アルツハイマーとともに〜おママの貼り絵日記〜

アルツハイマーの母(おママ)が作った貼り絵と暮らしを紹介しております。

ハサミの時間

(2022年12月18日 アルツハイマー認知症の診断から約15年10ヶ月)

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2022年12月のおママ

今は2024年。だから、2022年はもう一昨年になるのですね。

ついこの間のような気がします。

その2022年12月は、おママが自宅で過ごした最後の月です。

ちょうどおママの特別養護老人ホームへの入所が具体化した時期でもあり、おママが急速にハサミを持てなくなってきた頃でした。それで、私はかなり精神的に落ち着かず、今思えば随分焦っていたように思います。

12月の前半は貼り絵に取り組む前に何度もおママの手にハサミを持たせ、

「これは紙を切る道具なんですよ」

と繰り返し見本を見せながら説明して、ようやくおママはハサミを使っていました。写真や動画にハサミを持つおママは記録されているけど、その前段階で、ハサミを使わせたい私と、ハサミを忘れてしまったおママの攻防戦が繰り広げられていました。

(ほんの少し前の、先月(2022年11月)までは難なく使っていたじゃないの❗️)

いつか来るとはわかっていた終わりを認めたくない私は、必死におママの手にハサミを持たせていました。

(あんなにハサミで紙を切るのが好きだったじゃない❗️)

(どうして,どうしてなの?)

それは貼り絵を続けてもらいたかった私のエゴであったと思います。

理屈では判ってはいたけど、心情的に認めたくなかったおママの衰えを、心が折れるような感じでなんとか受容出来た。そのきっかけは、12月中旬の特別養護老人ホームの入所決定だったと思います。

残された半月を、無理にハサミを持たせるより、笑顔でゆったり過ごした方がおママにとっても家族にとっても良いかもしれない。

おママが機嫌良くできるようなら、今までおママが切って使われなかった紙片を組み合わせて貼るだけにしよう。そう思いました。

 

花模様の塗り絵

おママが切っただけで貼り絵に使わなかった紙片たち。結構たくさんありました。

今回ご紹介した貼り絵に使われた花模様は、特に思い出深く、私が是非ともおママの貼り絵に使って欲しかった物です。

だって、とても綺麗に切れているのですもの。

これが貼り絵にならずに残されたら、勿体無いと思いました。

 

元はデイサービスでもらってきた塗り絵でした。

最初に私が見つけたのは2020年9月18日。

(↓)おママはあまり塗り絵に興味を示しませんでした。デイサービスでも塗り絵をしたのはちょっとだけ。(^◇^;)

(↓)既に切り抜き始めていたようです。

2021年10月22日に、おママはこの中(↑上の写真の中)で、まだ切り抜いていなかったものを集中的に切り抜きました。

それが2022年12月時点で、4枚残されていました。(↓)

(おママには是非ともこの紙片を使って貼り絵にしてもらいたい。)

背景の紙は私が選びました。認知症になる前のおママが、まだ製本技術を習っている時に自分で染めた紙でした。

そう思ったのですが、おママはやや不服で他の紙を物色していました。(↑)

それでも、結局おママは自分で選ぶのをやめてしまいました。おそらく途中で何を探していたのか忘れてしまったからです。(^◇^;)

 

(↓)こちらの写真は2021年8月23日に撮影しました。よく見ると中央に切り分けた線が見えます。今回ご紹介した貼り絵に使われたのは右側半分です。

左側は(↓)この作品に使われました。

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2021年10月22日 ハサミの時間

切り抜いたのは2021年の秋。この頃のおママはまだそれほど緑内障の視野欠損が酷くなかったのかもしてません。実に鮮やかにハサミを使っています。

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<おママの貼り絵制作動画① 大きなピースをじっくりカット編>

2021年10月22日 14:27〜(10分43秒)

2年3ヶ月ほど前に撮影した動画です。

切っている花のピースを使った貼り絵をご紹介する時まで…。

そう思って今日まで寝かせておりました。

長い動画です。大きな花模様をおママはじっくり切り抜いています。実はこの日のおママは徹底的にハサミの作業に熱中していました。

今見直してみますと,おママはおママなりに精密にカットする工夫をしていました。

当時、既に認知症の診断から14年以上経っているので、ハサミの扱いに慣れているおママでも難易度は高かったと思います。長尺の動画を撮りながら私も息をころしておりました。最後,切り終えた時は今見直しても感嘆しました。

チ「出来たー❗️すごーい❗️」

おママもかなり達成感があったようです。

マ「しゃぁーーー、できた❗️」

 

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<おママの貼り絵制作動画② 小さなピースをサクサクとカット編>

2021年10月22日 15:13〜(4分04秒)

このピースはそれほど大きくないので、おママも気楽に切っています。

動画開始から1分55秒頃、おママは小声で囁いています。

マ「おもしろい。」

そして切り終える最後の切断の時、おママは嬉しそうでした。

マ「パチン❗️」

チ「出来たーーーー❗️」

マ「ほんと、やるとね❗️」

 

この動画を撮影した同じ日に、おママは(↓)こちらの貼り絵をしました。この日はとても意欲的で、頑張りました。1時間以上ハサミを使う作業をしていたのに、全く疲れ知らずでした。おそらく、疲れたとしても、その理由と疲れたという感覚自体をすぐに忘れたのだと思います。

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2022年12月18日 貼る時間

そして、1年後。

残っていた4枚の花のピースを、おママは1枚の画面に納めようとしています。

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<おママの貼り絵制作動画③>

2022年12月18日 10:11〜(59秒)

おママはどう配置するか考えています。

(↓)大きいピースを糊付けする時は、私も端っこを押さえながら手伝いました。

(↓)小さいピースは一人で乗り付けしました。(^O^)

そして出来上がり❗️(๑˃̵ᴗ˂̵)v

ハサミの時間、貼る時間。1年の隔たりがありました。

考えてみれば、おママが自分で紙を染色した20年以上前から、おママの小さな手仕事達はずっと繋がっていたのだと思います。

それを、認知症の最末期、自宅で過ごした最後の日々に1枚に結実できた。

長い間,おママの貼り絵を見守ってきた家族としては、とても感慨深い作品です。

 

(↓)同じ塗り絵の切り抜きで制作された貼り絵です。

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おママの貼り絵を見て下さり,ありがとうございます。