります。

 

その1つ目は…。

制作途中を見ていたからです。こちら⬇️

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  普段、おママは扇のように、上が広がった形を好みます。

ところが、これは下が広がっている構成でした。

(めずらしい。新鮮❗️)

そのまま完成に至りました。

 

完成後、おママは考え直して天地を逆にする事は時々あるので、

日付記入の段階で翻意したのかもしれません。逆にすると、こんな感じです。⬇️

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まぁ、これもこれで良いと思います。

 

2つ目の理由は…。

ファイルに納められた時の天地の向きは、1番上の写真の通りだったからです。

初めから下広がりで構成されていたので、その方が安定感がありそう。

おそらく、おママはファイルに入れる段階で、数分前の日付を書いた時の記憶はないでしょう。再び天地は逆転したのではないか…。

 

3つ目の理由は…。

写真撮影の時におママに聞いてみました。

「これ、どっちが上なの? やっている時はこの向きだったわよ。」

おママはこの貼り絵を手に、何度も向きを変えながら首を傾げていました。

「そうね〜。分かんないわ。どっちでもいいかな。」

制作時の事を覚えていないから仕方ありませんね。

「でも、写真撮るから天地を決めてくれないと、困るのよね〜。」

「なんで、決めなきゃいけないの?」

「ブログにアップするから…。」

「なんだか分からない。もう好きにしていいわよ❗️

だから、私の好みで、好きにさせてもらいました❗️

 

でも、おママの

「なんで、決めなきゃいけないの?」

の言葉が耳に残っています。

おママにはどちらも正解だったのでしょう。

作品の天地を決めるのは作者自身。

私…、越権行為をしましたね。(反省)

それで、両方アップしました〜。

 

おママの貼り絵を見て下さりありがとうございます。

お帳面あれこれ

 

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(2017年9月11日  アルツハイマー認知症の診断から約10年7ヶ月

珍しく全てのパーツの元が分かっています。歌舞伎座の桜吹雪の花弁、白松がモナカの包装紙、菓子メーカー  ベルンの昔の包装紙、川越  くらつくり本舗の紙袋。)

 

難しくなってきました。
   おママは結婚してからずっと家計簿を付けてきました。

元銀行員ですから算盤勘定はお得意です。


   現在83歳。アルツハイマー認知症の診断から10年を経過いていますが、簡単な家計簿もどきを今でも付けています。

 

  その日の支出を書き出し合計する。それを前日の残高から引いて、本日の残高を出す。ただそれだけ。これをおママは「お帳面」と呼んできました。

 

  しかし、これが最近、辛いようです。

おママを悩ませているのは算盤や勘定ではなく、文字を書くという作業。
目の前に買った品物を置いて、
「見ながら書いてね」
と私が助言しても、その品物の名前が分かりません。だから、レシートに書かれている品名と照合が出来ないのです。
しかも、単語だけでなく文字自体もあやしい…。漢字はほとんど書けません。


   辛いなら止めてもいいのですが、おママ自身はこれを自分の仕事であると感じているようです。

 

今週のお帳面付け
  月曜日の事です。
私が横で見てあげると、おママは四苦八苦でお帳面を付け終えて、私に立替え分を払ってくれました。


  その証拠としてレシートの余白に、
「チャーコに払いました」
と、いつものように、おママ自身に書いてもらいました。
これは私の指導と手本が有って、ようやく書ける状態です。

それでも、何回もおママは聞いてきます。
「あら、お金あげたかしら?」
「貰いました。」
ほんの数分で、


「あら、お金あげたかしら?」

そんな時、私は言います。
「もう。頂きましたよ。でも、下さるなら私は何度でも頂きますよ。」
「ヤダヤダ。」
これが定番のお約束事。

 

なにせおママは記憶が持続しません。毎回、初めてのように繰り返してくれます。

 

  しかし、この日はちょっと違いました。
「もう。頂きましたよ。でも、下さるなら私は何度でも頂きますよ。」
私に言われたら、おママはきゃはっ!と笑い、
「いつもこれを言われないと、終わんないわね〜」
と言うではありませんか‼️


マジか…。

飽きもせず繰り返されてきたルーティンがおママの頭の片隅に残っていたなんて‼️
結構、私は嬉しかったです。

 

今後、どうなる?
 でも、今日金曜日(10月6日)は風邪気味で調子が悪いからでしょうか。
「もう、目も見えないし、あなた、テキトーに書いておいてよ。」
と、お帳面付けを放棄しました。
あら〜、珍しい。
体調が戻ったら、また、やる気になるかしらね?
おママ、続けるのだったら、お手伝いしますよ〜。(^ ^)b

 

⬇️今日アップした貼り絵の材料。

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⬆️  この柄のどの部分を切り出したでしょうか?

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⬇️  同じ紙を使った例。

harienikki.hatenablog.com

 

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

 おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。

八月歌舞伎鑑賞

 

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(2017年8月25日  アルツハイマー認知症の診断から約10年6ヶ月)

 おママとオネコの歌舞伎道中

  ここ数ヶ月お休みしていましたが、8月におママはオネコと歌舞伎座に行きました。
普段は昼夜二部制の歌舞伎公演ですが、毎年「八月納涼歌舞伎」は三分制です。

各部時間が短いので、おママには丁度いい。

 

  オネコの印象ですが、おママは居眠りもせず楽しめたようです。
特に最後の東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帳』は喜劇なので、
「おママもよく笑ってた!まだまだ観劇大丈夫だわ、居眠りもしないし、」
との事。なによりです。

この演目は『弥次郎兵衛・喜多八 宙乗り相勤め申し候』と銘打っているから、

さぞや、眼にも楽しかったでしょう。


  歌舞伎の宙乗りって、花道の舞台に近い方から役者がワイヤーで吊り上げられ、

丁度花道の真上を通りながら3階席まで移動する演出です。

人気役者が宙を飛んで来るのですから、2階3階のお客は大喜びですし、場内がとても盛り上がります。

この演目でもクライマックスに行われました。

 

今までになかった変化❗️

さて、この宙乗りって、江戸時代から行われてきた(昔は縄で吊っていたらしい、こわーい)クラッシックな演出です、だから、おママは子供の頃から見慣れているはず。

しかし今回は、

「大変❗️大丈夫かしら?大丈夫なの?」
と連発してたそうです。


宙乗りというものの記憶がなくなったのかしら?間違って宙づりになってしまったと思ったのかな?)
おママは子供の頃からつい最近に至るまで、何度も観てきたはずなのです。

その記憶が失われたように思えて、オネコにとっては衝撃的でした。

それでも3階席で鑑賞した2人には、役者さんがこちらに向かって来るのですから、さぞや楽しかったでしょうね。

( ⬇️こちらに宙乗りの詳しい解説があります。)

歌舞伎への誘い | 宙乗り

 

そして、今まで平気だったことが、不安になる事も増えたようです。オネコによると…。
「今日初めてなのだけど、歌舞伎座の売店や駅など人混みで私の手を握ってくるのよ。迷子になったら大変と心配になるみたい。だから手を繋いで歩いてたのよ~。」

 

  だんだん分からない事が増えていくと、おママ自身不安感が強くなっていくのでしょう。その辺のサポートをしっかりすれば、体感的に慣れた場所へのお出掛けは、

まだしばらく大丈夫かも知れません。

 

お土産で作るのね…。 

そうそう…。
上記の宙乗りの時に大量の桜吹雪が舞ったそうです。(華やか〜‼️)


終演後の座席に残っていた桜の花びらを拾って、おママとオネコは大事に持ち帰りました。
それを使ったのが今日アップの貼り絵をです。

花弁はとても薄い紙なので、貼るのには随分、難儀してましたよ〜。

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想定内の事ですが、
本人は桜の花弁が何故ウチに有るのか?
すっかり忘れてました~。

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おママの貼り絵を見て下さり。有難うございます。

古い新聞が見つかった❗️

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(2017年9月4日 アルツハイマー認知症の診断から10年7ヶ月

おママは全体的に左に寄ってしまった事を悔やんでいました。)

 

   今日の関東地方は上着がないと肌寒いくらいでした。

おママは少々風邪気味で、元気がなかったです。

実家はベランダの塗装工事が始まりました。

それとなく塗料の匂いもして、職人さんはお仕事をしているので、

おママも落ち着かない1日だったようです。

 

 発見❗️

  朝、職人さんが来る前に、オネコがベランダの片付けをしてくれました。

長年置きっ放しにしていた古い机の下に段ボール箱が有ったのですが、

その中から黄ばんでカサカサになった古新聞が見つかりました。

日付を見ると昭和41年4月27日。

「あら、チャーコが生まれた年だわ❗️」

あまりの古さにオネコもビックリです。

「これはチャーコに見せてあげなきゃ。」

そうは思っても、なにせ、もう触っただけでホロホロと崩れそうな状態なので、日付のはっきり分かる部分だけ残してくれました。

それが⬇️これです。うわぁ〜、ぼろっぼろっ❗️

 

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松代群発地震?北信地震

  私が生まれてまだ数ヶ月の新聞でした。

よく見ると地震の記事のようですね。

手に持って読むことは不可能なので、スマホで撮影して拡大しました。

「北信地震?」

私はこの地震って聞いたことない…。。

疑問に思ってググってみますと、松代群発地震のことでした。

 

  昭和40年8月3日から始まったこ群発地震は、長野県松代周辺に限定して発生しました。最大震度は5です。大小の群発地震が2年以上続きました。

建物の倒壊などの被害だけでなく、地下から水が噴出したり、長期にわたる群発地震に、地域の人達は不安を強いられる毎日でした。

この新聞記事は当時、それまで「松代地震」と呼ばれていた名称を「北信地震」に改称するという内容が書かれています。

 

  しかし、⬇️に貼り付けたHPによると(『関連したできごと』をクリックして開く年表より)、1966年5月10日には「松代群発地震」と呼ぶ事が決定されたとか。「北信地震」の名称は半月で変更されたのかしら?  短命だったのですね。

 松代群発地震50年特設サイト

 

その頃、おママは。

 私の夫の記憶では、関東では揺れなかったけれど、テレビのニュースは松代の地震についてよく報道していたそうです。

 

  つらつら思うに…。

この4月27日の頃、私はまだ生まれたばかりの赤ん坊でした。

一度に飲むミルクの量も少なく、夜泣きをしていた時期です。

 

おママは団地の一室で子育てに奮闘していました。

5歳のオネコと赤ん坊の私を抱えて、きっと疲労困憊だったでしょう。

疲れた眼をして地震のニュースを眺めていたのかも知れません。

今思うと、親の有り難さが身にしみます。

 

それにしても、日本列島は地震ばかりですね〜。(溜息)

おママの貼り絵を見て下さり、有難うございます。

 

 

もしかして、年齢近い?

 

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(2017年9月4日 アルツハイマー認知症の診断から約10年7ヶ月

おそらく以前に手に入れた包装紙から花模様を切り抜いたと思われますが、それが何処の包装紙なのか不明です。過去記事にも登場しています。下方にご紹介しています。)

 

現実の年齢・自己認識している年齢

  実年齢と自分が感じているイメージ的な年齢が違う。

割とそういう人って、いると思います。

環境や家族構成にもよりますしね…。

私の実年齢は50代前半です。

同い年でも、まだ子育て全開中の人なら、気分は40代でしょう。

ところが、私は子供がもう成人しているし、老親の事ばかり気になります。

しかも、姉のオネコには可愛い孫までいて、「小婆ちゃん(こばあちゃん)ですよ」なんて言って大叔母の私はメロメロです。

まだ50代の初めの方なのに、ひどく老け込んだ気分。

腰痛持ちで歩くのも痛い時があるし、体感10歳は老けてしまった感じがする?(笑)

 

アルツハイマー認知症のおママが自分でイメージしている年齢は結構若いです。

 過去にもこんな話がありました。⬇️

harienikki.hatenablog.com

人間観察

   昨日(10月2日)の午後、私はおママと買い物に行きました。

ところが…。

「お父さんは何が良いか分からないから、今は買い物はムリよ。後で、お父さんとまた行くから。あなたはもう、このままお家にお帰って下さいね。」

駅前でおママはそう言い張ります。仕方がないから駅前広場のベンチにおママを座らせて、私はジジに電話をしましたが、何度掛けても、なかなか出ない…。

そんなこんなで、私はおママと数分ベンチで座っていました。

 

  おママにとって、通行人を眺めているのは楽しいようです。

「あら、あの小さい子、がんばって歩いているわ〜。」

専ら小さい子供を連れた若いお母さんの様子に目を細めていました。

 

そして、痩せて小柄な高齢女性が目の前を通りました。

杖は付いていないけど、少し腰が曲がっています。そして、両手にたくさん入ったレジ袋を重そうに下げていました。

その方を見て、おママは妙に若やいだ声で一言。

「あら〜。あのお婆さん大丈夫かしら?」

私から見ると足取りはしっかりだし、一人で多くの買い物ができるのですから、

そんなに問題は感じませんでした。ちょっと腰が曲がり気味なだけです。

「そうですか?」

「ねぇ、あのお婆さん、あんなに、ああして、あんな…、大丈夫なのかしら?」

手を差し伸べようかしら?みたいな感じです。おママの優しい気持ちは分かる。

でも、どっちか言ったら、

私は単語が出てこないおママの方に「大丈夫か?」と言いたかったわ。

「あんなにお婆さんなのに…。」

まだ、繰り返すから、私も思わず一言。

「あなたもお婆さんですよ。」

おママは聞こえたのか、聞こえなかったのか?

完全に私はスルーされてしまいました。(笑)

この時のおママは、絶対に自分がお婆さんだという感覚はなかったでしょう。

 

時空を飛んだ祖母。

  私はふと母方の祖母(おママのお母さん)の言葉を思い出しました。

丁度、祖母が80歳を過ぎた最晩年の頃、私は昔の話を聞くのが好きでした。

祖母の子供時代の話、曽祖母の事、戦争中の事。興味は尽きません。

あれこれ聞いているうちに、祖母は私にいうのです。当時20代前半の私に。

「相槌がうまいから、あんたと話していると尽きないわ。

まるで、馴染みのオバちゃんに話を聞いてもらっているような気分よ。」

「……?」

どうも、私と話していると、若い頃の昔に返ったような錯覚を覚えて、年上のオバちゃんに話を聞いてもらっている。そんな気分になったそうです。

歳を取ると、話しているうちに時空を飛ぶのかと、若い私は呆れたものです。

ちなみに、この祖母は認知症ではありませんでした。

 

おママと私の年齢差って⁉️

  おママとベンチに座って通行人を眺めながら、私は考えて込んでしまいました。

 

  おママはこの祖母の娘ですし…。(笑)

アルツハイマー認知症で記憶障害と見当識障害も進んでいますから、自分をお婆さんだと思っていない時もあるでしょう。

また、逆にしっかりお婆さんになっている時もあります。

それでも、もうすぐ84歳になるという認識はないでしょう。

気分は時に60代、またある時には70代前半という感じ。

 

しかも、おママは私を娘だと思っていない時すらあります。

 と、すると…。

自分で認識している年齢のイメージって…。

若くなりがちなおママ。老け込みがちな私。

そんなに差がないのかも知れない⁉️

せいぜい10歳差くらい⁉️

そのうち、同級生感覚になったら、どうしましょう。

えーっ。実際は32歳差なんですよ〜。

 

私は気を確かに持って、老け込まないようにしなければ…。

まだまだ、おママと一緒にお婆さんになってはいけないわ。(反省)

 

 

⬇️過去記事にアップされた貼り絵も仲間です。

harienikki.hatenablog.com

harienikki.hatenablog.com

おママの貼り絵を見て下さり、有難う御座います。

 

 

人参の香り

 

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(2017年9月7日  アルツハイマー認知症の診断から約10年7ヶ月)

 

お昼時の定番行事

「お昼どうするの?」

いつも、11時を過ぎたあたりから、おママはそんな事を言います。

「大丈夫。昨夜のご飯があるし、おかずは買ってきたわよ。」

「そうなの?知らなかったわ。」

つい、10分前におかず代をおママに貰ったのよwww。

忘れてしまっても仕方ないか。

「心配しないで。」

「そうなの?じゃぁ、お汁を作らなきゃ。」

そんな事を言いながら、おママは台所とリビングを行ったり来たり。

「すみません。なんだか、今日は私はダメなの。頭がこうね…。がーんと鉛のように固まるっているの。」

やりたくないな…。出来ないかもしれない…。

そんな時は必ず頭が痛くなるのですね。

 

 野菜を感じる

  おママがお昼ご飯に野菜スープを作らなくなったのは、ちょうど1年くらい前からです。それまでは毎日同じ具沢山の野菜スープを作っていました。

包丁で野菜をトントン切っていたのに、

それが、出来なくなった…。

考えてみれば、その頃から急に記憶障害が進んできたようです。

 

  今日、私がまな板の上にキャベツ、玉ねぎ、人参を用意していると、

おママがにじり寄ってきました。

 

「じゃぁ、お母さん、切って下さいな。」

「えーっ、わたしがやるの?」

 

断ったのに、台所に居座る不思議なおママ。

 

  私が人参を細かく切っていると、微かにその香りが立ちました。

おママは深呼吸をしてから、笑って言うのです。

 

「あ、良い匂いがする。」

 

人参独特のほのかな甘味のある香り。

それを敏感に感じ取ったのは、長年台所を取り仕切ったおママの本能かしら?

その時代の記憶が有るのか無いのか…。

その野菜が人参という名前だと覚えているかいないか…。

定かではありません。

どちらにしても、何処か懐かしい香りだったのかも知れませんね。

 

唐草模様はこの紙から⬇️切り抜きました。

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過去にもこんな仲間がありました。⬇️

harienikki.hatenablog.com

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おママの貼り絵を見て下さり、ありがとうございます、

 

 

 

  

「グッ」がお好み

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(2017年8月4日アルツハイマー認知症の診断から10年6ヶ月

貼り絵を拡大していただくと見えるのですが、上下の辺の中央に鉛筆で付けた点があります。この中心位置の印を頼りにおママはパーツの配置を決めていったようです。)

 

  こないだの金曜日。

私は「月末企画」を選ぶために、おママと貼り絵ファイルを見返していました。

「どれが良いかしら?」

どうせなら御本人の希望通りにしたいものです。

それなのに…。

 

「どれでも良いわよ。分からないし。」

 

そんな、どうでも良いような口ぶりです。

「お母さんは、この中でどれが一番好きなの?」

その聞き方のほうが、おママは分かりやすいかと思ったのです。

 

しかし、超絶難解な答えが返って来ました。(笑)

「私はね、グッとしたのが好きなの。」

具体的にファイルの中で、どれかを指差してくれればいいのですが…。

 

おママは単語が急速に失われてきているとはいえ、もう少しヒントがないとね…。

「グッ…って?」

すると、おママは両手の平を胸の前で近付ける動作をしながら

「グッ…❗️」

と言いました。左右の幅が詰まった構成という事でしょうか…。

「つまり縦長ってこと?」

今度はおママの方が首を傾げます。そして、指で四角を作って言いました。

カチッ❗️としたのが好きよ。」

「あぁ〜〜、なるほど。」

それならイメージ的に分かりますわ。

 

確かに、おママはシンメトリーのような、統一感のある構成が好きです。

それを「グッ❗️」と言われてもね…。(笑)

でもさ…。

私が聞きたいのは、おママの好みではなく、好きなのを1枚選んで欲しいのに。

(笑)

具体的な物の名前が分からなくなっている昨今、

当然ながら、おママは抽象的な内容は表現しきれません。

 

おママの好きなシンメトリーの貼り絵は、左右上下を揃える必要があります。

定規で位置関係を計りながら構成しているようですが、難しい作業だと思います。

最近は、それが上手くいかない事が増えてきました。

 

これは漠然とした私の杞憂かもしれません。

でも、お好きな「グッ❗️」「カチッ❗️」が上手く出来なくなると、

おママの制作意欲が下がらないと良いけれど…。